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新刊案内「勝てる将棋の考え方 新・イメージと読みの将棋観」 ~羽生善治18歳、驚愕の読み~

こんにちは。
周りの人がやたらを「シン・ゴジラ」を推してくるので、そろそろ観るしかないかと思っている編集部の島田です。


今日も清く正しく新刊案内いきます。紹介するのは「勝てる将棋の考え方 新・イメージと読みの将棋観」です。




このブログを読んでいる方には説明の必要はないと思いますが、将棋世界の連載「イメージと読みの将棋観」を書籍化したものです。

イメ読みはこれまでも何度か書籍化していますが、今回は回答者が

(1)渡辺明、郷田真隆、三浦弘行、鈴木大介、豊島将之、中村太地

の回と

(2)森内俊之、加藤一二三、郷田真隆、鈴木大介、豊島将之、永瀬拓矢

の回の両方を収録しています。1冊で2度おいしいやつです。これまでの書籍化は6人固定でしたが、今回は9人もいます。


テーマ図としても序盤、中盤、終盤、江戸時代の将棋から最新形、さらにはコンピュータ将棋の手まで幅広く収録しています。


その中で本日は二つのテーマ図を紹介したいと思います。
一つ目は「テーマ10 福崎文吾、十段戦の名手」です。福崎先生といえば感覚破壊の▲3二飛成が有名ですが、こちらもすごいです。


テーマ図を見てください。





後手の福崎先生の手番ですが、一見銀がタダで取れそうです。私ならノータイムで△8六同飛とするところですが、そうすると▲9七角の間接王手飛車があります(アウチ!)。

で、実戦で福崎先生の指した手はなんとびっくりの△7五銀!!




なぬーーー??

ふ、歩頭に銀!?


以下▲8五歩△6四飛▲7五銀(下図)と進んで





銀を取るどころか銀損しとるやん!!・・・と思いきやここで△5七桂成▲同玉△4八銀!!が継続の好手順。これで決まっています。あーかっこいい。

トップ棋士6人をもってしても、この手はみえづらかったようで、郷田先生、鈴木先生、豊島先生は脱帽されています。

そんな中、渡辺先生の論理的な答えがすごいです。

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普通は△8六同飛から読むが、▲9七角△7五銀▲8六角△同銀▲8一飛はまずそうですね。
すると先に△7五銀と出る手を考えることになる。
△7五銀に▲同歩は△8六飛で後手よし。
△7五銀に▲8五歩は△6四飛で後手よし。
△7五銀に▲4四歩は△8六飛▲9七角打△6六歩で後手勝ちそう。
すると、△7五銀ですね。

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・・・マジ天才。気持ちいいくらいスッパリ斬ってます。
それにしてもなぜ△7五銀という手が一瞬で浮かぶんでしょうか。読みの深さと正確さもすごいですがアイデアもすごい。

今回の書籍化にあたり鈴木大介先生にインタビューを行い、本書の冒頭に「鈴木大介八段が語るイメージ論」として掲載しました。



この中で鈴木先生はこう言っています。

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─鈴木さんが考える将棋の強さの条件はなんですか。
「読みの量、その深さと正確さ。そして大局観。知識は瞬間的には必要だが、その瞬間しか通用しないから、私は重視しない。(中略)あと、アイデア。強い人は1局に1手か2手は思いもつかない手を指す。自分の想定内の手ばかり指す人なら、勝負になる」

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なるほどです。私の場合、相手の指す手はだいたい自分の読んでいない手なんですが(苦笑)、分かる気がします。


さて、続いて紹介したいのはテーマ局面からの次の一手を誰も指摘できず、その手を伝えられた瞬間、全員が驚嘆したテーマを紹介します。それが「テーマ15 羽生善治三冠、18歳の読み」です。

テーマ図は当時18歳の羽生六段の将棋。




後手番が羽生先生。図の△6九歩成は詰めろ(まずそれが難しい)。次に△7六桂▲9七玉△9六歩▲同玉△8四桂・・・で詰みます。

で、その詰めろを受ける▲6七金が実戦の進行ですが、△8五桂打▲9七香△7六桂▲同金△同銀で受けなし。見事に羽生先生の勝ちとなったのです。

しかし、感想戦で驚きの事実が羽生先生の口から明かされます。「(テーマ図で)▲9七玉なら負けだった」というのです。




なぬーーーーーー!!

まじか!?


もともと△7六桂▲9七玉△9六歩・・・が詰み手順なのに、自ら▲9七玉で寄らないとはどういうことでしょうか。私には全く読み切れませんが一生思いつかないということは確かです。

これを聞いた6棋士の反応は以下のとおり。

渡辺:羽生さんが局後に「▲9七玉で負けだと思っていた」と言った? えー、そうなんですか。大変ですね、確かに。昔、この棋譜は見たけど羽生さんが快勝したとばかり思っていた。棋譜を並べただけじゃ内容は分からない。その一例ですね。

郷田:「ここで▲9七玉なら負けでした」といった?そんなことが─。しかし、負け? 本当? それはないでしょう。ただ、▲9七玉は一筋縄ではないね。なるほど、これは驚いた。投了しちゃいそうですけどね(笑)。

三浦: 羽生さんが局後の感想で、「▲6七金で▲9七玉なら負けだったと思います」と言った? えー、それはすごい感想ですね。▲9七玉じゃ、どう見ても先手負けですが。▲9七玉に△7六桂は▲7七歩で受かるということ? 結構嫌なところがあるのかー。しかし、先手勝ちとは思えない。ちょっと、考えさせてください。(といって、30分ほど長考に沈む)

鈴木:正解は▲9七玉? 本当ですか?それで詰めろが続かないということなのか。しかし、これは読みきれない。羽生さんですかあ。もし本当にここで▲9七玉で負けと読みきっているんだったら、すごい。僕とは終盤力が大差です。

豊島:▲9七玉で先手勝ち? もし本当にそうなら驚きます。しかし、勝ちには見えない。30分あれば後手勝ちからいきます。(実際に30分考えて)、▲9七玉には△9五香▲同銀△9六歩▲9八玉△8五桂としたい。やっぱりこれで後手勝ちだと思います。

中村: 羽生先生の対戦で、感想戦で「▲9七玉で負け」とおっしゃった? えー、そうなんですか。もし▲9七玉で本当に先手勝ちならすごい。これは羽生先生が18歳のときの将棋?もし、その結論が正しくて、それを読みきっていたのだとしたら強すぎる。


結局どうだったのか。結論は分かりませんが、▲9七玉なら難しかったのは確かなようです。う~ん。18歳の羽生先生、恐るべし。


本書にはこんな感じで34のテーマ局面が収録されています。

局面自体が面白いですし、棋士の先生の個性あふれる回答が読んでいてまた面白い。

しかも読むと将棋の勉強にもなる。ああ、なんていい本なんでしょう。


と、いうわけでみなさん、ぜひ読んでみてください。

書籍化にあたって、鈴木大介先生の巻頭インタビューの他に、いくつかの局面については連載当時から時間が経った現在目線での解説もついていますので、将棋世界を購読されている人も楽しめる内容になっていると思います。


発売は9月27日を予定しております。宜しくお願いいたします。


それではみなさん、今週も良い週末将棋ライフを!


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