【人気連載第8回!】将棋ガールズ ~全国高等学校将棋新人戦栃木大会~|将棋情報局

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【人気連載第8回!】将棋ガールズ ~全国高等学校将棋新人戦栃木大会~

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ここでは青山学院大学将棋部に所属する現役女子大生、多々納光さんによるエッセイを掲載します。毎週金曜日更新ですが、次回は木曜日に更新する予定です。 今回は第8回分を掲載します。
→これまでの話はこちら

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将棋ガールズ

全国高等学校将棋新人戦栃木大会


高校文化連盟の将棋新人戦全国大会は、この年は栃木県が開催県になっており、会場は鬼怒川温泉だった。関東大会で優勝した私を熱心に応援してくれたのは、将棋には全く関心がなさそうな高等部の担任の菅原志穂先生だった。


※鬼怒川あさやホテルにて

菅原先生は厳しい先生で、入学してからずっと私は苦手だと思っていた。教室の掃除のやり方が悪いとか、服装や髪形をきちんとしなさいとか、携帯電話の電源は切ってロッカーに入れなさいとか、細かいことをいちいち注意された。ひょっとして、私が高入生でカルチャーが部外者だから中等部から上がった子たちよりも気に入らないのかなとさえ思った。

ところがその菅原先生が、部活でもない将棋の全国大会に行くのに公欠を申請してくださった。大会出場のためとはいえ、欠席を公欠にするには、職員会議にかけて承認されないといけない。東京都高文連の新海先生に生徒派遣依頼書の発行をお願いしてくれたり、今までの戦績をまとめて会議で主張してくれたり、本当に骨を折って下さった。菅原先生は、どんな分野でも学校の部活や教育過程にない活動でも、頑張っている生徒にはだれでも、応援して助けようとしてくれる方だった。その結果、リサと私の新人戦の全国大会出場は、晴れて学校では公欠扱いになった!!実際、私は一日くらい休んでしまってもいいかなと思ったが、午後から出かければ間に合うので、菅原先生への感謝の気持ちもこめて、午前の授業はきちんと出席して、午後になってからリサと二人で学校から直接、表参道経由で浅草に行き、東武鉄道の特急スペーシアで鬼怒川温泉へ向かった。

そんなことがあって、大げさな言葉や態度はないけれど、いつも私を応援して下さっているのが分かって菅原先生を大好きになった。今でも私が青学高等部で一番、信頼して尊敬している先生。でも、相変わらずお会いしたときには、きっちりしておられて必要以上に優しく接してはくださらない。それがまた信頼できると感じるのだから不思議である(笑)


※鬼怒川温泉駅

1月の鬼怒川温泉は雪が降っていた。川から湯けむりが上がって、幻想的な美しい光景に思わずうっとり。水墨画のような日本の風景を見ながら、将棋を指すには最高な場所だと感じた。といっても、すぐに温泉の魅力に引き寄せられ、足湯やら露天風呂やらというものが気になってはしゃいだ。私たちは日本の女子高生らしく、温泉が大好きなのだ!プロの棋戦を日本各地の温泉地で開催するのは、そういう雰囲気で勝負を盛り上げるためなのかなと妙に納得した。
次の日の朝、高文連が用意した宿泊所である鬼怒川温泉「あさやホテル」の宴会場で大会が始まった。


※開会式の様子

夏の高校選手権もそうだが、冬の新人戦でも参加賞としてビニール製の将棋盤が配られる。このビニール盤の裏には、その大会に出場した各都道府県の代表者の名前と学校名が一覧表になって印刷されている。そのときに戦った、同世代の仲間たちの名前が一目瞭然に分かり、すばらしい記念品になる。単なるビニ盤として、普段の将棋練習に使うことなどできない。私は運よく1年生から3年生まですべて代表になれたので、有難いことに、これを高校生では最多の5枚もらえることになった。


※大会パンフレットとビニール盤

新人戦には高校1年生と2年生しかいない。全国大会のわりにはチャンスがあると、また単純に奮起した。ベスト16までは順調に勝ち進み、あと一局勝てばベスト8で明日の二日目に残れるということころで、また青森の工藤さんと当たった。気合を入れて対戦したが、今回も工藤さんには負けて、ベスト16に終わってしまった(T_T)一度負けた相手には、先入観や負け癖が付くのか、なかなか勝てなくなる。いつの日か一矢報いたいな~。そのあと工藤さんは中学選抜で全国優勝経験のある仙台の強豪の成田弥穂さんに敗れ、最後は弥穂ちゃんが決勝戦を制して優勝した。弥穂ちゃんは宮崎ではベスト8だったが、実力は高いことは分かっていた。子どもの頃から知っている同級生だが、やっぱり順当に手堅く優勝して、ホントにすごいなぁ。

しばらくして、青山学報(幼稚園から大学まですべての青山学院の情報が発信される年に一度発行される冊子)の編集者から、高等部からの推薦で私の紹介をしたいと連絡があった。ページ半分の小さな記事だけれど、私の将棋活動のインタビュー記事が載ったので、将棋も学校に認めてもらえる種目になったのかなと思い、学校が将棋部の設立を認めてくれるかもしれないと期待した。
 

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