マイナビ女子オープン第3局と嬉野流と風車|将棋情報局

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マイナビ女子オープン第3局と嬉野流と風車

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 みなさんこんにちは。
GWはどこにも行かなかった編集部の島田です。

今日はマイナビ女子オープン第3局が将棋会館で行われました。
加藤女王が上田挑戦者に2連勝して迎えた第3局、ストレート防衛か、挑戦者が1勝を返すかの注目の一番。
わたくし、こっそり見学して参りましたので、ご報告申し上げます。


【第1幕 予想が当たった】

本局の立会人はなんと深浦先生!豪華~。私が控室に入ると、中央で検討しておられました。



私が入ったときの局面がこうです。



加藤女王得意の居飛車穴熊に対して上田先生も十八番の振り飛車穴熊!・・・と見せかけて美濃囲い。

加藤女王が▲4八飛と強気にぶつけたところです。

私、僭越ながら深浦先生の隣に座らせていただいて、さらに僭越ながらこう質問したのでございます。

「飛車をとって飛車を打つのはどうですか?」

つまり図から△4八同飛成▲同金△2八飛です。



これで先手困ってるように見えるじゃないですか。金と桂の両取りが受かりません。
まさか△3八角と受ける手はないですし。

すると深浦先生がこう言われました。
「まぁ底歩ですか」

つまり△2八飛に▲4九歩。



はっ、そうか、底歩があったか!堅いやん!

深浦先生は
「そこで△4七歩でどうかということですよね」



私、そもそも▲4九歩に全く気づいてなかったんですが、もちろん平然と
「そうです」
と答えました。
その後も分かったように△4七歩の局面でうんうんを考え込んでおきました。あぶね~。
証拠の継ぎ盤がこちら。



考えているうちに局面が進みます。すると何ということでしょう!深浦先生と私の検討通りに指し手が進むじゃありませんか!

いやー、嬉しかった。ここ最近で一番嬉しかったです。

 

ここで「」の文字を使ったのがポイント。流れるように第2幕へ。


【第2幕 深浦先生と嬉野流】

そうです。第2幕は今話題沸騰中の嬉野流の話です。



控室で深浦先生を見たときピーンときた私。
以前天野さんにインタビューして嬉野流の創始者であるところの嬉野さんとの出会いについてうかがったのですが、そのとき嬉野さんは九州では知る人ぞ知るアマ強豪だと聞いていたのです。
深浦先生も九州出身・・・。
もしかしたら知ってるかもしんない!

そこで私は深浦先生にこう切り出したのでございます。

「先生、今度天野さんが嬉野流という戦法の本を出すのですが、九州の嬉野さんという方をご存じないですか?」

そしたら、
九州の天才少年ですね?」
おお!知ってる!

聞くところによると、先生が小学校高学年ときに嬉野さんは低学年で天才少年として名が知れ渡っていたそうです。なんと深浦先生が「目標にしていた」というから驚き!

・・・嬉野さんってそんなにすごい人だったんや。
知らんかった。。。


さらに深浦先生が「忘れられない」というほどの衝撃を受けたのが
あの二人の回り将棋」。

「あの二人」というのは嬉野兄弟のこと、嬉野さんにはご兄弟がいるようです。なぜ回り将棋が忘れられなかったかというと、嬉野兄弟の回り将棋というのが、16や23みたいな大きな数も出るようなルールでやっていて、とにかくそれがめちゃめちゃ「速かった」ことに驚いたそうです。

つまり、大きな数が出たときに「1、2、3、・・・」みたいにひとマスずつ駒を進めるんじゃなくて、瞬時に行くべきマスに駒を置いていたそうなんです。

高学年の深浦先生が驚いたというそのスピード、どれくらい速かったんですかね。
回り将棋を尋常じゃないスピードでやる兄弟。確かに怖いです。

そのお話をうかがったあと、「嬉野流」をこれみよがしに説明してしまいました。深浦先生、聞いていただいてありがとうございます。深浦先生も「面白い作戦ですね」と言ってくださいました。プロの公式戦で現れる日も近い、かもしれません。

そういえば、ここでビックニュース!
嬉野流が「将棋クエスト」の「戦法辞典」に加わったんです!



まだiPhone版にしか実装されていませんが、結構指されてます!

ランキングを見てみるとすごくレーティングの高い人もいらっしゃいますね。

世界に広げよう!嬉野流の「わ」!


【最終章 伊藤先生と風車】

この対局のもう一人の立会人は伊藤果先生。上田先生の師匠ですね。
伊藤果先生といえば詰将棋。控室でも「最近では一番よくできた作品」という詰将棋を披露されて、控室に訪れるプロ棋士を悩ませていました。

ま、当然私が解けるわけはございません。


対局が終わったあと、少し時間がありましたので、伊藤果先生が現役時代勝率7割超えを叩きだしたという、あの伝説の「風車(かざぐるま)」を伝授していただきました。

伊藤先生、初手から丁寧に教えていただき本当にありがとうございます!

「風車」を知らない方も多いでしょう。(恥ずかしながら私も知りませんでした)

伊藤先生に教えていただいた「風車」の完成形がこちら!



まじか!?っていうくらい見たこともない陣形です。

角が5七にいて綺麗な対称形になってます。
この形に組めれば負けてもいいと思える美しい陣形」と先生がいってました。
確かに実戦でここまで組めたらその時点でガッツポーズです。

細かい手順はすでに忘れましたが(苦笑)、玉が3八に上がってから4九~5八と戻ってくるのがなんとも言えません。

で、これが絶妙のバランスで意外に破れないんですよね。
この作戦は先手でも千日手歓迎、相手が何かしてきたらカウンター、あるいは入玉を狙うという斬新過ぎる発想。

特に4枚穴熊に対しては非常に有力な戦法だそうです。
早速将棋クエストでやってみようと思った次第。

と、いうわけで報告は以上ですが、忘れてはいけないのが野月先生
控室におられて、分かりやすい解説をずっとされていました。

私も本局のポイントと、感想戦でも現れていた▲4九歩△4七歩に▲4六角ならどうだったか?(実戦は▲5五歩だった)という辺りを私でも分かるように教えていただきました。本当にありがとうございました。

この将棋の詳しい解説は週刊将棋に掲載されます。
気になる方はぜひご購入ください。


以上、報告でした。盛りだくさんの一日で、いち将棋ファンとして贅沢な時間を過ごさせていただきました。先生方に感謝感謝です。

マイナビ女子オープン、第4局もどうぞお楽しみに。

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