2014.06.10
下村記者の棋楽にいこう 第４手 願望が正夢に？
皆さんこんにちわ。週刊将棋の下村です。先週６月１日(日)は前記事の予想通り将棋大会に出て来ました。遅ればせながらそのリポートをお送りします。大会会場の茨城県桜川市は予想以上に遠く、高速道路が近くまで伸びているとはいえ、クルマで常磐道～北関東自動車道経由でゆうに１時間半はかかりました。受付締め切り時間が迫る中、なんとか滑り込みセーフです。「茨城新聞社杯西地区予選＆茨城王将戦」。長い大会名ですが２つの大会を兼ねています。前者は10月に行われる県大会の予選で、東西南北各地区上位８位までに入れば通過。後者は優勝を懸けて戦います。優勝特典は10月中旬に将棋の街天童での将棋大会にご招待です。
この日は全国的に30度以上と猛暑日。まだ体が暑さに慣れていませんが、将棋はインドアスポーツなので助かります。無差別級のＡ級にエントリーしていよいよ10時になり対局開始！です。前記事の埼玉県の「浅子杯」でも初戦敗戦と、筆者は立ち上がりが特に弱いので心配ですが、今回は予選で２勝したら本戦トーナメントに進出ということを、事前に友人に聞いていました。つまり１つは負けられるという安心感がありました。ところがそれはとんだニセ情報だったのです。
１回戦の相手は先週の浅子杯で優勝したＫさんと当たりました。茨城県で東京勢同士、いきなりの強敵ですが筆者の心の内は「ヤレヤレ…でも予選だから気楽に指そう！。負けても次に頑張ればいいもんね」。序盤から鋭く迫られて模様を悪くしましたが、肩の力が抜けていたのが功を奏したのでしょうか。形勢を挽回して勝ってしまいました。
続く２回戦は快勝です。これでまずは予選通過と思いきや、どうも様子がおかしいのです。改めて運営の方に聞くとリーグ戦の５回戦と言うではありませんか！。「エッ！そうだったの？」知らぬが仏とはこのことでしょう。50人近くが参加していたので初戦の１敗は結果的に致命傷でした。フゥー助かった。
２局目が終わるとお昼ごはんです。将棋大会のささやかな楽しみでもあります。茨城県の将棋大会は他県と比べると、お昼ご飯が美味しいという印象を持っていました。今回もお寿司！と将棋大会にしては豪華です。特に２勝して食べるので美味しさも２倍増しです。これで気を良くして勢いに乗ったのでしょう。３回戦、４回戦も勝ってなんと４連勝です。
５回戦は地元の強豪のＮさんと。最終戦なので力を振り絞って戦いました。四間飛車に対しすんなり居飛穴に潜らせてもらいましたが、Ｎさんは指し慣れた様子でとても強そうです。
第１図は模様が悪いと思っていました。７八の金が浮いているのが気になります。飛車打ちに弱い形だからです。図から△５六歩と取られると、▲同銀△５五歩▲４七銀は自信が持てません。危険を承知で▲３七桂と跳ねてみました。以下△３五歩▲同歩△５六歩▲同銀△３六歩▲４五桂までは自然な流れです。ここで△２二角とかわされても分からなかったですが、実戦は△同銀です。以下▲同飛△同飛▲同銀△４八飛▲６八角△４五飛成▲３四銀の展開も読みましたが良いとは思えず、▲同銀△３七歩成に飛車先を連打して押さえ込みの方針です。
手は進んで第２図は△５六歩と垂らされたところです。次に△５七金を狙われてとても悩ましい歩です。▲５五桂は△６二金引で指し過ぎの予感？。▲同銀では△４四飛で押さえ込みが破れてしまうし、▲同金は守備金が離れてしまいます。実戦は怖いので▲６八銀と投入しましたが果たしてどうだったか。△７八金と空間に置かれてもよく分かりませんでしたが、本譜は△５五金だったため、▲５六銀△同金▲同金△４四飛▲４五金と再び押さえ込みが続きます。
Ｎさんは飛車を見切って大サバキに打って出ました。数手進んだ第３図。△４七歩のタタキに▲同飛は△５六角などイヤなラインがあります。ここはチャンスと見て踏み込みました。以下▲５三歩成△同金▲同金△４八歩成▲８六桂の展開は王手が掛からない穴熊の強みが出て良くなったようです。その後も居飛穴の堅さが生きて寄せ切ることができました。
望外な５連勝。しかし全勝者がもう１人出たためもう１局指すことになりました。前局で体力を使いガス欠気味でヘロヘロになりながらも苦しい将棋を粘って逆転。なんと優勝！です。先週の記事の予定原稿が正夢になってしまいました。筆者も嬉しさよりもビックリです。
本紙講座でもお馴染みアマ強豪の美馬和夫さんも参加していて祝福してくださいました。ありがとうございます。帰りは交通事故に遭わないように慎重に帰京したのは言うまでもありません。地元北千住に帰ってきての祝杯はもちろんお酒が進みました。めでたし、めでたし。
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