2026.10.10
棋士プロフィール 伊藤匠
緻密な序盤研究と粘り強い受け将棋に定評がある超実力派! 藤井聡太と双璧を成す令和の将棋界のトップ棋士です。
伊藤 匠 二冠(叡王・王座)
| 出身地 | 東京都世田谷区 |
| 生年月日 | 2002(平成14)年10月10日 |
| 棋士番号 | 324 |
| 師匠 | 宮田 利男 八段 |
| 順位戦 | A級 |
| 竜王戦ランキング戦 | 1組 |
| 昇段歴 |
2013年9月6級で奨励会入会
2018年4月三段
2020年10月四段
2022年3月五段
2023年4月六段
2023年8月七段
2025年6月八段
2025年10月九段
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| 主な実績 |
2021年10月第52期新人王戦優勝
2021年12月第63期王位戦で挑戦者決定リーグ入り
2022年3月第80期順位戦でC級1組昇級
2022年5月第35期竜王戦で6組優勝
2022年9月第48期棋王戦でベスト4進出
2023年8月第36期竜王戦で5組優勝
2023年10月第36期竜王戦で初のタイトル挑戦
2024年2月第49期棋王戦でタイトル挑戦
2024年3月第82期順位戦でB級2組昇級
2024年6月第9期叡王戦で初タイトルとなる叡王を獲得。藤井聡太八冠の一角を崩す
2025年3月第83期順位戦でB級1組昇級
2025年6月第10期叡王戦で初防衛
2025年10月第73期王座戦で王座を獲得し、二冠となる
2026年3月第84期順位戦でA級昇級
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| 主な受賞歴 |
2022年4月第49回将棋大賞:勝率一位賞(.818)・新人賞
2024年4月第51回将棋大賞:優秀棋士賞・最多勝利賞(51勝)・最多対局賞(69局)・升田幸三賞「持将棋定跡(第49期棋王戦五番勝負第1局ほか)」
2025年4月第52回将棋大賞:優秀棋士賞・名局賞(第9期叡王戦五番勝負第5局、対藤井聡太叡王戦)
2026年4月第53回将棋大賞:優秀棋士賞・最多勝利賞(46勝)・名局賞(第73期王座戦五番勝負第5局、対藤井聡太王座戦)
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升田幸三賞受賞「持将棋定跡」とは
2024年の升田幸三賞に輝いた、伊藤匠が考案した角換わりの「持将棋定跡」。
一口に持将棋定跡といっても、その内容は一つではない。代表的なのは2つの局面で、第1図は先手に9筋の位を取らせた形。ここから△6五銀▲5五銀△4三角と仕掛けていく。
もう1つが第2図で、互いに玉を移動し続けた末に現れる局面だ。こちらは▲2四歩から繊細な駆け引きが続いていく。
いずれもプロの実戦で頻出した重要局面であり、従来は「難解ながらも正しく指せば先手よし」が定説だった。その見解を支えていたのが将棋AIである。特に研究勝負になりやすい角換わり腰掛け銀はAIによる解析が進み、先手が指しやすい戦型との評価が次第に固まりつつあった。
そんな中、新たな視点を持ち込んだのが伊藤だった。
第1図、第2図のいずれの局面も、AIの評価値だけを見れば先手よしとなる。しかし伊藤はその先を掘り下げ、後手が持将棋へ誘導できる有力な変化を発見したのである。
ここで重要なのが、持将棋のルールの違いだ。コンピュータ将棋では一般に27点法が採用される一方、プロ公式戦では24点法が用いられている。伊藤が見いだした変化は、27点法なら先手勝ちとなるものの、24点法では持将棋が成立するケースだった。
つまり、AIの評価では先手有利でも、実際のプロ公式戦では後手が引き分けに持ち込めるのである。若干不利とされる後手としては大きな戦果だ。
千日手と並び、将棋で引き分けとなる数少ないケースが持将棋だ。そのレアケースを事前研究に組み込み、一つの戦略として体系化した伊藤の発想は前例のないものだった。
もともと角換わり腰掛け銀には、後手が千日手を目指す構想が存在していた。しかし持将棋という新たな着地点が加わったことで、この戦型の研究はさらに複雑化し、角換わり研究の方向性そのものに影響を与えた。
現代角換わりの勢力図を塗り替えた伊藤の持将棋定跡は、升田幸三賞の名にふさわしい革命的な発見だったのである。
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