将棋情報局

雨宮編集長のコゴト@2015年十大ニュース

 クリスマスの時期は毎年、合併号の制作でバタバタするので、サンタさんもトナカイさんも、いつのまにか通り過ぎてしまいます。せめてもと、コンビニケーキを同僚と分け合ったりしたこともありますが、今年はそんな悲しい事態にすらなりませんでした。
 なんにしろ、今年も押し詰まりました。昨年同様、2015年の将棋界10大ニュースを考えてみました。自分にとっての衝撃度を尺度に選んだので、公平ではありません。「あいつは、そんな風に見ていたのか」という目線で見ていただければと思います。
 なお、本紙休刊と訃報については対象からはずしました。

第1位 稲葉聡さんが加古川青流戦で優勝
 アマチュアがプロ公式戦で歴史的初優勝です。稲葉聡さん(編集部では稲葉兄と呼んでいます)の健闘は見事ととしか言いようがありません。決勝三番勝負の第1局を逆転で落としたときは、さすがにもはやこれまでと思いましたが…
 むしろ気になったのは、プロ側がこの事実を比較的スンナリ受け入れているような印象だったことです。もちろん出場資格が四段と三段という棋戦ですから、全棋士参加棋戦の優勝とは同列に論じられません。それにしても、当事者である若手プロは、アマチュアに優勝されたことをどう思っているのでしょう。

第2位 吉田正和五段が結婚、渡辺に改姓
 聞いてビックリ、という意味では、これが今年一番のニュースでした。お相手のこともそれなりに驚きましたが、男性棋士の改姓には完全に意表をつかれたのです。改姓した女流棋士は何人もいますが、男性棋士でもありうるという想定がまったく欠けていました。
 いつのまにか、「普通は」女性が改姓するという固定観念が自分の中で定着していたのでしょう。
 考えてみると、家族制度が強固だった昔は、家の存続のために男子を養子にする、婿入りするというケースは今より多かったはずで、男性の改姓はめずらしくなかったでしょう。江戸時代の家元である大橋家や伊藤家にも、外から多くの逸材を取り込みました。

第3位 リアル車将棋
 日本橋三越で開かれている報道写真展を見に行ったら、これが展示されていました。
 こんな企画、思いついたとして本気で実行するでしょうか。しかも羽生善治と豊島将之を引っ張ってきたのです。従来の将棋イベントの殻を打ち破った企画でした。
 もっとも、不満もありました。過去の名車を出すというならS800や2000GT、ソアラやセリカも見たかった。

第4位 藤井聡太
 12歳で詰将棋解答選手権チャンピオン戦優勝!
 13歳で三段に昇段!
 来期の三段リーグは、女性2人とともに藤井三段の成績に注目が集まるでしょう。
 それにしても! 家の近所に小学校も中学校もあるので、そういう年代の騒々しいガキども、もとい、元気な子どもたちは山ほど見かけていますが、まあ子どもですよ。当たり前ですが。それが下手すりゃ1年後にはプロの先生ですよ。

第5位 王将戦第5局短縮開催
 もともと王将戦は冬場にも関わらず、寒い地方での開催が多いようです。佐渡開催も定番です。だから、いつかは起こりうることだと思っていました。
 中止なのか、短縮してでもやるのか、紙面構成上は大きな問題です。取材に派遣した下村記者からの連絡をやきもきしながら待っていました。

第6位 カロリーナ女流誕生
 ついに、初の外国人プロが誕生しました。このときのリリースで、ミドルネームがあることを知りました。厳密には女流3級は仮資格ですが、堅いことは言いっこなしで。将来、これが大きな第一歩であったと言われるように、頑張ってほしいと思います。本人は「初段になりたい」などと言っていますが、まずは「2級」になることですよ!
 筆者が把握している限り、奨励会に1人、研修会に1人、外国籍の会員がいます。まだまだ少ないですね。
 普及活動を極端に単純化すれば、要は「きっかけ」と「受け皿」です。「きっかけ」作りに目が行きがちですが、「受け皿」は重要です。カロリーナの場合は、本人の自覚とともに、受け入れがうまくいったケースだと思います。将棋留学生をもっと受け入れられる体制ができるといいのですが。

第7位 里見香奈21連勝
 もちろん、強いことは分かってます。それにしても、休場明けからの勝ちっぷりはすごかった。コンディションに不安があるぶん、集中力が増しているのでしょうか。史上最強の女流棋士であることは間違いありません。
 連勝がすごすぎてあまり話題にならなかったのですが、女流タイトル通算獲得数も、中井広恵女流を抜いて2位になりました。トップの人は倍以上獲得してますから、追いつくにはしばらく時間がかかります。
 さすがに三段リーグではなかなか勝てません。今期は順位をどこまで上げられるか。「三段リーグの2分の1、そこまでいかなくても3分の1が女性なら、女性四段は普通に誕生する」が筆者の持論です。そこまで行くにはまだまだ時間が必要ですが、来期はついに複数の女性が三段リーグを戦うことになります。まさかアベック昇段なんてね?

第8位 叡王戦創設
 新棋戦の創設は、何よりめでたいことです。段位別予選という方式は、昔あった棋戦でも行われていたので驚きはなかったのですが、エントリー制導入は「ムム、やるな」と思いました。
 エントリー制そのものは以前から話は出ていました。女流棋戦では導入されています。他の競技でも普通に行われているシステムであり、ついに来たか、という感じです。
 当然、「あの人は出るのか、出ないのか?」というドキドキ感があり、実際、第1期は大物の不参加がありました。それがまた、このトーナメントの楽しみでもあります。
 決勝三番勝負は、2局ともいかにも人間同士の戦いという熱戦でした。郷田真隆-山崎隆之という組み合わせも絶妙でした。

第9位 リコー杯が女流棋戦初の第6局に
 リコー杯女流王座戦は第3局が女流タイトル戦初の持将棋となり、2勝2敗1持将棋で年を越しました。1月6日の第6局は、女流棋戦として初の第6局になります。
 ちなみに今年度は名人戦、王位戦、竜王戦の七番勝負がすべて第5局で終わりましたので、全タイトル戦通じて今年度初の第6局というオチもあります。

第10位 3棋戦連続20代挑決
 棋聖戦で佐藤天彦-豊島将之、王位戦で広瀬章人-菅井竜也、王座戦で再び佐藤天-豊島。きちんと調べたわけではありませんが、少なくとも羽生世代が30代になってからは初めての事態でしょう。
 もっとも、挑戦者は3人とも返り討ちにあい、その点では盛り上がりに欠けました。誰か1人でもタイトルを取っていれば…

 
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