下村記者の棋楽にいこう 第39手 ウラ芸の振り飛車が登場?|将棋情報局

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下村記者の棋楽にいこう 第39手 ウラ芸の振り飛車が登場?

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中  みなさんこんにちは。週刊将棋の下村です。毎日寒い日が続いています。でももう少しすると3月。春の足音ももうそこまで来ているはずです。将棋界も各クラスの順位戦、王将戦、棋王戦と決着を迎えるシーズンです。

 王将戦七番勝負は第4局を迎え、このブログを書いている時点ではまだ1日目の序盤戦です。郷田九段相手に渡辺王将がシリーズ初の振り飛車を採用しましたね。

 基本は居飛車党の渡辺二冠ですが、トップ棋士として芸域を広げているのでしょう。時おりみせる振り飛車も印象深いものがあります。大一番で指し慣れない戦型を採用するのは勇気がいることですが、同じ戦型ばかりではなく、ファンにたくさんの戦型を楽しんでもらおうという考えもあるのかもしれません。居飛車vs振り飛車の対抗形はアマチュアにも人気があるだけに、観戦していても楽しいですね。

 棋譜データベースを調べてみましたが、渡辺二冠が本格的に振り飛車を実戦投入したのは、ちょうど昨年の今頃でした。2月14日の王位リーグの佐藤康光九段戦で、ゴキゲン中飛車を採用しています。残念ながら敗戦でしたが、なんとその4日後の王将戦第4局、そのまた4日後の棋王戦第2局とゴキゲン中飛車を3連発です。

 そしてタイトルの行方が決まる昨年の王将戦第7局では、羽生三冠(当時)を相手にゴキゲン中飛車を採用して、渾身の防衛を決めた1局はとてもインパクトがありました。ファンも渡辺二冠の振り飛車がウラ芸として、強く印象づけられたのではないでしょうか。

 筆者はさぞや白星を稼ぎまくっているだろうと思い、勝敗も調べてみました。ところが衝撃の事実にビックリ!です。昨年2月~現在まで、ゴキゲン中飛車6局(2勝4敗)、角交換四間飛車4局(0勝3敗・現在進行中の王将戦を除く)と10局採用していますが、圧倒的に負け越していたのです。

 今回の王将戦第4局は負ければ、タイに持ち込まれる重要な1局です。それでも渡辺二冠はまったく結果の出ていない角交換四間飛車をあえて採用しました。もちろん準備なしに採用しているとは思えませんが、その心意気こそトップ棋士の気概なのでしょう。

 真意を知りたいところですが、今は番勝負の最中です。シリーズが終わってインタビューをする機会があればご本人に聞いてみたいと思います。何か新しい鉱脈を見つけたのか?それとも秘策を用意しているのか?想像をめぐらせながらネットで観戦を楽しんでいます。
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