2017.04.11
【将棋世界のアプリレビュー】第1回 ぴよ将棋 ~名前に似合わず本格派のスマホ対局アプリ
記念すべき第1回は、「ぴよ将棋」をご紹介します。
名前からして、定番の初心者向けフリーソフト「ハム将棋」をほうふつさせる、かわいらしいのがウリのアプリかと思われるかと思います。
それがとんでもない。かわいい顔をして、明らかにガチです、こいつは。
ぴよ将棋のここがすごい1 やたらと強い
まずは将棋ソフトの肝。思考エンジンについて。
どれくらい強いかと言うと、編集部内でふだん三段~四段で指している面々がコロコロと負けます。
何年にもわたって一生懸命将棋の勉強してきた挙句、ひよこにひねられてしまうというのは、なんとも悲しいものです。
ひよこにひねられた例をひとつ。
横歩取りの将棋。▲2ニ角成と角を切ったところ。△同金なら▲7九金と逃げておいて一粘りできるかと思ったのですが、ぴよ帝(レベル20)は平然と△7八銀成と斬り合います。
以下しばらく王手で追いかけた後、仕方なく受けに回ったつもりの局面。
ところが、ぴよ、ノータイムで△6八金。▲同金△同成銀▲同玉に△7八金と捨てて、以下ピッタリの15手詰に討ち取られました。
強いのはよくお分かりいただけたかと思いますが、思考時間も短いんです。スマホ端末のCPUで考えているのに、最高レベルの20でも10秒以内(下のレベルならほぼ一瞬)とノンストレス。
高スペックのマシンで圧倒的に強いエンジンを作ることはできても、スマホのCPUの計算量で、速くて強いエンジンを作ることは簡単ではないはず。どんな思考エンジンを使っているのかと調べてみたところ、納得。
思考エンジンは、コンピュータ将棋選手権に長年参加していたK-shogiを使用しています。PCスペックが低い時代の選手権を戦ってきた老舗のプログラムだからこそ、少ない計算量でも強いエンジンを実現しているのですね。
ぴよ将棋のここがすごい2 やたらと充実した検討機能
対局終了後には、コンピュータの読み筋を確認したり悪手を指摘してくれる「検討機能」を利用することができます。
こんな感じ。形勢評価グラフも表示されて、どの手が悪手だったのか、どこで形勢が入れ替わったか、コンピュータがどんな手を読んでいたのかがひと目でわかります。
しかも、ぴよ将棋で対局した棋譜だけじゃなくて、他サイトなどで拾ってきた棋譜も確認できるので、たとえば「将棋ウォーズ」などで対局した棋譜をぴよ将棋で検討したりもできちゃうんです。
ぴよ将棋のここがすごい3 設定が細かい
「設定メニュー」を開いた時の画面です。
使用するCPUのコア数を選択できたり、人間が考えている間に思考を進めるいわゆる「先読み機能」も搭載していたり、検討機能を、レベルごと、考慮時間ごとに選択できたりと、実にかゆいところまで手が届く充実ぶりです。
こんなに充実しているのに完全無料。
しかもとっつきやすくてかわいいので、初心者の将棋ファンにも安心しておすすめできる。実にいい時代になったものです。