【人気連載第7回!】将棋ガールズ ~戸山高校の新人戦予選と甲府の関東大会~|将棋情報局

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【人気連載第7回!】将棋ガールズ ~戸山高校の新人戦予選と甲府の関東大会~

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 ここでは青山学院大学将棋部に所属する現役女子大生、多々納光さんによるエッセイを掲載します。毎週金曜日更新予定です。 今回は第7回分を掲載します。
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将棋ガールズ

戸山高校の新人戦予選と甲府の関東大会

高校1年生の二学期になると、将棋に対する熱意が以前とは変わってきたのを自分でもはっきりと感じた。部活を作りたい!(青山学院高等部には将棋部がなく、私は水泳部に所属していた。)仲間と大会に出たい!応援したり一緒に喜んだり悔しがったりしたい!!o(`^′)

部活を発足させるために、とにかく、みんなで大会に出て実績を重ねなきゃと考えた。学校の教室で将棋を指したり、連盟道場に行ったりして、同級生と将棋を頑張り始めた。

みんなが将棋にやる気が出てきたころ、高校文化連盟の主催で新人戦の東京都予選が開かれた。この大会は新人戦のため、高校1年生と2年生が対象で、都代表になれば全国大会に行ける。個人戦だけで団体戦がないので、夏の高校選手権ほど華やかで大がかりではないが、やはり大きな全国レベルの大会。それに、全国大会の直前に関東大会もある。関東大会というのは一都六県に山梨県を加えて8都県の代表3人ずつが優勝を争う。こちらには3年生も参加できるので、都予選には3年生も出場できる。

新人戦の東京都予選は11月の文化の日に行われた。高文連の将棋部門の運営を担っていたのは、東京都教員で都立松が谷高校教諭の新海先生だった。会場は都立戸山高校の教室で、戸山高校教諭の加藤先生もまた、高文連将棋部門の役員だった。青学高等部の将棋仲間の男子3人、女子2人が東京都予選に出場した。高田の馬場駅で集合し、戸山高校まで話しながら歩いた。「今日は一局でも多く勝とう!持ち時間はぎりぎりまで使って考えよう」と。私たちはこういう部活らしい活動を楽しみ始めていた。


※戸山高校での対局

とっても嬉しいことに3人の代表枠にリサと私の2人が入り、青学高等部からは2人の女子が関東大会と全国大会に進出できることになった。この年の関東大会開催担当は山梨県で12月末に甲府の駿台高校で関東大会が行われた。関東大会はたいてい、東京からなら宿泊しなくても日帰りできる場所にあるが、やはり甲府となると、早朝に新宿を発車する「特急かいじ」に乗ることになった。山梨県に対しては、フルーツ王国、もつ煮込み、温泉というイメージを持っていたので、リサと待ち合わせて観光気分で朝早く出かけて行った。


※新宿駅から特急「かいじ」

甲府に着くと、盆地だけあって晴れていたのにすごく寒かった。甲府駅から会場の駿台甲府高校まで歩いていると、あちこちから参加者と思われる高校生が現れ、同じ方向に歩いていく。千葉の生徒たちは前日から泊まっていたとのことで、歩きながら合流した。富士山がとても綺麗に見えた。

この日の私は絶好調だった。甲府の澄んだ空気を朝から吸って、頭がすっきりとしていたのかな。予選はスムーズに抜け、いよいよトーナメント。私は中学時代に活躍しなかっただけあって、無名選手だった(^-^;;。でも、兄は中学生名人だったため有名人で、あちこちから
「あれが多々納の妹だ。見に行こう。」
などという声が聞こえた。いつもの私ならそういう雑音と視線が気になって、集中できずに将棋が崩れてしまうのだが、この日の私は違っていた。盤面を見つめていると、次にどう指したらいいのか見えてきた。

いよいよ決勝戦になった。

決勝の相手は、子ども将棋教室のときに千葉のえんだい将棋教室に通っていた、山田優花さん。子どものときの将棋教室対抗戦では、当たったことはなかったけれど、もちろん名前は知っている。彼女が通っていた千葉県立幕張総合高校の将棋部は、全国でも有名な将棋の強豪校。だれかのお父さんが、話すのが聞こえた。
えんだいVS棋友館の決勝戦になりましたね。」
そう言われると、ますます負けたくない気持ちが出てきた。

新海先生は高文連の東京の指導者として手伝いと応援にいらしていた。もちろん、東京代表の私が決勝に進んだので、身を乗り出して観戦しておられた。かなりの接戦になったので、私の将棋には手に汗をにぎったとおっしゃった(笑)リサも私のそばにずっとついてくれていて、静かに、でも気持ちは熱く応援してくれているのが分かった。運よく私は、関東大会を制し、東京に優勝を持ち帰ることができた。私にとっては、記念すべき初めての大きな大会での優勝だった。

ゲストの佐藤秀司七段と甲府駅までおしゃべりしながら歩いた。東京に辿りつくのが夜遅くなると思ったので、まっすぐ甲府駅から次に乗れる特急かいじの切符を買った。結局、帰りの特急の車内販売でおみやげに甲府名物の信玄餅を買っただけで甲府観光はできなかったけれど、それでも大いに満足して帰路に着いた。(*^-^*)


※特急「かいじ」 お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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