雨宮編集長のコゴト@里見休場延長|将棋情報局

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雨宮編集長のコゴト@里見休場延長

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 里見香奈の休場延長が発表された。体調不良を訴え3月から休場していたが、追加の申請があり、12月末まで4カ月の延長となった。詳細は発表されていないが、体調が回復しなかったということなのだろう。残念というほかはない。
 
 タイトルホルダーが病気などで対局できなくなった場合どうするか、各棋戦で契約事項に含まれているはずだ。女流王座戦は挑戦者決定戦に進出した加藤桃子と西山朋佳が、そのまま番勝負を戦うことになった。おそらくトーナメント形式で挑戦者を決める棋戦は、ほとんどそういう対応になると思われる。
 
 女流王座の失冠が確定した里見は、保持タイトルが女流名人だけとなった。休場がさらに延長されると、この一冠も失うことになる。回復を祈るのみだ。
 
 女流タイトルは、元気になってから取り返しにいけばいい。時間はたっぷりある。そういうわけにはいかないのが、年齢制限がある三段リーグだ。これで貴重な2期を失った。
 
 筆者が里見と初めて会ったのは、2003年5月18日。レディースオープン・トーナメント予選の日だった。里見は小学校6年生。写真はそのときのものだ。
 
 マイナビ女子オープンの前身であるこの棋戦は、当時はアマチュア枠がある唯一の女流公式戦だった。担当だった筆者は、小学生のなかで男子に混じって活躍していた里見に出場を依頼した。

 
 4人一組のブロックで、里見の相手は藤田綾。茶髪で高校の制服姿が当時の対局スタイルだった。となりは矢内理絵子と坂東香奈子の対局。矢内が里見を見てニッコリ笑ったのを覚えている。
 対局は相振り飛車で藤田有利になった。腕力だけの小学生では、プロの序中盤に圧倒される。このまま藤田の圧勝だと思った。
 ところが、そこから里見が猛烈な追い上げをかけた。最終的には届かなかったものの、こういう終盤の迫力は当時の女子アマにはなかった。盤に向かう集中力は、並みの小学生のものではなかった。藤田はよく逃げ切ったと思う。
 
 ちなみに、隣で対局していた矢内は坂東に惨敗を喫し、この年最大の番狂わせといわれた。矢内と里見は、後にこの棋戦の最後の決勝三番勝負を戦う。
 
 さらにちなみに、藤田はこの対局の後、女流デビュー間もない里見にも勝った。里見との対戦成績は2-0のまま。
 
 話を2003年に戻す。
 そのときの里見は純粋に女流棋士を目指していて、当日は女流育成会幹事の説明も聞いていた。筆者は付き添いで来ていた父親と話す時間があり、奨励会に入るつもりはないかと聞いた。本人にそのつもりはないし、現実的に出雲から例会に通わせるのは無理、とのことだった。惜しい、と思った。
 
 あれから11年もたった。それでも、当時の里見の鮮烈な印象は忘れられない。話を聞くと、スカートとモーニング娘が嫌いな女の子だった。

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