雨宮編集長のコゴト@持将棋|将棋情報局

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雨宮編集長のコゴト@持将棋

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中  女流王座戦第3局が女流タイトル戦で初の持将棋となった。持将棋模様という対局はあっても、どちらかが破綻して決着がつくものも多く、それはそれで技術がともなっていないと持将棋は成立しない。さすがは現奨励会有段者と元奨励会員の戦いと、妙な感心をした。

 持将棋の扱いは千日手と混同されることがある。どちらも将棋会館などでの通常対局では即日指し直しになるので、印象がごっちゃになるのだ。
 千日手はタイトル戦であっても、あくまでも指し直す。即日ではなく、後日になっても指し直す。つまり千日手による引き分けはない。
 仮に番勝負の第1局が千日手になり、即日指し直しが現実的ではない時間帯だったら、第2局の予定日に第1局の指し直し局が指されることになる。
 タイトル戦、またはそれに準じる対局の持将棋は、引き分けとして扱われる。仮に第1局が持将棋だったら、次局は第2局になり、五番勝負だったら第6局までいく可能性がある。
 以上は基本的な考え方で、詳細は各棋戦ごとに定められており、若干の違いがある。

 重ねてルールの話で恐縮だが、相入玉と持将棋はイコールではない。入玉は相手陣に玉が入ったというだけのことで、持将棋の成立には小駒=1点、大駒=5点として双方24点以上が必要。両対局者の合意があれば、必ずしも相入玉している必要はない。

 以上は観戦の手引きとして。
 以下が本題。

 相入玉模様になると、持将棋を見据えた点数勝負になる。つまり、歩と金は同価値になり、大駒と等価交換するためには小駒5枚が必要になる。「二枚替えなら…」という格言は通用しない。駒の損得の概念は崩壊し、上達のために覚えてきたことが役に立たなくなってしまうのだ。
 筆者はこの点数勝負が嫌いだった、というより苦手だった。玉をさばく将棋は好きなので入玉は嫌いではないのだが、この点数勝負への切り替えができずに自滅することが多かった。そういう人が、きっと多いのではないかと思っている。
 さきの女流王座戦でも、対局者が点数を勘違いしていた。秒を読まれながら点数を数えて指し手を考えるのだ。とても人間らしいエピソードだと思った。

 ところが、この点数勝負を得意にする人がたまにいるのだ。意味が分からない駒の捨て方、取り方をして、気がつけば24点以上を確保し、そういうころには相手の感覚が破壊されているので、楽々と点数勝ちに持ち込む。
 入玉して24点確保すれば、確かに負けはない。それにルール内のことなので、あからさまな文句はいえない。それでも、金銀4枚と角を交換して「1点得した」と言われたら、冷静ではいられない。
「お前、どこで将棋を覚えた!」

 コンピュータ将棋では、持将棋への対応は進んでいるのだろうか。点数勝負は、それへの切り替えさえうまくいけば、いかにもコンピュータの領分に思える。もし本気で入玉・点数勝ちを狙うプログラムが成立したら、人間は歯が立たないかもしれない。
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