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 新オフィスへの引越しから数日。どうにか落ち着きを取り戻してきました。ビルが変わると、照明やら空調やら門限やら喫煙所やら、いろいろとルールが変わります。うっかりコンビニに行ったらビルに入れない、なんてヘマをそのうち誰かがやるでしょうが、今のところ緊張感もあり、そんなトラブルも起こっていないようです。
 読者のみなさまには各種応募先の変更などでお手数をおかけしますが、旧住所宛に送ってもちゃんと届きますので、ご心配なく。今後ともよろしくお願いします。

そんなこんなで編集部がバタバタしている間も、将棋界では大きな勝負がいくつもありました。

 佐藤天彦八段。王座戦で初のタイトル奪取まで「あと1勝」としています。
 あと1勝……。これがどれほど遠いものか、実例には事欠きません。勇者アマヒコは、到達できるでしょうか。

 そして一番の驚きが大橋貴洸三段。新人王戦決勝第1局で菅井竜也六段に完勝しました。優勝まで「あと1勝」です。
 六段と三段という差が数字ほど単純なものではないことは承知していますが、公式戦勝率が7割を超える菅井六段はガチガチの優勝候補です。大橋三段が優勝を果たしたら、今期一番の事件といえるでしょう。
 ところで、将棋界にとって大橋という姓は特別な意味があります。初代名人の大橋宗桂に始まる家元の名前です。のちに分家も起こり、伊藤家も起こり、この3家で江戸時代の名人を継承しました。
 現将棋界に、これら3家直系の子孫はいないはずです。それでも世間話のなかで「伊藤姓の棋士は何人もいるのに、大橋姓の棋士は1人もいないね」なんて話題が出たりもします。
 今回の新人王戦で大橋三段が優勝、あるいは三段リーグを勝ち抜いて棋士になれば、100年以上の時を経て大橋姓が将棋界の歴史に復活するのです。
 大橋三段にとっては「?」な話かもしれませんが、筆者はちょっとワクワクしています。
 
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