勝敗分けた胆力勝負 藤井棋王が20代対決を制し3連覇に向け好発進 第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局|将棋情報局

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勝敗分けた胆力勝負 藤井棋王が20代対決を制し3連覇に向け好発進 第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局

藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は第1局が2月2日(日)に高知県高知市の「文化プラザかるぽーと」で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀のねじり合いから抜け出した藤井棋王が127手で勝利。先手番で手堅くまとめて防衛に向け好スタートを切りました。

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■人生初の大舞台で
20代同士のフレッシュな顔合わせとなった五番勝負は王道の角換わり腰掛け銀の戦型で開幕。前夜祭では「こどもの頃から夢見ていたタイトル戦の舞台に立てて感動している」と語った後手の増田八段、追随する形となった後手番の本局では6筋の位を早めに取る趣向を披露しました。これを許さじと先手の藤井棋王が仕掛けて早くも開戦です。

戦いが一段落した局面は難解ながら桂得の後手が指しやすい展開。一時は残りの持ち時間が藤井棋王1時間半、増田八段3時間半と大きく開いた点も「後手番としてはうまくいった」(局後の増田八段)との感想を裏付けますが、実戦はここから藤井棋王が強さを発揮しました。決め手を与えぬよう細かい動きで終盤戦に備えたのがその胆力を示す指し回しです。

■動揺さそった我慢比べ
いつの間にか持ち時間の差もなくなって本格的な終盤戦へ。思うようにリードを奪えなかった増田八段は結果的に藤井棋王の次の手を見て指し手の勢いを失うこととなりました。じっと飛を寄って3筋に狙いをつけたのがそれで「この手を軽視しており、動揺してミスが続いた」との増田八段の反省の弁が本局を物語っていました。

辛抱の時間を耐え抜いた藤井棋王はここから安定の指し回しで勝勢を確立します。4筋の拠点に桂を打ち込んだのが痛烈な反撃で、後手が反撃するには飛車を犠牲にするよりないのを見越しています。終局時刻は19時18分、最後は自玉の寄りを認めた増田八段が投了。優位に立ってからは一度も形勢を譲らぬ、藤井流の手堅い指し回しが光る一局となりました。

これで藤井棋王は3連覇に向け好スタート。増田八段の先手番で迎える第2局は2月22日(土)に石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われます。


藤井棋王は中盤戦について局後「形勢は苦しい時間が続いていたように思う」と素直に振り返った(提供:日本将棋連盟)
水留啓(将棋情報局)

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