【実機レビュー】オープン型完全ワイヤレスイヤフォン「OpenFit」|MacFan

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【実機レビュー】オープン型完全ワイヤレスイヤフォン「OpenFit」

文●山本 敦

Mac・iPhone・iPadと使える新作アクセサリを徹底レポート!

OpenFit

 

私が検証しました!
山本 敦

テックライター。「OpenFit」をテストするために観たApple TV+オリジナル作品「テトリス」が面白かったです。子どもの頃に遊びまくったゲームのルーツに触れて感激しています。

 

[SPEC]
【発売】Shokz
【価格】2万4880円
【質量】約8.3g(イヤフォン本体/片側)、約57g、(充電ケース)
【Bluetoothバージョン】5.2
【対応コーデック】AAC、SBC
【防水防塵性能】IP54
【バッテリ駆動時間】約7時間(イヤフォン本体)、約28時間(充電ケース併用)
【カラー】ブラック、ベージュ
【URL】https://jp.shokz.com/products/openfit

 

 

開放機構による自然なリスニング感

オーディオブランド「ショックス(Shokz)」は、耳を塞がずに音楽再生やハンズフリー音声通話を行える骨伝導ヘッドフォンを展開する人気のブランドです。そんなショックスが4月よりクラウドファンディングを行っているのが、オープン型完全ワイヤレスイヤフォン「オープンフィット(OpenFit)」です。筆者もいち早くその実力を試してみました。

ショックスシリーズには、これまで骨伝導ドライバ(頬骨から内耳に直接振動を伝えるドライバ)が採用されていました。耳を塞がずに音漏れを最小限に抑えながらリスニングを楽しむのに適した技術ですが、本機に関してはショックスの代名詞ともいえる骨伝導方式ではなく、ダイナミック型ドライバを採用しています。18×11ミリの矩形振動板を搭載する大型のドライバで、特に中低音域がふくよかで力強く、まるで据え置きタイプのスピーカから鳴っている音のような豊かな広がりが感じられました。また、より内耳に近づけられる開放型デザインを採用したことで、骨伝導イヤフォンの特長を継承しつつ、一層自然でバランスのよい音の聴こえ方を実現しています。

重低音は、ショックス独自の低音強調アルゴリズム「オープンベース(OpenBass)」により、ドライバから内耳に音が伝わる際に発生するロスを抑えています。「開放型イヤフォンは音楽再生時のボーカルや動画視聴時の人の声、効果音が少し貧弱」と感じていたという方も、本機のパワフルで情報量に富んだサウンドを体験してみてください。

またコーデックは、iPadやiPhoneをはじめとするアップルデバイスの実力を引き出せるAACに対応しています。本機を使って「アップルTV+」で配信中の映画「テトリス」を視聴してみたところ、音の広がりが豊かで人の声がとてもクリアに聞こえるため、ストーリーに深くのめり込むことができました。ナチュラルで聴き疲れしにくいバランスのサウンドなので、音楽再生に留まらず、映画やドラマなどを楽しむ用途にも向いていると感じます。

また、本機は一般発売前後を目処に、モバイルアプリでのカスタマイズに対応する予定です。イコライザ機能を使って音のバランスをカスタマイズするなど、使い勝手の幅が広がるようなので今から楽しみです。

 

極上の装着感でフィットネスにも最適

本機は装着感の心地よさにもこだわり抜いています。外耳に掛けて使う開放型イヤフォンは、長時間装着していると耳に当たっている部分が痛くなってしまう製品も存在しますが、本機はまるでなにも着けていないような感覚がどこまでも長続きします。この快適さを実現したのは、以下の2つのポイントが大きく影響しています。

ひとつは、外耳に直接当たる部分に柔らかいシリコンが採用されている点です。このシリコンが一般的なプラスチックと比べて肌触りが抜群に滑らかで肌にフィットするため、痛みを感じにくいようです。

