渡辺九段に試練続く… 無念の投了で佐藤天九段が6勝目 第83期順位戦A級8回戦|将棋情報局

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渡辺九段に試練続く… 無念の投了で佐藤天九段が6勝目 第83期順位戦A級8回戦

第83期順位戦A級(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、8回戦全5局の一斉対局が東西の将棋会館で行われました。このうち東京・将棋会館で行われた渡辺明九段ー佐藤天彦九段の一戦は41手で佐藤九段が勝利。膝痛に伴う休場からの実質的な復帰戦となった渡辺九段ですが、体調が思わしくなく無念の投了となりました。

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■新会館での椅子対局
5勝2敗で首位を走る佐藤九段としては挑戦に向けなんとしてでもものにしたい一戦。3勝3敗(1局未消化)の渡辺九段は膝痛による休場明けの一戦として注目が集まります。椅子対局となった本局、先手の佐藤九段が三手目に角を上がる工夫から角交換型向かい飛車の作戦を打ち出しました。

後手の渡辺九段が飛車先の歩を伸ばしきらなかったのは争点を作らず穏やかな駒組みを続ける方針。ならばと振り飛車側は8筋の歩を突いて積極的に戦いの発端を求めます。自陣角を打ったのが序盤の勝負手で、佐藤九段はなんとか居飛車陣がまとまる前に手を作ることに成功した格好です。

■無念の途中投了
形勢互角のまま迎えた夕食休憩中に異変が起こります。体調が思わしくなく対局続行が困難と判断した渡辺九段は立会人に投了を宣言。休憩明けの18時40分をもって佐藤九段の勝利と決まりました。これで佐藤九段は6勝2敗と首位をキープ。渡辺九段は6回戦・千田翔太八段戦に続く無念の投了で3勝4敗となっています。

局後の取材に応じた佐藤九段は「このような非常事態であれば(横になりながらの楽な態勢でも続行できないか)」と渡辺九段に提案したことを打ち明けました。これを受けSNS上は「天彦先生お優しい」「渡辺先生、一日も早い完治を」と両対局者を気遣う声であふれました。


本局の結果で6勝2敗とし名人挑戦に一歩近づいた佐藤九段
水留啓(将棋情報局)

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