大きすぎた終盤の誤算 西山女流三冠が終盤逆転でカド番しのぐ 岡田美術館杯第51期女流名人戦五番勝負第3局|将棋情報局

将棋情報局

大きすぎた終盤の誤算 西山女流三冠が終盤逆転でカド番しのぐ 岡田美術館杯第51期女流名人戦五番勝負第3局

福間香奈女流名人に西山朋佳女流三冠が挑戦する岡田美術館杯第51期女流名人戦(主催:報知新聞社・日本将棋連盟)は、第3局が3月30日(日)に千葉県野田市の「野田市市民会館」で行われました。対局の結果、力戦調の相振り飛車から抜け出した西山女流三冠が133手で勝利。苦戦の終盤をひっくり返してカド番をしのいでいます。

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから

■二人だけの相振り飛車
福間女流名人の2連勝で迎えた本局。休場明けから公式戦11連勝と破竹の勢いを見せる福間女流名人に西山女流三冠がどう立ち向かうかに注目が集まります。力戦調の相振り飛車に進んだのは両者の間では定跡ともいえる手順で、先手の西山女流三冠は局面の主導権を求め積極的に動きを見せます。自玉そばの2筋の歩を突き上げたのが意表の構想で、右辺から戦いが始まりました。

西山女流三冠の工夫とは裏腹に盤上は徐々に後手ペースへと推移します。福間女流名人は2筋を突破してと金ができた点がポイントで、こうなってみると西山女流三冠としては自陣から動いた弊害が出てしまった形。暴れるよりない西山女流三冠が飛車を見捨てて角を取った終盤の場面が本局最大の分岐点となりました。自玉の詰めろを解消すべく飛車を寄った福間女流名人でしたが、局後この選択を後悔することに。

■痛恨だった誤算
あえて王手飛車取りを許す福間女流名人の構想はプロらしい一着ですが、本局ではこの後に誤算がありました。この数手後、角を飛び出したのが後手の読み筋を打ち砕く西山女流三冠の決め手。再度の王手竜取りを含みに手番を握ることに成功し、急に先手陣が手厚くなった印象です。飛車寄りに代えては桂跳ねの受けで丁寧に指せば、長い戦いながら後手有望との結論に。

形勢逆転に成功した西山女流三冠は、その後は着実な足取りでリードを拡大します。終局時刻は16時50分、最後は自玉の詰みを認めた福間女流名人が投了。1勝2敗と女流名人奪取に望みをつないだ西山女流三冠は「第4局も指せるので悔いなく挑めるよう準備したい」と抱負を語りました。注目の第4局は4月4日(金)に東京・将棋会館で行われます。


両者の対戦成績は西山女流三冠から見て37勝45敗と拮抗している(写真は棋士編入試験五番勝負第1局のもの 撮影:編集部)
水留啓(将棋情報局)

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。