【人気連載第11回!】将棋ガールズ ~高校選手権で福島に行く!~|将棋情報局

将棋情報局

【人気連載第11回!】将棋ガールズ ~高校選手権で福島に行く!~

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 ここでは青山学院大学将棋部に所属する現役女子大生、多々納光さんによるエッセイを掲載します。毎週金曜日更新予定です。 今回は第11回分を掲載します。
→これまでの話はこちら

======================
将棋ガールズ

高校選手権で福島に行く!


高校2年生に進級し、再び5月が訪れて、高校選手権の予選の季節になった。私たちは中等部から上がってきた後輩たちと一緒に戸山高校での都予選に臨んだ。男子個人の部は、東京代表は全国でも強豪でアマチュアの五~六段でないと、代表にはなれない。でも、女子はまだまだ選手層が薄いこともあって、リサも私もまた都代表になれた♪すると安田先生が、二人を福島県で開催予定の高校選手権に引率してくれると申し出てくださった!!

この東京都予選の約二か月前の3月11日、東日本大震災が東北から関東に大きな被害をもたらした。特に福島県は原子力発電所の放射能被害を受け、今でも原発近くの市町村では避難が続いている。この年はさすがに、被災地福島で高校選手権を開催することは不可能じゃないかと、実は半信半疑で東京都予選に臨んだ。高校総文祭を開催する余力は福島県にはないかもしれない。他の県が代わりに開催してくれたりしなければ、今年は全国大会が開催されないんじゃないかな…。

いっぽうで、東京都の団体の部の代表校の保護者が福島に行って宿泊することを心配し、娘の選手権への参加に反対しているという話を聞いた。実際、他県(とくに西日本)の県代表選手達で有力な選手も何人か福島には来ていなかった。保護者が心配するのは当たり前のことかもしれないけれど、風評で参加辞退なんかしちゃいけないよね…。私は高校生としてできることをしたい、開催してくれるなら行きたい!福島県高文連と福島の高校生が、自分たちの生活も大変なときに、いままで準備してきた高校総文祭を開催して成功させようと頑張っている。是非とも応援しなきゃ!放射能の問題は私には何もできないし、自分たちが福島開催の全国大会に行くだけで、力になったり、復興に貢献できるわけではないのは分かっている。でも、とにかく参加しなければ始まらないと思った(^o^)

震災前の準備段階では、福島大会(将棋の部)は飯坂温泉で行われる予定になっていた。ところが、被害の少ないより内陸部のほうがよいと考えられたのか、飯坂温泉が他の緊急用途に使われたのか、急きょ会場が郡山の付近に変更になった。福島県内の大きな宿は、他県から来た震災ボランティアなどが宿泊していたため。高校生がまとまって大勢で泊まることに使うわけにはいかない事情もあったのかな。すべてが震災の後遺症で予定通りにはいかない状況なのが見てとれた


※大会マスコットの桃の「ペシュ」と記念のビニール盤

郡山に引率して下さるとおっしゃったバスケ部顧問の安田先生は、将棋の大会というものを見たことがなく、高校選手権の段取りを全くご存じなかった。家に電話をかけ、郡山では、レンタカーに乗せて移動したいと申し出てくれた。礼儀正しくきちんとした先生なのだ。

会場は郡山から少し猪苗代湖の方面に入った磐梯熱海温泉の近くだった。高文連が郡山駅か磐梯熱海温泉のどちらかに宿泊場所を用意してくれるとのことだったので、私たちは迷わず温泉地に引き寄せられた(笑)こんなときに不謹慎かもしれないが、私たちはそれなりに観光にも期待していた。実際、この時期には修学旅行などを自粛して、福島への修学旅行をキャンセルした学校も一般的には多かったらしい(T_T)でも私は旅行をキャンセルすることは、福島の人々をよけい悲しませるような気がした。


※大会パンフレット

開会式が朝から始まるので、前日に現地入りすることになるが、夕方までに移動して宿泊するだけというのではもったいないので、前日は朝早く東京を出て、観光をすることになった。猪苗代といえば、野口英世の記念館、会津若松の磐梯山、八重の桜の鶴ヶ城、会津藩の名所旧跡など、ぜひ訪問したい。安田先生は郡山駅でレンタカーを借りて、私とリサを会場へと連れて行き、受付を済ませると、さっそく観光に連れて行ってくれた。電車で生徒たちだけで行ったのでは、なかなかそこまで効率よく見て回ることはできない。



そして楽しみにしていた宿泊場所の磐梯熱海温泉郷。磐梯熱海温泉駅の近くには、ホテルや旅館がいくつもあるが、私たちが宿泊するのは高文連が契約した「萩姫の湯栄楽館」。昔ながらの温泉宿で気分も盛り上がってきた☆!そこには同じ高校選手権に出る高校生たちが次々とやってきた。千葉の生徒たちとは顔見知りだったので、「久しぶりだね~。」とすぐに打ち解けた。夜になると、部屋を行き来して、将棋を指したりおやつを食べたり、すっかり修学旅行気分になった(^^)



福島大会での私の戦績は、ベスト16という結果だった。主催者側が閉会の挨拶の中で、仮設住宅で生活しながらも選手権の準備をしたと話していた。福島県の高文連と高校生実行委員会に、感謝とエールの気持ちを送って、郡山をあとにした。
いま思うと私にとって、高校の大会で今は女流棋士になった長谷川優貴さんや北村桂香さんと真剣勝負できたことは、高校時代の楽しいステキな思い出だなぁ。(^-^)


※長谷川優貴現女流二段と
  お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者