Apple WatchからセコムにSOS 「YORiSOS」が叶える“安心”とは?|MacFan

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Apple WatchからセコムにSOS 「YORiSOS」が叶える“安心”とは?

文●小平淳一

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ホームセキュリティでお馴染みのセコムが、今年4月にリリースした新アプリ「YORiSOS」。緊急時にはApple Watchからセコムに連絡できるほか、定期的に健康レポートを送ってくれる機能もある。このアプリによって、ユーザがどのような安心を手に入れることができるのか。セコムに話を聞いた。

 

非日常と日常に寄り添う

普段は問題なく暮らしていても、突然体調が悪くなって起き上がれなくなったり、転んだあと自力で立ち上がれなくなったりしてしまうかもしれない。そんな心配は、年齢を重ねるにつれ、徐々に現実味を帯びてくる。こうした不測の事態に備えるのが、セコムがリリースした新アプリ「よりそす(YORiSOS)」だ。

このアプリの利用シーンは、大きく分けて2つ。1つ目は、緊急時の利用だ。アップルウォッチにインストールしたアプリから、ワンタップでセコムに緊急SOSを送れるようになる。また、アップルウォッチが標準で備える転倒検出機能と連動し、転倒時にセコムのSOSボタンが表示されるようになる。そこからセコムに素早く通報することも可能だ。

2つ目は、日常的な場面における利用だ。専用のiPhoneアプリ上に1日の歩数と睡眠時間が表示され、健康的な生活の継続を促してくれる。さらに、「歩行安定性の低下」や「不規則な心拍」など、iPhoneの「ヘルスケア」が取得した情報をクラウドにアップロードし、症状が見られる場合には1週間ごとに「セコムアシストレポート」を送ってくれる(ヘルスケアデータの取り扱いは利用者への明確な許諾を得たうえで行われる)。

このレポートを見て健康について気になることがあれば、「ほっと健康ライン」という電話サービスを使い、セコムの看護師に相談することも可能だ。なお、このアプリおよびサービスは、セコム・ホームセキュリティの契約者向けのオプションサービスとして、月額550円(税込)で提供される。

 

 

左から、セコム株式会社のSEAプロジェクト主任・山田明弥氏、SEAプロジェクト・氏家美帆氏、企画部副部長兼SEAプロジェクトリーダー・松本敏弘氏。自社におけるApple製品の活用を検討するメンバーだ。

 

 

標準機能との違いは?

アップルウォッチに詳しい人は、このアプリに対してある疑問が浮かぶかもしれない。「アップルウォッチには標準で緊急通報機能があるのに、なぜセコムに通報するのだろうか」と。直接疑問を投げかけたところ、次のような答えが返ってきた。

「標準の緊急通報機能は、直接119番につながります。しかし、多くの方は119番通報をすることにかなり抵抗があるようです。いったんセコムのオペレーターや看護師とつながることで相談しやすくなるので、精神的なハードルが下がり、早めの対応が可能になるのではないかと考えています」(SEAプロジェクト・氏家美帆氏)

取材時には、緊急SOSのデモンストレーションも見せてもらった。

体調不良で立てなくなったら、まずはアップルウォッチ用アプリの[SOS]ボタンを押す(iPhoneアプリでも通報可能)。セコム側でSOSを受け取ると、オペレーターがユーザに電話発信する。オペレーターがユーザに状況を聞き、必要であればセコムのナースセンターに電話を転送する。そこで看護師がより詳しい症状を聞き、緊急性が高いと判断したときには、オペレーターがユーザに代わって救急車の手配をしてくれる。

自宅で立ち上がれなくなった場合には、緊急対処員が駆けつけ、玄関を開錠しておく。従って、その後到着した救急隊は速やかに入室して処置ができる。さらに、身内の人(緊急連絡先)への連絡や、搬送後の自宅の施錠までセコムが行ってくれるなど、まさに至れり尽くせりだ。

転倒時SOSについては、転倒を検出すると、まずアップルウォッチ標準の緊急SOSボタンが表示され、そのボタンを利用またはキャンセルしたあとに、セコムのSOSボタンが表示されるといった流れだ。なお、セコムはアップルとの密接な連係により、サードパーティとして日本ではじめてアップルウォッチの転倒検出機能の利用を実現したという。

「弊社はこれまでもiPhoneやアップルウォッチ対応アプリの実績があり、信頼してもらっているのだと思います」(企画部副部長・松本敏弘氏)

 

変わってきたシニア像

このアプリのメインターゲットは、やはりシニア層といえる。読者の中には「高齢者の中にはデジタルに弱い人も多く、アップルウォッチを使いこなせないのでは?」と疑問を抱く人もいると思うが、現実は少しずつ変わってきている。

LINEなどのコミュニケーションアプリを使いこなし、アップルウォッチなど最新のデバイスにも興味を示す。そんなシニアが今、増えているようだ。

「リリース前に、数名のシニアの方に試用していただきました。うまく使いこなせないのでは…といった懸念も当初ありましたが、試してみるとほとんど問題なく使いこなしていらっしゃいました。また、『自分たちシニアが、アップルウォッチのようなカッコいいものを利用できるのがうれしい』というご感想をいただいたのも印象的でした」(SEAプロジェクト主任・山田明弥氏)

超高齢社会となった日本では、誰もが年齢に関係なく活躍していけることが重要な目標になっている。「よりそす」をはじめとしたアップルデバイスと連係できるセコムのサービス群は、シニアの活躍を陰で支え、安心を見守ってくれる身近なツールになってくれそうだ。

 

 

 

YORiSOS
【開発】SECOM Co.,Ltd.
【価格】月額550円(セコム・ホームセキュリティの契約が必要)
【場所】App Store>ライフスタイル

セコム・ホームセキュリティの契約者向けのオプションとして展開される新サービス「YORiSOS」。iPhone向けとApple Watch向けのアプリが用意されている。iPhoneアプリでは、歩数や睡眠の目標達成率が表示され、健康に対する意識を高めてくれる。

 

 

Apple Watchに表示される[SOS]ボタンを3秒間押し続けると、セコムに通報できる。セコムはこれまでユーザに対し緊急通報の専用ボタンも提供してきたが、手の届くところに置かれていないことも多いという。普段から身につけているデバイスでSOS通報できることの価値は大きい。

 

 

1週間ごとに送られてくる「セコムアシスト」のレポート機能。「不規則な心拍」や「歩行安定性の低下」「転倒」など、標準「ヘルスケア」アプリで管理している健康情報からレポートを生成する(写真左)。また「ほっと健康ライン for YORiSOS」では、24時間365日いつでも、セコムに電話で無料の健康相談ができる(写真右)。

 

 

 

いつでもみまもり
【開発】SECOM Co.,Ltd.
【価格】無料(別途「安否みまもりサービス」の契約が必要)
【場所】App Store>ライフスタイル

「いつでもみまもり」アプリと連係させて使うと、転倒やSOS通報したことを、使用者の家族にも知らせることができる。なお、利用にはセコム・ホームセキュリティのオプションサービス「安否みまもりサービス」の契約が必要だ。