雨宮編集長のコゴト@スカイクロラ|将棋情報局

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 今日、仕事が何事もなく終わったら、歯医者へ行って親不知を抜く。上下左右のすべてにあった親不知の、左下に残った最後の1本だ。ほぼ真横を向いて奥歯に接している。できれば墓までいっしょに行きたかったが、接している奥歯が虫歯になり、治療のためには抜くしかなくなった。
 医者からは、けっこう荒い抜き方になるかもしれない、腫れるかもしれない、と脅かされている。週明けには顔が変わっているかも。勝ちはなく、よくて引き分けの勝負。
 祈ろう。

さて、またまた読書のネタから。

 森博嗣の「スカイ・クロラ」シリーズを読んでいる。敬愛する押井守監督がアニメ化した小説だ。映像作品を先に見て、あとから原作を読むのが私の定跡。アニメを見たときは、その独特の世界観が印象的だったが、原作を読むと、なるほどと思う。
このシリーズの主人公は、戦闘機のパイロットたち。それも「キルドレ」という特殊な境遇にある少年少女だ。シリーズは彼らが一人称で語る形式で、空中戦シーンがみどころになっている。
 なぜ、こんなことを書いているかというと、この主人公たちのマインドが将棋指しに似ているところがあるのではないかと感じたからだ。

 彼らは一人で空を飛び、一人で戦うことを唯一の生きがいにしている。人から見ればつらく厳しい環境のはずだが、彼らにとってはそこでしか自分が生きていることを実感できない。
 実際には、飛行機を作る人がいて、整備する人がいて、燃料を手配する人がいて、滑走路を清掃する人がいて。そういう人たちがいなければ、戦闘機は飛べない。
 明るいストーリーなら、そういうチームとしての一体感、高揚感を描くのだろうが、このシリーズはあくまでもパイロット個人の視点で語られ、その心象が描かれる。主人公たちは孤独で、悲壮で、残酷なのだが、それでいて不思議な透明感がある。

 将棋指しと似ているなどと感じたのは、飛躍が過ぎたかもしれない。パイロットとの共通項など、特殊な能力があること、一人で戦うことくらい。戦闘機のパイロットは負けたらほとんど死ぬが、将棋の対局に負けても命は取られない。
 それでも、将棋指しのマインドに孤独で、悲壮で、残酷なものは間違いなくある。そして不思議な透明感もある。

 主人公たちが飛びたい、戦いたいと願うのは、それが求めるもののすべてだから。何かを守ろうとか、復讐しようとか、そういう動機はほとんどない。
 将棋指しが、指したい、戦いたい、最善手を知りたいと思うのは、伝統文化のため? それとも生活のため? 実生活との折り合いをつけるうえでは、そういうことになるのだろうが、本質的には違うという気がする。

「スカイクロラ」シリーズを読んだ棋士がいたら、ぜひ感想を聞いてみたいと思う。それまでは、筆者の妄想に過ぎません。
 
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