将棋情報局

新刊案内「摩訶不思議な棋士の脳」 ~先崎学九段の痛快将棋エッセイ~

皆さんこんにちは。
地元市川市の将棋大会に参加しようかどうか迷っている編集部の島田です。

今日は、将棋の読み物が好きな方にぜひ読んでいただきたい先崎先生の本をご紹介いたします。
その名も「摩訶不思議な棋士の脳」です。



タイトル:摩訶不思議な棋士の脳
著者:先崎学
価格:1,540円+税
発売日:2015年11月25日(水)


週刊文春で連載されていた「先ちゃんの浮いたり沈んだり」から70編を収録したものです。書籍化にあたり、半分以上のページに先崎先生の現在の視点でのコメントを入れていただきました。

先崎先生、お忙しい中ご執筆いただき誠にありがとうございました。

さて、本日は収録された70編の中から、私的に好きなものを3つ、少しずつですがご紹介いたします。

まず一つ目は「対局室の静寂を乱すのは外の喧騒か、棋士自身か」。

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そのもの凄い風が吹いたのは、朝からの雨がすっかり上がった午後二時頃の対局室でのことだった。窓の外で「ピュー」という強い風の音がする。
三部屋をぶち抜いた大広間では、八局の対局が行われていた。十六人の棋士(男ばかり)が苦虫を噛み潰したような顔で将棋盤とにらめっこしている。
また、さきほどにも増して凄い風が吹いた。誰も何もいわず、反応しない。対局室もちょっとのんびりした時とピリピリした時があるが、この日はピリピリしたほうの日で、風の音どころじゃなかったのである。
そんな張りつめた対局室の空気も、次の攻撃の前には、ひとたまりもなかった。
その攻撃とは、ギョーザ攻撃である。
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将棋ファンには中をうかがい知ることのできない対局室の様子が伝わってきます。静寂を乱した「ギョーザ攻撃」については本書でご確認ください。


二つ目は「中村太地六段の躍進と春の珍事」から。
中村先生が羽生先生への挑戦を決めた話のあと、羽生先生について語っています。

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その羽生だが、最近対局中の姿を見たら、大分白髪が増えていてちょっとびっくりしたことがあった。そして、ここ数年の彼には、どことなく屈託のようなものが感じられる。酒ばっかり飲んでいる私とは違い、俗っぽさとは無縁に見える羽生だが、年相応に世俗の苦労を味わっているのではないかと邪推している。
その点、森内俊之、佐藤康光のふたりは少年時代とまったく雰囲気が変わらない。見事なくらい、まんまである。
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こんな風に羽生先生、森内先生、佐藤先生の3人を評することができるのも先崎先生ならではです。
他にもプロ棋士の話がたくさん出てきますが、みなさんの人となりが知れて面白いです。


最後は先崎先生の日常を描いた「風邪と素数と詰将棋」。
風邪をひいたのに咳でなかなか寝つけないときにどうするか、という話です。

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知合いの将棋ファンの人で、こんな時は、詰将棋を解くという人がいる。難しい形と格闘しているうちに、いつの間にか穏やかな眠りに入れるという。その感じは分るような気がする。
私のばあいそうしたら詰碁か。しかしこれが駄目なのだ。私は詰碁というものが決定的に苦手というよくあるタイプのアマチュアで、すぐに答えを見てしまう。それも、ロクに考えずに答えを見るので、答えを見た後でも意味が分らないという有様なのである。碁が強くならない訳だ。
むしろ、詰将棋のほうがいい。熱と咳が爆発している時に商売モノを考えるなんてどうかしているのだが、どうせならすこしでも有効に時間を使おうという、ケチな精神である。この時を利用して強くなろうなどという純粋な考えではない。まあ習性のようなものである。
ところがやっぱりイライラしているとアカンのだ。三十秒して、発作が起こるたびについ答えを見てしまう。はやいはなし、根気がなくなっているのである。(中略)

詰碁も駄目、詰将棋も駄目。そんな時によくやるのが、素数を計算するという方法である。数の中で、一とその数以外に約数を持たないものを素数というのだが、でかいケタのある数がこの素数であるかどうかを考えるのだ。
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風邪をひいているのに素数計算とは棋士の先生らしい(?)というか、かなり変わってますよね。
この話もオチがついてますので、こちらも本書でご確認を。

私も今度風邪ひいたら素数計算をやってみようと思ったんですが、何故かまったく風邪をひきません(馬鹿だから?)。

と、こういった感じで、プロ棋士の将棋、プロ棋士の人となり、先崎先生の日常などなど、盛りだくさんの70編になってます。

文句無しに面白いエッセイですので、指す将棋ファンの方も、観る将棋ファンも方も、とにかくすべての将棋ファンの方に読んでいただければ幸いです。

発売は来月25日。ご期待ください。


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