「升田幸三の孤独」郷田真隆九段の章|将棋情報局

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「升田幸三の孤独」郷田真隆九段の章

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昨日に引き続き、「升田幸三の孤独」の中から郷田九段の一部をご紹介。

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 平成二十三年のA級順位戦の初戦、郷田は渡辺明と対戦した。戦型は「角換わり腰掛銀」だったが、その変化の一つに、棋士間で研究し尽くされた形があった。激しい攻め合いから、最後は詰むや詰まざるや、の局面になるが、そこはコンピュータの威力で、詰みなしと結論が出ていた。
 郷田はそののっぴきならない手順を指した。控室も渡辺も驚いたそうである。広く知られ渡った定跡を知らないはずはない。郷田だから、きっと何か用意しているのだろう、と言った棋士もいたそうである。こういう所に郷田の信用があらわれている。
 並の棋士だったら、バカなやつ、と軽蔑されただろう。郷田は違ったのである。
 で、実戦はどうだったかと言えば、一本道で詰むや詰まざるや、の局面となり、そこで考えたが、コンピュータに誤りがあるはずがなく、郷田は敗れた。
 局後、周知の定跡であると知り、郷田は、「申し訳ないが、感想はありません」と頭をかいたそうである。
 こういった所に、情報なんて知っている方がよい、という程度のもの、という郷田の考え方があらわれ、熱烈な信者を持っているのである。

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発売は2月23日(土)の予定です。お楽しみに。

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