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株やFXとは違う! 暗号資産にかかる税金の仕組み

個人投資家に「億り人」が登場


 「億り人」とは、元来、株式投資やFXなどの分野で生まれた言葉で、投資や投機によって資産が1億円を超えた人のことをいいますが、いまでは一般的に暗号資産のビットコインなどで多額な収益を上げた人たちをいう言葉になっています。

 仮想通貨元年と呼ばれた2017年は、ビットコインを中心とした仮想通貨が値上がりしたため、資産が1億円を超えた仮想通貨保有者が続出しました。こうした経緯があって、「億り人」は仮想通貨で資産を増やした投資家を指す言葉となったのです。

 一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会の発表した資料では、2017年当時で1億円以上の資産があるウォレットは、日本国内の取引所に268口座あるとされていました(一部の仮想通貨交換業者の口座は含まず)。

 その後、2018年5月に国税庁から公表された2017年の確定申告の総括データによると、雑所得の収入が1億円超あったとした納税者のうち、仮想通貨の売買で収入を得ていた人が少なくとも331人にのぼるとされていました。

 しかし、仮想通貨の取引をしている人の中には、自分のウォレットで資産を管理している人や、複数の口座に資産を分散している人も相当数いると考えられますので、実際には協会や国税庁の把握している数よりも多くの億り人がいることが考えられます。



 



法改正により「金融商品」となる


 ビットコインをはじめとする「仮想通貨」は、これまで、資金決済に関する法律(以下「資金決済法」)において規制され、金融商品取引法(以下「金商法」)においては、規制対象外でした。 「億り人」といった億トレーダーを見ていると、仮想通貨も他の金融商品と同様の投資性・リスクがあると考えられますが、仮想通貨に対して金商法ではノーマークだったのです。

 その後、仮想通貨の売買・交換等を行う場合は資金決済法に基づき「仮想通貨交換業登録」を行うものとされ、利用者保護のために、この登録を受けるためのさまざまな要件を整備することが求められました。

 仮想通貨交換業登録は、組織・法令等遵守体制・システム面の安全管理措置等も含め、なかなか要件のハードルが高いライセンスとなっています(登録業者は2021年6月末時点で全国で30社)。

 このように、仮想通貨の取引では、資金決済法に基づく一定の規制が課されるようになっていましたが、2018年以降、仮想通貨取引所への不正アクセスや不正流出事件等が相次いだことで、さらなる規制強化が求められるようになります。

 そこで2019年5月、仮想通貨を金商法の規制対象とする法改正も含めた資金決済法その他各種関連法の改正案が成立し、2020年5月1日付で施行されることが決まりました。

 この改正により、それまで呼ばれていた「仮想通貨」から「暗号資産」と呼称が変更されることとなり、仮想通貨交換業者等を会員に抱える「日本仮想通貨交換業協会」も「日本暗号資産取引業協会」に名称変更されています。

 

他の金融商品との課税の違いに注意


 金融商品の一種である上場株式を売却し、得た利益の場合は、「分離課税の譲渡所得」となり税率は20・315%となります。また、先物・オプション取引やFX取引での利益場合も金融商品の一種とみなされ「分離課税の雑所得」となり税率は同じく20・315%となっています。

 しかし、暗号資産(仮想通貨)の税金はこれら金融商品とは大きく扱いが異なります。個人が得た利益(所得)には所得税・住民税が課税されますが、暗号資産の売却で得た利益は「総合課税の雑所得」となります。

 総合課税ということは、給与所得や事業所得、不動産所得など他の所得と合算の上、所得が多くなればなるほど税率が高くなる「累進課税」の扱いとなるということです。

 金融商品である上場株式や先物・オプション、FX取引はどれだけ利益があっても20・315%の税率なのですが、暗号資産では利益額が大きいと50%を超える税率(住民税10%を加味した場合)となることがありますので注意が必要です。



 



課税されるのは「売り」だけではない


 暗号資産を売却・換金して利益が出たら、これに課税されるのは当たり前の話ですが、暗号資産の取引の場合、例えば次の取引も課税対象となります。 (1)ビットコインで商品を買える店で100万円の商品を0・27ビットコインで買った。 (2)持っていた0・5ビットコインをイーサリアムに乗り換えた。 この場合、(1)(2)のいずれも、ビットコインを「売却した」ことになります。

 もし、過去に安く買えた暗号資産をこのように使った場合は多額の税金がかかることも考えられますから、十分注意が必要です。

 

「自己責任」において取引することを認識する


 このように、暗号資産の取引は、株やFXなどの一般の金融商品の取引とは違うということを十分認識することが重要です。当然、投資として利益が出ることに関しては金融商品と同様と考えられるのですが、取引に対しての法律も課税方法も違いますので、単純に利益が出るからといってかんたんに考えていては、後で大変なことになる場合があるということなのです。

 また、ネット上での取引が中心の暗号資産においては、証券会社やその他金融機関のような窓口がない状況ですので、通常の金融商品に比べ、より高度な「自己責任」を課されるということを認識しましょう。

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