2025.02.19
『実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方』棋書アンバサダーによるレビュー あきら様
『実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方』棋書アンバサダーによるレビュー第3弾です!
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『実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方』棋書アンバサダー企画
レビュー第3弾はあきら様に書いていただきました。
熱のこもったレビューで、本書の魅力を5項目にわたって語ってくださいました。
それでは、どうぞ!

こんにちは。『実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方』の棋書アンバサダーを務めさせていただきます“あきら”と申します。よろしくお願いいたします。
観る将の家族に誘われてイベントに同行するうちに私も将棋にハマりました。特に、佐藤康光先生は盤外での上品さと盤上での荒々しさのギャップが大好きで、一番尊敬している棋士の先生です。
康光先生の独創的な一手を理解したくて将棋を指し始めたといっても過言ではありませんので、今回、アンバサダーの機会をいただけてとても光栄に思っています。棋力は、将棋ウォーズ5級とまだまだひよっこではありますが、初級者なりの視点で、本書の魅力を次の5項目に分けて紹介させていただきます。
1.冒頭から炸裂する康光節
本書は、まず「ダイレクト向かい飛車とは何か?」という基礎知識の解説から始まります。康光先生目線でダイレクト向かい飛車の魅力が語られるわけですが、康光先生曰く、ダイレクト向かい飛車の最大の魅力は
「飛車がいきなり2筋に回れて気持ちが良い」ということ。
…だそうです(笑)。
勝ちやすいとか、評価値がどうこう…とかではなく、ただただ「気持ちいい!」という感性で戦型の良さを語るところに「佐藤康光」らしさがにじみ出ていて、冒頭からファンの心をガッチリつかんで離しません!
「自分から誘導できる」ことをダイレクト向かい飛車の長所と考えておられる主体的なところも、「THE 佐藤康光」という感じで素敵です。

2.実戦譜が豊富&分類がわかりやすい
本書では、全31局、すべて後手番で康光先生が指されたダイレクト向かい飛車の実戦譜が掲載されています。対▲6五角型、△5三歩型、△5四歩型、番外編とわかりやすく分類されていて、康光先生の解説を読みながら実戦譜を順番に並べているうちに、徐々に康光流の指し手が自分の中になじんでくるのを感じます。
まさしく「実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方」!……看板に偽りナシです。
読み終わるころには、康光先生流のダイレクト向かい飛車の要点が自然と身につくことでしょう。
ひょっとしたら、上級者は「え…?」と違和感を覚えて、指が拒否する箇所が多少はあるのかもしれませんが、私は初級者ですので「駒の損得よりも働きが大事!中央志向!」と、完全に康光先生に洗脳されました。自分の将棋がこれからどのように変遷するのか楽しみで仕方がありません!
章・節末に「まとめ」があるのも気の利いた構成で、ひととおり学んだところで振り返りができてよかったです。

3.康光九段ご自身の剛腕理論を堪能できる(見出しもいちいち面白い)
この本の最大の特長はなんといってもこれにつきます!全編に渡って康光先生独自の将棋に対する考え方や局面に対する捉え方がハッキリ示されており(しかも結構反復して)、「いやいや流石にそれはない...」とつっこんだり、「へーすご。」とただただ感心したり、「これで勝っちゃうの!?」と驚嘆したり……。読者の棋力に応じて、いろんな楽しみ方ができるのではないかと感じました。
「桂損でもええがな」、「マイ評価値」、「攻めたくて夏」など…。見出しがクスっと笑えるところも、読み進めるのを楽しくしてくれます。
ちなみに私が一番好きな箇所は「攻めたくて夏」での康光先生の考え方です。先手の豊島七段(当時)陣営も後手の康光九段陣営もお互いに膠着状態の状況。後手番の康光先生としては、千日手も歓迎といった局面ですが、そこでの佐藤康光流の剛腕理論がこちら(↓)。
「後手も手待ちを続けて千日手……と普通の棋士ならなるかもしれないが、私の場合はそうはならない。」
…ということで、自ら仕掛けていって打開する。しかも、勝ちまで掴み取る!
このファイティングスピリットがファンを魅了してやまない康光将棋の醍醐味です。

これ以外にも、康光先生が語る独自の狙いやバランス感覚、戦況の分析など…。康光イズムが随所に感じられる良書で、読んでいると強い人が強い理由がわかるといいますか、トッププロの空間把握能力の才や勝負勘の良さを堪能できます。ダイレクト向かい飛車を指さない人、例えば、居飛車党の人が読んでも充分参考になる本だと思いました。
そんな感じで、本書は康光先生のお言葉の端々にある野生的な勘所と剛腕な構成力をインプットできる一冊で、読了した後は、ヤクザ映画を観たあと映画館をイキりながら出ていく客さながら、菅原文太になった気分を味わえます。
4.可愛らしい&狂気に満ちたさざなみさんのイラスト
局面図だけだと無機質になりがちな棋書ですが、イラストのおかげもあってか、とても読みやすかったです。
また、普段はニコニコ穏やかで品のある先生なのに、ひとたび対局になると荒々しい狂気をまとう佐藤康光九段の「聖」と「獣」の両面が、さざなみさんのイラストで見事に表現されています。
いろんなバージョンの康光先生が描かれており、それらを見ているだけでも自然と顔がほころびます。


