永瀬拓矢七段(第43期棋王戦挑戦者)インタビュー「積み重ねた努力を」|将棋情報局

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永瀬拓矢七段(第43期棋王戦挑戦者)インタビュー「積み重ねた努力を」

将棋世界2018年3月号(2/2発売)では、第43期棋王戦挑戦者決定戦に勝ち、渡辺明棋王への挑戦権を獲得した永瀬拓矢七段にインタビュー。2回目のタイトル挑戦となる俊英が決定戦までの道のり、局面をまじえての二番勝負振り返り、五番勝負への抱負などを語りました。本ページでその一部を紹介します。

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努力がすべて

――これで渡辺明棋王への挑戦権を獲得しました。第87期棋聖戦五番勝負以来、1年半ぶりのタイトル戦となります。

永瀬「体感としては4~5年ぐらい前のことのような気がします。前回は初挑戦だったので、和服の対局など、すべてが初めての経験でした。今回はいろいろと慣れた部分もありますので、負担なくこなせればいいなと思います。」

―― その棋聖戦では、羽生善治棋聖を2勝1敗と追い込み、奪取まであと一歩のところまでいきました。

永瀬「しかし、カド番に追い込んだあとの第4局と第5局は、こちらにチャンスがほとんどなくて、自力が足りないことを痛感しました。」

―― 対戦相手の渡辺棋王は昨年5連覇を果たし、永世棋王の資格を得ています。第29期竜王戦の挑戦者決定三番勝負を戦ったこともありますが(2勝1敗で渡辺棋王の勝利)、どのような印象を持たれていますか。

永瀬「渡辺棋王は、私の中では早指しのイメージがありますね。時間を残しつつ、決断よく最善手を指されています。理想的な指し回しですね。僕はそれほど早指しが得意なほうではなく、どちらかといえば長考派でしょうか」

―― そういう相手に、どう戦えば勝機を見いだせるとお考えでしょうか。

永瀬「始まってみないとわかりませんが、やはり局面をよくすることが大事ですかね。形勢が悪くて時間も少ないという状況になると、非常に厳しいです。時間にしろ、局面にしろ、何かしら主張点を作って五分の戦いができるようにしたいです。食らいついていけば、少しはチャンスを見いだせるはずです。」

―― 棋聖戦五番勝負の前半では、序盤でリードを奪えていたように思います。

永瀬「もちろんリードを奪えればそれに越したことはありませんが、渡辺棋王は棋界の一、二を争う序盤巧者です。研究はしていますが、どうなるかは蓋を開けてみないとわからないですね。」

――少し話題を変えます。昨年、菅井竜也王位と中村太地王座という、若いタイトルホルダーが誕生しました。

永瀬「同じ20代ですので、刺激を受けましたね。僕ももっと、頑張らなければならないと思いました。」

―― よく知られた永瀬語録として、「将棋で勝つために、才能は必要ない。努力がすべて」というのがあります。これは永瀬七段の将棋と向き合う姿勢のすごさを感じさせると同時に、敗者にとっては非常に厳しい言葉だとも思います。

永瀬「でも、その通りですよね。負けるのは自分の努力が足りないからであって、言い訳を他に求めてもしょうがありません。言い訳を考えている暇があったら、勉強したほうがいいと思います。もちろん考え方は人それぞれです。敗戦の痛みから自分を守るために、どこかで負けを消化しなければならないということもあるでしょう。言い訳ができるというのもある意味、力なのかもしれませんが、僕には必要ありません。勝つために、やるべきことをやるだけです。」

―― これは自戒というか、ご自身に向けた言葉なのかなとも感じました。

永瀬「僕にだけ当てはまる話ではありませんが、他人に努力を強要するつもりはありませんので、そうとも言えるかもしれませんね。」

この記事の全文は将棋世界2018年3月号(2/2発売)でお読みいただけます。

永瀬拓矢七段が教える「絶対にプロ棋士になれる方法」

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将棋世界編集部(著者)