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第67期王将戦挑戦者・豊島将之八段『持ち続けたタイトルへの思い』

【12月29日発売、将棋世界2018年2月号に掲載の本記事一部をご紹介します】

久保利明王将への挑戦権を争う第67期王将戦挑戦者決定リーグ最終戦が2017年11月21日に東京「将棋会館」で行われ、豊島将之八段が七年ぶり2度目の王将戦七番勝負登場を決めた。前回2勝4敗で敗れた時と同じ相手に挑む豊島八段が、挑戦権獲得までの道のり、現在の心境などを語った。

挑戦までの道のり

―― 挑戦権獲得、おめでとうございます。今期の王将戦は挑戦者決定リーグ戦からの出場で、開幕から4連勝でした。印象に残る一局を挙げてください。

豊島  渡辺明棋王との一局がいちばん印象に残っています。渡辺棋王の雁木に対して早繰り銀から急戦を仕掛けていく展開で、形勢は難しかったのですが、こちらだけ玉を囲えていたので、勝ちやすさを感じていました。しかしそこから力強い手を指されて途中は苦しくなり、迎えたのが最終盤の第1図です。

【第1図は△6四馬まで】

ここで▲5四馬と切る手を発見できて、「読み抜けがなければいけそう」と思いました。以下△同歩▲6五竜△7九歩成▲同銀△8七角で王手竜取りをかけられてしまうのですが、そこで▲7八香がピッタリの合駒。△6五角成には▲4三銀打からの詰みがあるので先手勝勢です。実戦は▲7八香で終局となりました。

―― この勝利で挑戦までマジック1となり、糸谷哲郎八段戦を迎えました。

豊島  糸谷八段戦は勝って挑戦を決められるようにと思って臨みました。少し前に指した三浦弘行九段との棋王戦の将棋と似た形になり、違っている部分が自分にとって有利に働くと思っていたのですが、糸谷さんに巧みに指されて、戦いが始まってすぐに形勢を損ねてしまいました。その後もいいところはなく、敗れてしまいましたね。

―― 6年前の王将リーグでは、5連勝でほぼ手中にしていた挑戦権を、最終戦とプレーオフで連敗して逃すという、苦い経験をしています。

豊島  よいことも悪いことも、昔のことはできるだけ忘れて、いまの状況に集中するようにしています。敗れはしましたが、気持ちの切り替えはできました。

―― 最終局は、挑戦の目を残す深浦康市九段との直接対局でした。

豊島  深浦先生の作戦は最近、よく指されている雁木模様の駒組み。こちらは後手番ですが、積極的に仕掛けていきました。中盤戦で駒がぶつかると、お互いに避けることのできない一本道のような、激しい終盤戦へと突入しました(第2図)

【第2図は▲7三歩まで】

難しい戦いでしたが、後手が優勢になって迎えたのが第3図。この△5二銀で勝ちを意識しました。

【第3図は△5二銀まで】

後手としては▲3四歩が怖い攻めですが、△4三玉▲3三金△同桂▲同歩成△同玉▲3四歩に△4三玉とかわしてぎりぎりしのいでいます。先手としては、攻めきるには駒不足ですね。この変化が大丈夫なので、実戦は▲6八飛と寄ってきましたが、△5六角成が攻防に働く味のいい一手で、以下は勝ちきることができました。

―― 終局直後の率直な気持ちは?

豊島  ほっとしましたね。しばらく対局が過密日程だったので、それが一段落したという意味でも一息つけました。

7年ぶりの再戦

―― 王将戦七番勝負は7年ぶり2度目の登場で、対戦する相手はそのときと同じ久保利明王将になります。

豊島  久保王将は同じ関西の先輩で、一時期はVS(1対1で行う研究会)でも教わっていました。高野山で行った合宿に連れていってもらうなど、とてもお世話になっています。「さばきのアーティスト」と呼ばれるように、振り飛車でさばいていかれる印象が強いですけれど、悪くなっても崩れない、粘り強さにも特長があります。

―― 7年前は2勝4敗で敗れました。

豊島  前回は自分にとって初めてのタイトル戦で、何もよくわからないまま対局をしていた気がします。敗因については、経験の差もあったでしょうが、純粋に実力が足りなかったですね。自分の力は発揮できたと思いますが、全体的に力の差を感じたシリーズでした。

―― その後、しばらくタイトル戦への登場はありませんでしたが、2014年に電王戦に出て、ソフトと戦いました。

豊島  コンピュータ将棋がプロのレベルに迫ってきた時期で、その頃、自分の勝率は7割を超えていたのですが、強くなっていく感じがあまりしませんでした。「このままではいけない、何かを変えていかなくては」という思いがあり、電王戦への出場を決めました。

―― 結果はソフト、YSSに勝利。その経験は大きかったのでしょうか。

豊島  それまで全く触れてこなかったコンピュータ将棋のことを少しは理解できたとは思います。しかし、それをすぐ自分の成長に結びつけることはできず、どういった勉強をすればよいかは試行錯誤しました。

続きは将棋世界2018年2月号にてお楽しみください。

 

※本記事はWEB掲載用に本誌記事から若干の変更を加えております


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著者

将棋世界編集部(編集)