【人気連載第9回!】将棋ガールズ ~文部科学大臣杯(小・中学校将棋団体戦)~|将棋情報局

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【人気連載第9回!】将棋ガールズ ~文部科学大臣杯(小・中学校将棋団体戦)~

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 ここでは青山学院大学将棋部に所属する現役女子大生、多々納光さんによるエッセイを掲載します。毎週金曜日更新予定です。 今回は第9回分を掲載します。
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将棋ガールズ

文部科学大臣杯(小・中学校将棋団体戦)


 まえに、中学時代は東京都代表になったことがなく、鳴かず飛ばずだったようなことを書いた。でも実は一度だけ都代表として東日本大会へ進んだことがある。毎年6月に東京都予選が行われ、夏休みに入ったばかりの7月末に東日本大会が行われる、文部科学大臣杯小・中学校将棋団体戦



 略して文科杯と呼ばれていて、東日本大会を勝ち抜いた上位2校が西日本代表の2校と8月に東京で日本一を決める。文科杯には中学校の部と小学校の部があって、同じ学校に通う3人1組の団体戦なので、2人勝ったチームが勝ちになる。文科杯の団体戦は囲碁でも行われていて、小・中学校ともに3人1チームなのは同じ、そして全国大会は日本棋院で行われる。

 この文部科学大臣杯の東日本大会が、今年は7月27日に大手町のサンケイプラザで盛大に開催された。東日本の各都道府県の、同じ学校の中学生と小学生の代表チームそれぞれ32校ずつが、一同に会して戦った。


※今年の開会式の様子


※谷川会長あいさつ

 東京は学校数が多いので、小学校も中学校も5校ずつ代表権を獲得する。小学校では私立学校は少ないので、公立小学校の代表も珍しくない。私の母校の区立小学校も、今年は久しぶりに都代表を獲得した。



たまに小学校の部活に指導ボランティアに行って将棋を指したりしているので、かわいい後輩たち。このチームは女子1人、男子2人の混成チームだが、女の子がいるチームは少ないので、すごく嬉しい。きっと中学に進学しても将棋女子として活躍してくれるだろうと期待しているo(^-^)o

今年の中学校の東京代表校は、麻布、開成、筑波大付属駒場、桐朋、海城で、毎年ほぼ男子校の中高一貫校ばかり。普段から高校生たちと一緒に部活をしていて、早指しだろうと切れ負けだろうと、どんな将棋にも慣れているし、同じ学校から5~10チームも出場するくらい層が厚い。公立の中学から参加しようとしても、将棋のルールを知っている子を同じ中学校から3人集めることすら難しい。

 そんな中で、私が通っていた区立の西宮中学校には、たまたま私の同級生に棋友館の生徒がいた。今は京都大学将棋部に所属する村上涼くん、中学二年生だった当時でも四~五段くらいの棋力だったと思う。涼くんが将棋ルールを知っている同級生(指し方を知っているという級位者)の翔太くんを誘って、私と3人で文科杯に出てみることになった。



 東京都予選では案の定、常連の強豪校が何チームも出してきた。わが西宮中は涼を大将にして、翔太を副将、私が三将というオーダーで、なんとか二つ勝とうという作戦に出た。この作戦は当てをはずすと一貫の終わりになってしまう。団体戦のオーダーはそれほど大事なもの。この時は、くじ運にも恵まれ、なんと!東京代表をゲットした!代表校が有名男子中高一貫校ばかりのなか、唯一の公立中学代表校だったので、三人ですっごく喜んだ。

 囲碁の団体戦では、暗黙の了解で必ず一番強い子が大将になり、棋力順にオーダーを並べるらしい。母校の保護者で近所にお住まいの、先崎学九段夫人、囲碁女流棋士の穂坂繭プロに聞いてみたことがある。
「どうして囲碁の文科杯は、捨て大将作戦みたいに、オーダー作戦で勝ちにいかないんですか?」
「参考棋力も書いて出すから、うそは書けないでしょう?」
「でも棋力は自己申請なんだし、どこの道場でその棋力なのかによって、本当にその子のほうが強いのか分かりませんよね?」
「大将から棋力順に並べないで出場するなんて真摯じゃないでしょう?」
おだやかに笑われた。囲碁と将棋ではカルチャーが違うのかな?(^-^;)

 この2008年の文科杯東日本大会は、兄の中学校、弟の小学校も、たまたま都代表になれたので、この大会には我が家から3人の子供たちが別々の学校から代表として出場した。こんな例はすご~く珍しいんじゃないかな。うちの家族にとっては考えられないほど超ラッキーで幸せな出来事だった☆

 でも出場するからには私たちだって、やっぱり勝ちたい。現在は、公平性を保つため、一度決めたオーダーは全ての対局を通して変更できないことになったが、当時はまだ、相手によって毎回オーダーを変えることができた。私たちは次に当たる相手の棋力などを、つぶさに観察して応戦した。

 盤外戦の偵察作戦を駆使して、予選ブロックでは二回勝つことができた。ブロック1位にはなれず、トーナメントには進めなかったが、都内の公立中学校のチームが東日本で勝ち星を上げるなんて大変まれなこと。私たち以来まだ、西宮中学が文科杯に出場エントリーしたことはないが、今は将棋部もできたので、後輩たちに期待したい d(´∀`)b


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