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みなさま、こんにちは。将棋書籍編集部です。

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今週発売の週刊将棋2月6日号に、「石田和雄名局集」、「現代将棋の思想~一手損角換わり編~」、「菅井ノート 先手編」のレビューが載っています。

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その中から、本日は「石田和雄名局集」のレビューをご紹介。

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「ここで元いた場所に5三角と引く手がありまして、これは、虚々実々の応酬でございます」。
 筆者は子供の頃、テレビで見る石田和雄九段の解説が大好きだった。口調は優しく、わかりやすい。そして、解説に夢中になると背中向きになって大盤を隠してしまうことがあり、子供心に「この人は本当に将棋が好きなんだなあ」と思いながら、楽しく見たものだ。
 小紙読者にとっても、石田といえば名解説者、多くの弟子を育て、地元で熱心に普及に励む「名伯楽」の印象が強いのではないだろうか。
 しかし、それは一面でしかなく、A級4期、棋戦優勝4回、タイトルにこそ届かなかったが、石田は言うまでもなく「一流棋士」なのである。

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 本書は、ファンに愛され、昨年惜しまれつつも引退した石田の将棋を100局収録。その中から、プロ初優勝を飾った第3期新人王戦決勝三番勝負第3局、対桐山清澄六段(当時)戦を紹介する。
 この将棋は持ち時間各5時間で、午後10時半頃に千日手が成立。30分の休憩ののち、指し直し局が始まった。
 千日手局については、こう述懐している。

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第1図がハイライトシーンで、「ここから▲6二飛と打ち込んで行った。△7二銀なら▲6三桂で押しきれたと思うが、桐山さんは△同金▲同角成△6四飛。いやはやしぶといのなんの」。顔をしかめ、身振り手振りを加えて説明するユーモラスな姿が目に浮かぶ。 ドリンク剤2本を準備、クーラーに頭をつけて冷やし、頭痛を抑えながら戦った深夜の激闘、勝負の行方は石田の好手で決まった。

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第2図の角取りに対し△3三桂と跳ねた手が「感動的な次の一手。いろんなところで問題として出された自慢の一手」となった。▲3五歩なら△2五桂、▲3四銀なら△3六桂、本譜▲2四銀には△同角と味良く逃げて、いずれも後手が優勢だ。
 切れ味のある指し手と好調子の解説に惹かれ、筆者は本局を含む「自戦記編」全19局を一気に読んでしまった。谷川浩司、森内俊之、佐藤康光や、大山康晴、中原誠、米長邦雄を撃破した将棋は「強い」の一言。いや、ここはあえてこう表現させていただこう。
「いやはや、強いのなんのって!」。   (草)

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