5.あの伝説の「暴銀」を康光先生自ら解説!!
棒銀ならぬ「暴銀」。銀将があらぬ方向に一人旅をしていくアレです。なんと、本書では康光先生が自ら暴銀について語ってくださっています(感涙)!!
正直言って、これだけでも康光ファン&将棋ファンは買いです。ジャケ買いならぬ、“暴銀買い”です! ラピュタ玉と共に、康光九段の独創的な将棋の代名詞の一つになっている暴銀(しかも勝ってる!カッコいい!)。
将棋ファンを沸かせたあの暴銀が、どのようなお考えの下で奇異な冒険をすることになったのか、ご本人の口から語られています。ただのバグだと思っていた暴れ銀が康光先生の解説を読むと、なんだか勇敢な意志を持った棋士(康光先生自身!?)に見えてくるから不思議です。この一局、序盤の暴銀が面白いのはもちろんのこと、「なんで勝てたの?」というドキドキの終盤戦も見所のひとつです。先生も「ぜひ盤に並べてほしい」と言われているように、康光将棋の魅力が凝縮された暴銀局が本書のトリをつとめていて、興奮しながら読了しました!

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ということで、本書は「他人やAIに何と言われようが、私は自分の納得する手を選びたい(そして、みんなにも指してほしい…)」という佐藤康光九段の心意気が随所に感じられる内容でした。ダイレクト向かい飛車を指す方はもちろんのこと、積極的な将棋を指したい方、剛腕な考え方を身につけたい方、暴銀が大好物の方…。とにかく、全ての将棋ファン&康光先生ファンにお勧めの一冊です!
限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから
レビュー第3弾はあきら様に書いていただきました。
熱のこもったレビューで、本書の魅力を5項目にわたって語ってくださいました。
それでは、どうぞ!

こんにちは。『実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方』の棋書アンバサダーを務めさせていただきます“あきら”と申します。よろしくお願いいたします。
観る将の家族に誘われてイベントに同行するうちに私も将棋にハマりました。特に、佐藤康光先生は盤外での上品さと盤上での荒々しさのギャップが大好きで、一番尊敬している棋士の先生です。
康光先生の独創的な一手を理解したくて将棋を指し始めたといっても過言ではありませんので、今回、アンバサダーの機会をいただけてとても光栄に思っています。棋力は、将棋ウォーズ5級とまだまだひよっこではありますが、初級者なりの視点で、本書の魅力を次の5項目に分けて紹介させていただきます。
~「実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方」の魅力 5選~
1.冒頭から炸裂する康光節
2.実戦譜が豊富&分類がわかりやすい
3.康光九段ご自身の剛腕理論を堪能できる(見出しもいちいち面白い)
4.可愛らしい&狂気に満ちたイラスト
5.あの伝説の「暴銀」を康光先生自ら解説!!
1.冒頭から炸裂する康光節
2.実戦譜が豊富&分類がわかりやすい
3.康光九段ご自身の剛腕理論を堪能できる(見出しもいちいち面白い)
4.可愛らしい&狂気に満ちたイラスト
5.あの伝説の「暴銀」を康光先生自ら解説!!
1.冒頭から炸裂する康光節
本書は、まず「ダイレクト向かい飛車とは何か?」という基礎知識の解説から始まります。康光先生目線でダイレクト向かい飛車の魅力が語られるわけですが、康光先生曰く、ダイレクト向かい飛車の最大の魅力は
「飛車がいきなり2筋に回れて気持ちが良い」ということ。
…だそうです(笑)。
勝ちやすいとか、評価値がどうこう…とかではなく、ただただ「気持ちいい!」という感性で戦型の良さを語るところに「佐藤康光」らしさがにじみ出ていて、冒頭からファンの心をガッチリつかんで離しません!
「自分から誘導できる」ことをダイレクト向かい飛車の長所と考えておられる主体的なところも、「THE 佐藤康光」という感じで素敵です。

