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棋士プロフィール 伊藤匠

緻密な序盤研究と粘り強い受け将棋に定評がある超実力派! 藤井聡太と双璧を成す令和の将棋界のトップ棋士です。

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伊藤いとう 匠たくみ 二冠(叡王・王座)

(写真:會場健大)
出身地 東京都世田谷区
生年月日 2002(平成14)年10月10日
棋士番号 324
師匠 宮田 利男 八段
順位戦 A級
竜王戦ランキング戦 1組
昇段歴
2013年9月6級で奨励会入会
2018年4月三段
2020年10月四段
2022年3月五段
2023年4月六段
2023年8月七段
2025年6月八段
2025年10月九段
主な実績
2021年10月第52期新人王戦優勝
2021年12月第63期王位戦で挑戦者決定リーグ入り
2022年3月第80期順位戦でC級1組昇級
2022年5月第35期竜王戦で6組優勝
2022年9月第48期棋王戦でベスト4進出
2023年8月第36期竜王戦で5組優勝
2023年10月第36期竜王戦で初のタイトル挑戦
2024年2月第49期棋王戦でタイトル挑戦
2024年3月第82期順位戦でB級2組昇級
2024年6月第9期叡王戦で初タイトルとなる叡王を獲得。藤井聡太八冠の一角を崩す
2025年3月第83期順位戦でB級1組昇級
2025年6月第10期叡王戦で初防衛
2025年10月第73期王座戦で王座を獲得し、二冠となる
2026年3月第84期順位戦でA級昇級
主な受賞歴
2022年4月第49回将棋大賞:勝率一位賞(.818)・新人賞
2024年4月第51回将棋大賞:優秀棋士賞・最多勝利賞(51勝)・最多対局賞(69局)・升田幸三賞「持将棋定跡(第49期棋王戦五番勝負第1局ほか)」
2025年4月第52回将棋大賞:優秀棋士賞・名局賞(第9期叡王戦五番勝負第5局、対藤井聡太叡王戦)
2026年4月第53回将棋大賞:優秀棋士賞・最多勝利賞(46勝)・名局賞(第73期王座戦五番勝負第5局、対藤井聡太王座戦)

升田幸三賞受賞「持将棋定跡」とは

2024年の升田幸三賞に輝いた、伊藤匠が考案した角換わりの「持将棋定跡」。

一口に持将棋定跡といっても、その内容は一つではない。代表的なのは2つの局面で、第1図は先手に9筋の位を取らせた形。ここから△6五銀▲5五銀△4三角と仕掛けていく。

もう1つが第2図で、互いに玉を移動し続けた末に現れる局面だ。こちらは▲2四歩から繊細な駆け引きが続いていく。

いずれもプロの実戦で頻出した重要局面であり、従来は「難解ながらも正しく指せば先手よし」が定説だった。その見解を支えていたのが将棋AIである。特に研究勝負になりやすい角換わり腰掛け銀はAIによる解析が進み、先手が指しやすい戦型との評価が次第に固まりつつあった。

そんな中、新たな視点を持ち込んだのが伊藤だった。

第1図、第2図のいずれの局面も、AIの評価値だけを見れば先手よしとなる。しかし伊藤はその先を掘り下げ、後手が持将棋へ誘導できる有力な変化を発見したのである。

ここで重要なのが、持将棋のルールの違いだ。コンピュータ将棋では一般に27点法が採用される一方、プロ公式戦では24点法が用いられている。伊藤が見いだした変化は、27点法なら先手勝ちとなるものの、24点法では持将棋が成立するケースだった。

つまり、AIの評価では先手有利でも、実際のプロ公式戦では後手が引き分けに持ち込めるのである。若干不利とされる後手としては大きな戦果だ。

千日手と並び、将棋で引き分けとなる数少ないケースが持将棋だ。そのレアケースを事前研究に組み込み、一つの戦略として体系化した伊藤の発想は前例のないものだった。

もともと角換わり腰掛け銀には、後手が千日手を目指す構想が存在していた。しかし持将棋という新たな着地点が加わったことで、この戦型の研究はさらに複雑化し、角換わり研究の方向性そのものに影響を与えた。

現代角換わりの勢力図を塗り替えた伊藤の持将棋定跡は、升田幸三賞の名にふさわしい革命的な発見だったのである。

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