思い出の完敗譜  九段 谷川浩司(日本将棋連盟会長)|将棋情報局

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思い出の完敗譜  九段 谷川浩司(日本将棋連盟会長)

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 1月30日夕刻。大阪での月例報告会を終えた私は、青野専務、東常務、淡路九段と連盟近くの店で話をしていた。
「河口先生が入院されている」との話題が出た矢先、青野専務の携帯に連絡が入った。突然の悲報だった。
将棋世界の連載も佳境に入ってきたのに。そういえば、何日か前の連盟モバイルではインタビュー記事が出ていた。そして、前日の山崎八段との王座戦も観戦記を予定されていたとのこと。
飄々としたお人柄で後輩からも人気のあった河口先生。あまりにも飄々と旅立たれてしまわれた。
将棋マガジンの「対局日誌」はあまりにも有名である。ちょうど私の棋士デビューと同時期であり、対局で上京したときに河口先生がいらっしゃると、どのように書いてもらえるか、楽しみであり、また怖くもあった。
対局の思い出もある。1局顔が合って実は完敗している。昭和54年11月16日、昇降級リーグ3組。図は2三の玉を△1三玉と寄った局面で、逆転を狙った勝負手だが、▲2四歩が軽い決め手。詰めろなので△同銀の一手だが、▲3四馬△2八角▲2九玉△3三歩▲2四馬△同玉▲4四飛できっちり負かされた。
対局の翌日、将棋会館の前で同じ昭和11年生まれの芹沢博文先生にお会いし、「年寄りに負けたらしいな。また、後を頑張れ」と言われたのも懐かしい。
同日付で八段を追贈させていただきましたが、会長の署名をするときは万感の想いがありました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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