不動産の分割方法と 相続手続き その2
2022.12.23
不動産の相続手続きの流れ
1 不動産を相続する人を決める
遺言書がある場合は原則としてその指定によります。遺言書がない場合は、法定相続分の割合または協議により取得する人を決めます。
2 登記申請をする
必要書類をそろえて不動産の所在地の管轄法務局へ登記申請します。書類収集などの煩雑な作業、申請書作成は、司法書士に依頼することで負担軽減になります。
3 登記の完了
申請から約2週間で登記が完了し、「登記識別情報通知」(従来の権利証に該当するもの)が交付されます。
登記識別情報通知
新しく不動産を相続した人に交付される12桁の英数字(この12桁のパスワードのことを「登記識別情報」といいます)が印刷された書類です。相続後の売却などの際に、この12桁の英数字の情報が必要となります。目隠しシールが貼ってありますので、はがさずに大切に保管しましょう。
2024年4月1日より開始 相続登記の義務化
2024年4月に「相続登記を義務化する」改正法が施行予定で、土地所有者が亡くなった際に亡くなった方の配偶者や子どもなどの相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記することが必要となります。正当な理由なく怠れば10万円以下の過料が科されます。
不動産を相続したら必ず相続登記をしましょう
家や土地などの不動産を相続したら、不動産の所在地を管轄する法務局で相続登記の申請書を提出して、登記申請を行ないます。もし、売却をするにしても、最新の所有者の名義にすることが必要です。相続の場合は「相続による所有者移転の登記」となり、その不動産を相続する相続人が登記を行なうのが原則です。
登記申請で必要となる書類は登記申請書のほか、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の現在の戸籍謄本、被相続人の死亡の記載のある住民票と不動産を取得する人の住民票、固定資産評価証明書などです。なお、登記手続きにマイナンバーは使用できないので、マイナンバーの記載のない住民票を用意します。登記申請手続きは郵送、または管轄法務局への持参で行ないます。
しかし、手続きの内容が複雑で専門的な知識が必要な場合もあるので、プロである司法書士に依頼することも検討してみましょう。
登記申請書の書き方
法務局のホームページで登記申請書のひな形をダウンロードすることもできますが、A4用紙に必要事項が記入されていれば様式は問われません。登記申請時には、原則として不動産の固定資産評価額の0.4%の登録免許税を納付します。
手続き先と期限
不動産の所在地の管轄法務局。期限は特にありませんが、できるだけ速やかに提出
手続きする人
不動産を相続する相続人。司法書士に依頼することもお勧めです
必要なもの
遺産分割による相続の場合は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と死亡記載のある住民票、相続人の戸籍謄本と住民票、遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書、固定資産評価証明書、代理人が申請する場合は委任状
法定相続人以外の人が遺産を取得した場合は「遺贈」に
遺言により不動産を法定相続人以外の人が取得した場合は相続による移転ではなく、遺贈による所有権移転登記を申請します。登録免許税の課税価格も、遺贈の場合は2%となります。
相続した家に住宅ローンが残っていた場合は?
一戸建てやマンションなどの不動産購入で組まれた住宅ローンは、ほとんどが「団体信用生命保険」(団信)に加入しています。ローンの契約者が死亡した場合に残金を団信の保険金で支払ってローンを完済する仕組みになっています。ローンの完済後は相続による所有権移転の登記申請とあわせて、金融機関に設定された抵当権の抹消の手続きが必要です。
※図解身内が亡くなったときの届出と手続きのすべて2022年版(2022年1月30日 発売)掲載記事を転載