2026.04.13
将棋を指して広げる日本の心 叡王戦第1局取材記(2)
シンガポールで行われた第11期叡王戦第1局のレポート、今回は対局前日の模様をお届けします。日本とシンガポールとのメモリアルイヤーに行われる海外対局。対局者の2人はどのようにとらえたのでしょうか。
その後、両対局者は石川大使、クレメント・オン氏(アジア文明博物館館長)、河村宣行氏(株式会社不二家代表取締役社長)、藤野英人氏(株式会社レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)らとともにJapan Creative Centreにて前日記者会見に臨んだ。


記者会見直前、談笑する両対局者。

伊藤叡王の挨拶
「再度シンガポールで対局できることをうれしく思います。将棋を通じて、日本文化に親しんでいただく機会になればと思います。斎藤八段は、2期続けて挑戦者になられたということで、地力の高さ、安定感がある相手だと思います。昨期は熱戦続きのシリーズでした。今期はより充実したシリーズになればと思います。個人的に、昨年王座戦にてシンガポールで対局させていただいたときには不甲斐ない結果となりました。今回は、よりいい対局をお見せできるように全力を尽くしたい」

斎藤八段の挨拶
「SJ60(日本とシンガポールの外交関係樹立60周年)という記念すべき年に、初めてシンガポールを訪れることができました。新たな文化に触れられることを楽しみにしています。前期は、伊藤叡王の強さを実感しました。今期は自分の強みを出せるように全力で挑みたいと思います」
前日の観光について2人は、「シンガポールの魅力に触れることができた(伊藤叡王)」、「思っていた以上に楽しく、リフレッシュすることができた(斎藤八段)」と満喫した様子。
「技術が高い国であると同時に、緑が一面に広がっている自然豊かな側面もあって、過ごしていて心地よい国だと感じています(伊藤叡王)」、「街並みが色鮮やかで気分が上がります。シンガポール料理も全部おいしく、毎日でも大丈夫だと思いました(斎藤八段)」と当地の魅力を語った。
対局を通じて、日本の文化のどのような側面を伝えたいか、という質問には、伊藤叡王が「和服を着るところや、対局の風景に注目してもらいたい」、斎藤八段は「礼に始まり礼に終わるところ。感想戦で共に高め合うところをお見せしたい」と答えた。
タイトル戦の開幕局というだけに留まらず、両国の友好関係と文化的交流を担う重要な意味も持つことになった本局。
両対局者は共にその意味を深く理解しており、そのためにもよいパフォーマンスを発揮しようと決意を述べる姿が印象的だった。
また、この前日記者会見では、マンガ『3月のライオン』(羽海野チカ、白泉社)とアジア文明博物館がコラボする展示「Shogi in Manga」の開催を記念して、アジア文明博物館と日本将棋連盟との間でサイニングセレモニーが行われた。

サインを取り交わすアジア文明博物館のクレメント・オン館長と日本将棋連盟の糸谷哲郎常務理事

Japan Creative Centreに飾られていた『3月のライオン』のジグソーパズル

前日記者会見登壇者の集合写真
左から石川浩司大使、藤野社長(レオス・キャピタルワークス)、河村社長(不二家)、伊藤叡王、斎藤八段、糸谷常務理事、クレメント・オン館長(アジア文明博物館)、木村一基九段(叡王戦第1局立会人)
前日記者会見のあとはシンガポール日本人会にて前夜祭が行われ、対局者は現地のファンとの交流を楽しんだ。
訪れたファンは約120名。日本語話者ではない参加者も多くいたため、通訳を介して行われた。
そうした参加者たちも、棋士の色紙が当たると大喜びしていたのが印象的だった。

花束を手に記念撮影をする両対局者
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