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新刊案内「大山VS米長全局集」 ~大山名人、絶妙の飛車引き~

こんにちは。好きな駒の書体は菱湖の編集部島田です。

菱湖といえば、7月22日のマイナビ女子オープン一斉予選で使用する496,800円の駒が将棋情報局で密かに販売されていることをみなさんご存じでしょうか?

→【第11期マイナビ女子オープン一斉予選使用駒】光匠作 盛り上げ駒 菱湖

駒を買っていただいて、一斉予選のうちの好きな対戦カードを指定していただき、実際の対局で使用して、対局者の署名を添えてお渡しするというものです。

この駒を買う猛者が現れることを期待しています。


さて、話は変わって今日も元気に新刊案内いきます。本日紹介するのは7月27日発売の新刊「大山VS米長全局集」です。



本書は「大山VS升田全局集」に続く「ライバル棋士全局集シリーズ」の第2弾となります。大山VS升田の次は当然中原VS米長かと思わせておいて大山VS米長というところがポイントです。


「大山VS升田」、「中原VS米長」に比べるとライバル感がないように思われるかもしれませんが、大山―米長というカードは実は103局も対戦があり、タイトル戦でも6回ぶつかっています。

それになにより、「こいつだけには負けられん!」という気迫がすごく、103局すべてが居飛車VS振り飛車の大熱戦になっています。

本書のまえがきをお願いした中原誠先生はこう言っています。

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 大山―米長といえば盤外での張り合いも有名で、二人が戦った王将戦で大山先生が番勝負の間、正座を通して防衛したことがあった。これを聞いた米長さんが2年後挑戦して今度は自分が正座を通してタイトルを奪取したというエピソードがある。
 私はそこまで張り合うつもりはなかったが、この二人は将棋だけでなく、人生観でも戦っているように見えた。そういう盤外の戦いが棋譜にも表れているから面白い。コンピュータの時代には見られない、まさに人間対人間の戦いと言えるだろう。
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「私はそこまで張り合うつもりはなかったが」というところが中原先生らしい感じで好きです。

さて、今日は本書の中から二人がタイトル戦ではじめてぶつかった第11期王位戦七番勝負の最終局、第5局を紹介してみたいと思います。


大山先生47歳、米長先生27歳のときで、大山先生の全盛期です。米長七段(当時)も気鋭の若手として頭角を表していましたがこのときは大山先生のほうが一枚も二枚も上手だったようです。

対局を見てみましょう。こんな感じに進みました。





いわゆるツノ銀中飛車というやつですね。それに対して米長先生は▲5七銀左の構え。

ちょっと進んでこうなります。





米長先生が△7五歩からつっかけて、大山先生は飛車を3八に転回しました。この▲3八飛は大山先生が舟囲いに対してよく用いる手法ですよね。

ここから▲6八金!△5三銀上▲5七金!が大山調。力強いです。もちろん本書を盤駒を使って並べるときは▲6八金、▲5七金の2手を指す時に「おおやまぁ!」「おおやまぁ!」と連呼することをお忘れなく。


さらに5七にいった金が6六~7六~6五~5四と敵陣に斬り込んでいって下図に。





ここに至る攻防も見応え十分で紹介したいところですが、紙面の関係でやむなく省略。ただ、局面をみるだけでも熱戦の感じは伝わると思います。

私が今日一番紹介したかったのが図での大山先生の次の一手です。

図は飛車取りで、飛車を横に逃げるのは角がタダ。▲6七歩と受ける手には△5七歩の切り返しがあります。

先手が困ったようですが、ここで形にとらわれない受けがありました。

ここで大山先生の指した手はなんと▲6九飛!!!





まじか!!!

香の利きにいる飛車を香車の利きに移動するとはなんという手でしょうか。
確かに△6九同香成なら▲7七角!があります。

うまいっ!! うまい棒のチーズ味(最強)くらいうまいです。

さらに数手進んで下図。





△4九飛と打たれた手に対して角を見捨てて▲3九金打。気がつけば金銀が玉の回りに集結してまさに大山流。ちなみに6七の銀は8六から移動してきたものです。

△5九飛成と角を取った手に喜んで▲5四角の王手飛車!・・・などという手を大山先生が指すはずがありません! 当然のように▲4八銀!!





・・・か、堅い。カタビッシュ有。テキサス・レンジャーズ所属カタビッシュ有。
ここへ来て金銀4枚の堅陣完成。これぞ大山将棋。
以下、おもむろに反撃に転じて最後は大差の完勝となったのでした。

将棋って、こうやって勝つものなんですね。


このタイトル戦は4勝1敗で大山先生の防衛となりました。本局は大山VS米長の序曲にあたるものですが、これから米長先生の反撃、さらに不死鳥大山の巻き返しとこの二人の対戦にはドラマがあり、歴史があります。


人間対人間の戦い。


みなさん、ぜひ手に取って鑑賞してみてください。



 

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