もうひとつは、「ドルフィンアーク」と名付けられたイヤフックの構造です。直径0.7ミリの形状記憶素材を内蔵し、これが柔軟に形を変えてユーザの耳にフィットします。音のバランスが理想的に聴こえる位置で本機を外耳に固定できるため、力強く明瞭なサウンドが楽しめるわけです。

ランニングやフィットネスで体を動かしながら音楽を聴く際、フィット感に優れるワイヤレスイヤフォンは欠かせないアイテムです。本機のイヤフックはフィット感に優れつつ細身なので、耳に触れる箇所に汗が溜まりにくいところも個人的に好感触でした。

しかも、本体がIP54相当の防水・防塵対応なのでワークアウト用としても信頼できます。さらに、本機の両側面には音楽再生やハンズフリー通話のコントロールに対応するタッチセンサリモコンを内蔵しています。センサの反応も適度に敏感なため誤操作が発生する可能性も低く、ワークアウトに集中しながら利用できました。

 

クリアな通話品質でビジネスにも最適

本機は音楽や動画の視聴だけでなく、ハンズフリー通話時の品質にも優れています。左右のイヤフォンには各2基ずつ高性能マイクを内蔵しており、うち2つはビームフォーミング技術を活用しながらユーザの口もとを狙って通話音声だけをピックアップするためのマイクです。もう2つのマイクでは、通話時に外部の環境音をセンシング。AI(人工知能)により通話に不要な環境音だけを選り分けながら消すことで、クリアな通話品質を確保しています。

オープンフィットを装着した家族と通話したところ、屋外の騒音に囲まれた場所でも声の輪郭がぼやけず伸びやかに聞こえました。また、ブルートゥース(Bluetooth)機器を介した音声通話で失われがちな高域・低域の音に損失が少なく、通話相手側の空間の広がりや透明感も感じられます。

さらに、独自技術「ダイレクトピッチ(DirectPitch)」も採用しており、ユーザの耳の向きや距離に応じて、再生する音源の音圧を常時最適化します。音の聞こえ方を最大化しながら、耳の外に漏れる音を極限まで減らせるので、通話音声はもちろん、音楽再生時にも音漏れ抑制の手応えが得られました。

本機は、耳を塞がずに仕事やワークアウトで“ながら聴き”を楽しみながら、サウンドもしっかり聴きたい人に最適な選択肢といえるでしょう。すでに同ブランドの製品を持っている方でも、本機を買い足す意義が大いにあると思います。

 

【POINT】ダイナミックドライバを搭載

本機は「Shokz」シリーズの代名詞ともいえる骨伝導ドライバではなく、大型のダイナミックドライバを採用しています。力強いサウンドを聴くための開放型ワイヤレスイヤフォンです。

 

【POINT】柔軟なイヤフックが耳にフィット

耳にかけるイヤフック型のデザインを採用しています。イヤフック内部に直径0.7mmという超極細の形状記憶素材を採用しており、ユーザ一人ひとりの異なる耳の形に優しくフィットします。

 

【POINT】充電ケース併用で約28時間再生

充電ケースを利用すると、イヤフォン本体と合わせて約28時間の連続再生が行えます。また、充電ケースのバッテリが10%以上ある場合、5分間の充電で約1時間再生できる急速充電に対応します。

 

【POINT】ノイズを感知してカット

左右のイヤフォンに各2基ずつマイクを内蔵しています。外側向きのAIコールノイズキャンセリングマイクは、周辺のノイズを集めて打ち消す役割を担っています。

 

【POINT】専用アプリもリリース予定

OpenFitの一般発売後、アプリ「OpenFit +Shokz App」の利用に対応する予定です。このアプリを使うことで、サウンドやリモコンのタッチ操作のカスタマイズなどが行えるようになります。

 

検証報告

□軽さと装着感の快適さは誰もが驚くレベル。開放型イヤフォンが好みでない人にも一度試してみてほしいです!
□密閉型イヤフォンに比べると、構造上どうしても音漏れは発生します。シーンに合わせて、ほかのイヤフォンと使い分けましょう。