「常時8割5分くらいっておかしいですからね・・・」藤井猛九段が語る藤井聡太八冠達成の理由|将棋情報局

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「常時8割5分くらいっておかしいですからね・・・」藤井猛九段が語る藤井聡太八冠達成の理由

藤井猛が藤井聡太を語る!

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 皆さんこんにちは。編集部島田です。

本日は『令和6年版 将棋年鑑2024』の特集「藤井猛九段が語る全タイトル戦」を紹介します。
 


今回紹介するのは、第71期王座戦。
藤井聡太竜王・名人が永瀬拓矢王座を破って八冠を成し遂げたシリーズです。

この偉業達成の瞬間を藤井猛九段はどのように捉えていたのでしょうか?

それでは、どうぞ!!

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―続いて第71期王座戦。藤井竜王・名人がついに八冠に輝いたシリーズなわけですが、内容はかなり競っていました。

「ええ、これはもう勢いです。そうとしか説明できません。内容的には永瀬王座がかなり優位な場面が多かったですし、そもそも藤井さんが挑戦者になる過程でも、準決勝の村田顕弘六段との将棋はほとんど負けでしたからね。羽生七冠達成のときも、奇跡的な勝利と言われるようなのも何回かありましたけど、そういうのがないとなかなか、全冠制覇というのは難しいです。それにしても、ちょっとさすがに神がかっていますね。
第1局(永瀬勝ち)は難解な将棋でした。△5一飛がすごくプロ的に評判のいい手で、時間がない中でよくこの手を指すなあってみんな感心したんですね」

―第2局は永瀬王座の入玉含みの粘りが印象的でした。

「永瀬王座はとにかく粘りますよね。負けにしても相手には楽をさせない。第2局は負けですが、ここまでいい内容で、好調を印象付けました。
第3局は序盤がすごくおもしろかったです。序盤で端歩を打診して、受けるか受けないかによって柔軟に作戦を決めるというタイプの戦型ですが、藤井さんがいままではほぼ端歩を受けていたのが、この対局で久しぶりに端歩を受けませんでした。そのあと▲7八玉と寄った手が少し危険なので、それを見事にとがめた、永瀬王座の研究が冴えわたる内容でした。いや、これもうずーっとね、ずーっとうまく指してるんですよ。だからこれは永瀬王座の快勝で終わるはずだったんです。はずだったんですよ。が、しかし、ひっくり返ってしまいましたね」

―自然な△3一歩でよしと言われていたところ、永瀬王座も手が見えるがゆえに、△3一歩以下自信のない順が見えてしまった。

「そうですね。△3一歩は▲4三銀△同金▲3二銀っていうすごい難しい手があって、それを解決できないから△3一歩じゃなくて△4一飛と打ったんです。これは難しいですよ。ただどうしても見ている側は評価値を見ているから、大逆転だって話になってしまいました。△3一歩▲4三銀△同金▲3二銀には一回△3九飛と打って、仮に▲5九香と香車を使ったら、△4二金と引いて▲3一飛成に△4一歩と打てばいいんですよ。このとき香車が持ち駒にないと寄らないから。だから△3九飛と打ったときに、角合しなきゃいけないんですよね。しかし角を使ってくれたら、△4二銀と打って、▲4三銀成は詰めろじゃないから、そこで詰めろをかければ後手勝ちです。合駒の種類によって、受け方を変えるということで、時間があれば読める順ですけど、残り数分ではちょっと難しいですよね」

―これもやはり、楽な将棋ではなかったということですね。

「ええ。ただここに至るまでずっと会心の指し手が続いていたから、いくら難しくても、流れは永瀬王座が勝つはずの将棋っていう気はしましたね」

―その流れが第4局にも再び現れたようにも思います。

「そうですね。これはもう、実力とかなんとかって問題じゃないです。これは内容的には永瀬王座の会心の内容ですものね。勝敗だけがどうしても伴いませんでした。▲5三馬はちょっと残念な一手になってしまいましたね。これは僕が同時進行で解説してたんですけど、びっくりしました。これは本人も狐につままれたようなことで、意図しない手をなぜか指しちゃったって感じですね。まあ仕方ないです。将棋を指してると、こういう不思議な現象はありますから。
僕もタイトルを最初に取ったときは4連勝で竜王を取りましたけど、もう最後の方は勝つことしかイメージできない。自然な流れで勝つ感じなんです。流れっていうのがあって、もはや勝負を争ってるって感じじゃないんです。その流れに乗ったままタイトルを取った印象があります。そういうことがたまにあるんですけど、この王座戦も、永瀬さんにとっては残念ですが、どんなに頑張ってもなぜか藤井さんが勝つというシリーズになってしまいました」

―やっぱりそういう星のもとに生まれているというか「持ってる」というところもあるんでしょうか。

「ええもちろん。そうじゃないと普通、将棋って勝率7割5分くらいが上限でしたから。常時8割5分くらいっておかしいですからね。ただ、これからは分からないです。一時期そういうことがあっても、勝ち続けて終わる人はいないですから。永瀬王座もこの後、リベンジになったかはわからないですけど、朝日杯決勝戦で一番返しました」




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いかがでしたか?
随所に藤井猛九段にしか語れない鋭い切り口と独特のユーモアがあふれていましたね。

ここでは王座戦を紹介しましたが、将棋年鑑ではその名の通り全タイトル戦を藤井猛九段が語っておりますので、ぜひ読んでみてください。

個人的には藤井聡太王将―菅井竜也八段の王将戦のお話がとても興味深かったです。

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