【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2025年2月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2025年2月編

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから 皆さんこんにちは。「敗北から何かを学ぶのであれば、敗北は勝利である」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第30弾です。切りのいい数字ですね。まぁだからといって何もないんですけど(笑)。ここ最近めちゃくちゃ寒かったですが、みなさんお元気でしょうか?

体の丈夫な藤井聡太竜王・名人もさすがに体調を崩されているように見えました。対局やイベントにお忙しい毎日だとは思いますが、無理せず過ごしていただければ幸いです。

あったかくして寝るんやで(母より)

さて、2月は「藤井猛九段と渡部愛女流三段と行く 陣屋カレーイベント」に行ってきました。陣屋でカレーを食べて、藤井九段と渡部女流三段のトークショーを聞き、タイトル戦で実際に使われた盤駒で対局体験ができ、陣屋秘蔵の色紙が見られる、という盛りだくさんのイベントでした。スタッフは残念ながらカレー無しなんですが(笑)、それでもすごく楽しめましたし、参加者の皆さんの満足度もきっと高かったと思います。

とても好評だったので、また夏に開催する予定です。今度は参加人数も増やして、より多くの方と楽しめればと思っています。もちろん私も行きますので、来られそうな方はぜひご参加ください。

陣屋カレーイベントは定期的に開催しつつ、将来は陣屋さん以外の将棋の聖地で開催できればと思っています。
豊島将之九段と行く「中の坊瑞苑」とか、できたらいいですね(夢プラン)。

・・・さて、前置きはこれくらいにして2月の藤井先生の対局を振り返っていきましょう!
 
2月の対局まとめ
2日 第50期棋王戦五番勝負第1局 増田康宏八段戦 勝ち
5、6日 第74期王将戦七番勝負第3局 永瀬拓矢九段戦 勝ち
12日 第10期叡王戦本戦 戸辺誠七段戦 勝ち
15、16日 第74期王将戦七番勝負第4局 永瀬拓矢九段戦 負け
22日 第50期棋王戦五番勝負第2局 増田康宏八段戦 勝ち
25日 第10期叡王戦本戦 糸谷哲郎八段戦 負け
2月は6局とハードスケジュールでした。棋王戦と王将戦が並行して行われていて、叡王戦の本戦もあり、さすがの藤井先生もきつかったのかなと推察します。トータルでは4勝2敗ということになりました。

では1局ずつ振り返ってまいりましょう!
 

知で先勝

2日 増田康宏八段戦
第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)第1局

序章 待ちに待った東西天才対決
記念すべき第50期棋王戦は藤井聡太棋王と増田康宏八段の対決となりました。奨励会時代から天才の呼び声が高かった二人がついにタイトル戦でぶつかるということで個人的にも大変楽しみにしておりました。

第1局は高知県高知市の「文化プラザかるぽーと」での対局。増田先生が飛行機で現地入りしたのに対して、藤井先生は電車で行かれてました。

この時点ですでに「藤井先生が若干有利」と感じたのは、・・・おそらく私だけでしょう(笑)。

というのも、私が増田先生に将棋世界の「私の戦い方」コーナーでインタビューした際に、移動が苦手とおっしゃっていたからです。増田先生は忖度のない物言いで知られていますが、実はとても繊細な方。非日常的なことでリズムが乱されるのを嫌いますし、それが将棋の成績にも表れてしまうのです。

一方、藤井先生は移動を全く苦にしないどころか、めちゃくちゃ楽しんでます。今回も初めての土讃線(どさんせん)に乗車して「2700系という振り子式の車両なんですけど(早口)、カーブだと割とよく傾くのでそのあたりも、なんというか楽しめました」と、とっても楽しそう。

正直、車両が傾いて何が楽しいのかさっぱりわからないんですけど(笑)、藤井先生が楽しそうなので、すべてOKでございます。

第1章 角換わり
振り駒の結果、藤井先生の先手番になりましたので目指すは角換わりです。増田先生の対応が注目されましたが、角換わりを受けて立って、その中でやや珍しい形を選ぶという手法を取ってきました。

これも事前のインタビューで言っていたとおりで、全く新しい戦法をいきなり指すのはリスクがあるので、定跡系の中でわずかに外す、という作戦でございます。

そしてこの作戦は奏功して、中盤に増田先生が桂馬を得して若干指しやすい局面が現れました。

第2章 動揺
しかし、増田先生がリードしたこの瞬間が問題だったのです。
増田先生の将棋の特徴は、中盤でリードしたとき、その差をうまく拡大するところにあります。本局でもリードを広げにかかったのですが、藤井先生の飛車寄りが増田先生の見えていなかった手で、思ったより差が広がらず、増田先生はそれに動揺したといいます。

その動揺が指し手に現れたのか、ミスが続いて形勢逆転。こうなると再逆転を許すような藤井先生ではなく、一気に寄せ切って増田先生の投了となりました。

藤井先生の、リードされても容易に離されない技術が、増田先生の心の動揺を誘い、逆転を呼んだ、という流れだったかと思います。

心の安定が明暗を分けた、と考えると、やはり移動をストレスと感じる増田先生と、土讃線を楽しんだ藤井先生の差は大きかった、と考えるのは言いすぎでしょうか?

おそらく言いすぎでしょう(笑)。

第3章 お互いに強い
この棋王戦全体に言えることだと思うのですが、増田先生の長所は中盤のねじり合いの強さ、しかし、そこは藤井先生の強いところでもあるのです。

よって、この二人の中盤戦はめちゃくちゃハイレベルだし、面白い。

本局はお互いの良さが出た将棋だったと思います。この辺の話は現在発売中の将棋世界4月号で佐藤天彦九段が素晴らしく上手に語っておりますので、ぜひ読んでみてください。

第2局以降がどうなるか、とても楽しみになる第1局でした。
 

 

う見ても負け・・・いや、耐えてる!

 
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