鈴木記者のチョイネタばらし「23年前の順位戦プレーオフ」|将棋情報局

将棋情報局

鈴木記者のチョイネタばらし「23年前の順位戦プレーオフ」

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 みなさま、こんにちは。将棋世界編集部の鈴木です。

A級順位戦は行方尚史八段、渡辺明二冠、久保利明九段、広瀬章人八段が6勝3敗で並び、名人挑戦者の決定はプレーオフに持ち越されました。
4者によるプレーオフは、第50期以来、実に23年ぶりとのことだそうです。いやはや、すごいことになりましたね。

さて、その第50期の4名は誰かというと、谷川浩司竜王(当時)、南芳一九段、高橋道雄九段、大山康晴十五世名人でした。
なんといっても大山十五世の名前が目をひきます。このときの最終戦では、四冠王として最も充実していた谷川竜王を相手に、「これぞ大山の金(▲6七金)」という盤石の受けを見せて快勝しました。オールドファンの方であれば記憶にあるでしょう。

大山十五世は当時、年末に2度目のがん手術を行い、年明けの7戦目(対高橋九段戦)の自戦記を将棋世界に書いています。その中で、とても印象に残っている文章がありますのでご紹介いたします。

――この戦いの前に、私の順位戦成績は3勝3敗。
「僅かながら、まだメが残っているので、病み上がりなのに大変ですね」と、ある人に言われた。
「そうなんですよね。まだメがあるので頑張らなければ」と、これが私の答え。
しかし、その後の会話が、どうもチグハグで噛み合わない。おかしいと思っていると、その方の言われているのは、降級のメ、私の言っていたのは名人挑戦者のメ、だったのだ。
A級陥落=引退、を心配してくださっての言葉で、それはそれで有難い気持ちだし、嬉しく思うのだが、後ろを気にするような消極的な姿勢、考え方は、勝負にとってマイナスであると思う。
少しでも可能性が残されている以上、常に目標は高く前向きに置き、積極的に挑んでいかねば進歩はない――



見据えるのは当然「挑戦」のほう。これをさらっと言ってのける大山十五世(当時68歳)に驚愕です。
プレーオフはパラマス方式(下位者の勝ち上がり形式)で、3月の5日、10日、16日に行われるとのことです。「可能性」をものにするのが誰か、目が離せませんね。

 

  お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者