2.実戦譜が豊富&分類がわかりやすい
本書では、全31局、すべて後手番で康光先生が指されたダイレクト向かい飛車の実戦譜が掲載されています。対▲6五角型、△5三歩型、△5四歩型、番外編とわかりやすく分類されていて、康光先生の解説を読みながら実戦譜を順番に並べているうちに、徐々に康光流の指し手が自分の中になじんでくるのを感じます。
まさしく「実戦で学ぶダイレクト向かい飛車の勝ち方」!……看板に偽りナシです。
読み終わるころには、康光先生流のダイレクト向かい飛車の要点が自然と身につくことでしょう。
ひょっとしたら、上級者は「え…?」と違和感を覚えて、指が拒否する箇所が多少はあるのかもしれませんが、私は初級者ですので「駒の損得よりも働きが大事!中央志向!」と、完全に康光先生に洗脳されました。自分の将棋がこれからどのように変遷するのか楽しみで仕方がありません!
章・節末に「まとめ」があるのも気の利いた構成で、ひととおり学んだところで振り返りができてよかったです。

3.康光九段ご自身の剛腕理論を堪能できる(見出しもいちいち面白い)
この本の最大の特長はなんといってもこれにつきます!全編に渡って康光先生独自の将棋に対する考え方や局面に対する捉え方がハッキリ示されており(しかも結構反復して)、「いやいや流石にそれはない...」とつっこんだり、「へーすご。」とただただ感心したり、「これで勝っちゃうの!?」と驚嘆したり……。読者の棋力に応じて、いろんな楽しみ方ができるのではないかと感じました。
「桂損でもええがな」、「マイ評価値」、「攻めたくて夏」など…。見出しがクスっと笑えるところも、読み進めるのを楽しくしてくれます。
ちなみに私が一番好きな箇所は「攻めたくて夏」での康光先生の考え方です。先手の豊島七段(当時)陣営も後手の康光九段陣営もお互いに膠着状態の状況。後手番の康光先生としては、千日手も歓迎といった局面ですが、そこでの佐藤康光流の剛腕理論がこちら(↓)。
「後手も手待ちを続けて千日手……と普通の棋士ならなるかもしれないが、私の場合はそうはならない。」
…ということで、自ら仕掛けていって打開する。しかも、勝ちまで掴み取る!
このファイティングスピリットがファンを魅了してやまない康光将棋の醍醐味です。

これ以外にも、康光先生が語る独自の狙いやバランス感覚、戦況の分析など…。康光イズムが随所に感じられる良書で、読んでいると強い人が強い理由がわかるといいますか、トッププロの空間把握能力の才や勝負勘の良さを堪能できます。ダイレクト向かい飛車を指さない人、例えば、居飛車党の人が読んでも充分参考になる本だと思いました。
そんな感じで、本書は康光先生のお言葉の端々にある野生的な勘所と剛腕な構成力をインプットできる一冊で、読了した後は、ヤクザ映画を観たあと映画館をイキりながら出ていく客さながら、菅原文太になった気分を味わえます。
4.可愛らしい&狂気に満ちたさざなみさんのイラスト
局面図だけだと無機質になりがちな棋書ですが、イラストのおかげもあってか、とても読みやすかったです。
また、普段はニコニコ穏やかで品のある先生なのに、ひとたび対局になると荒々しい狂気をまとう佐藤康光九段の「聖」と「獣」の両面が、さざなみさんのイラストで見事に表現されています。
いろんなバージョンの康光先生が描かれており、それらを見ているだけでも自然と顔がほころびます。


5.あの伝説の「暴銀」を康光先生自ら解説!!
棒銀ならぬ「暴銀」。銀将があらぬ方向に一人旅をしていくアレです。なんと、本書では康光先生が自ら暴銀について語ってくださっています(感涙)!!
正直言って、これだけでも康光ファン&将棋ファンは買いです。ジャケ買いならぬ、“暴銀買い”です! ラピュタ玉と共に、康光九段の独創的な将棋の代名詞の一つになっている暴銀(しかも勝ってる!カッコいい!)。
将棋ファンを沸かせたあの暴銀が、どのようなお考えの下で奇異な冒険をすることになったのか、ご本人の口から語られています。ただのバグだと思っていた暴れ銀が康光先生の解説を読むと、なんだか勇敢な意志を持った棋士(康光先生自身!?)に見えてくるから不思議です。この一局、序盤の暴銀が面白いのはもちろんのこと、「なんで勝てたの?」というドキドキの終盤戦も見所のひとつです。先生も「ぜひ盤に並べてほしい」と言われているように、康光将棋の魅力が凝縮された暴銀局が本書のトリをつとめていて、興奮しながら読了しました!

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ということで、本書は「他人やAIに何と言われようが、私は自分の納得する手を選びたい(そして、みんなにも指してほしい…)」という佐藤康光九段の心意気が随所に感じられる内容でした。ダイレクト向かい飛車を指す方はもちろんのこと、積極的な将棋を指したい方、剛腕な考え方を身につけたい方、暴銀が大好物の方…。とにかく、全ての将棋ファン&康光先生ファンにお勧めの一冊です!
限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから
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