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新刊案内「完全版 看寿賞作品集」(1) ~史上空前!3手詰の看寿賞~

こんにちは。趣味はピンボールの編集部島田です。

今日は超大型書籍の新刊案内いきます。その名も「完全版 看寿賞作品集」です!





1999年に発売された「看寿賞作品集」という書籍があります。この本では平成10年度までの看寿賞作品を収録していましたが、「完全版 看寿賞作品集」ではさらに平成27年度までの看寿賞作品を紹介・解説しています。

まさに、完全版。合計600ページ以上に及ぶ大作でございます。


本日はこの中から平成元年の短編賞を受賞した 行き詰まりさんによる「新たなる殺意」を紹介したいと思います。マイナビ将棋担当のツイッターでも出題させていただいたものです。

看寿賞作品なんてどうせ解けるわけない、と諦めてはいけません!なんと、この作品は3手詰です!!

3手詰ってことは王手→何かする→王手で詰みということです(当たり前)。それで詰将棋の最高の栄誉である看寿賞を受賞したことがビックリです。


では早速問題を見てみましょう。こちらです。





ふむふむなるほど。初手に龍を動かす王手は意味がなさそうですので、香を動かして開き王手するよりありません。


と、いうわけで玉の近くに▲7三香成と成ってみます。



※「杏」は成香です。

△9七龍と根本の角を取る手には▲7四龍で詰み。





△5四玉と逃げる手には▲5六龍!!がぴったりで詰みます。





いやー、良かった良かった。ぴったり詰んだわ。
さぁ飯食って寝よ、・・・と思うじゃないですか?

実は不正解なんですよ!!この順は!


実際、この▲5六龍の「ピッタリ感」があまりにもすごいので、これで解けたと勘違いした人が当時何人もいたとか。


「えっ?でも詰んでるじゃん」っと思いましたね?

違うんです、初手▲7三香成には△8六歩!!という絶妙の中合があるんです!





は?取りますけど?
と、言いながら▲8六同角。

そこで△5四玉。

で、さっきと同じように▲5六龍とすると・・・、





なななんと!!今度は△9八龍!!とこっちの角を取られて詰まなくなるんです!





いやー、びっくらこいた。

△8六歩の中合は9七の角を移動させて9八まで龍を直通させる意味があったんですね。


・・・ん? じゃあどうやったら詰むの?というのが次の問題です。


次に答えを書いてしまうので、自力で考えたいという人は、考えてから読んでください。








はい。正解は▲7二香成!!です。





えっ?ナニコレ?パリコレ?
なんと、この「いやぁ~、勢いあまってひとマス先までいっちゃったよ(笑)」みたいな▲7二香成が唯一の正解手なんです(まじか!)。


香が一つ先まで行ってしまったので攻撃力が弱まったように感じます。


しかしかかし!!

今度△8六歩の中合には▲7三龍!で詰むじゃあーりませんか!





あちょーーー!!

香が7二まで行ってくれたおかげで龍が7三に行くスペースが生まれていたとは!

ちなみに▲7二香成に△9七龍も▲7三龍までで詰んでます。


※この▲7二香成△9七龍▲7三龍が正解手順です。


7一でも7三でもない、▲7二香成。これが絶妙手。


3手詰で看寿賞はダテじゃないです。


急に語らせていただきますが、素晴らしい詰将棋の作品に対して最も深く感動できるのは自らも詰将棋を解き、創作している方々かもしれません。

しかし詰将棋にはそうでない人々も十分に感動させる力を持つものがあり、素晴らしい作品の解説を読めば、それぞれがそれぞれの立場で感じるものがあると思うのです。

私は本書の原稿を読みましたが、素直に「すげー」と思うのもある一方で、正直、その詰将棋がどんな詰将棋なのか、それを理解することすら難しいものもありました。ただ、その作品の素晴らしさをどうにかして伝えようという解説者柳田さんの熱意は原稿からビンビン伝わってきましたし、私もその熱量の一端を帯びて詰将棋の世界の深淵を覗けたような気がいたしました。

簡単に言うと、とても感動したということです。


本日紹介したのは3手詰でしたが、本書には3手~1525手詰まで、合計200以上の最高レベルの詰将棋作品が収録、解説されています。「詰将棋」というジャンルの到達点を示す記念碑的一冊です。

ぜひ、みなさんも本書で深すぎる詰将棋の世界をご堪能ください。


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