「両取り逃げるべからず」で勝負あり 藤井棋聖が山崎ワールド封じ、防衛に王手 ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第2局|将棋情報局

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「両取り逃げるべからず」で勝負あり 藤井棋聖が山崎ワールド封じ、防衛に王手 ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第2局

藤井聡太棋聖に山崎隆之八段が挑戦するヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は、第2局が6月17日(月)に新潟県新潟市の「高志の宿 高島屋」で行われました。対局の結果、向かい飛車対居飛車の対抗形から抜け出した藤井棋聖が111手で勝利。妥協なき攻めで山崎流の勝負術を破り開幕2連勝としました。

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■のらりくらりの山崎調
注目された山崎八段の後手番作戦は4手目に角道を止めての向かい飛車。美濃囲いには囲わず6筋に銀を構えたのが独特の間合いで、バランスよい陣形を作ったのちのらりくらりの指し回しで攻めの焦点を絞らせません。対する藤井棋聖は銀冠の堅陣に構えました。

山崎陣は相居飛車の右玉のような形に合流し中盤戦へ。山崎八段が左桂を跳ねて交換を迫った手は意表の一手。玉の堅さに差があるだけに平凡な戦いでは居飛車側に利が生じます。交換した角と桂を自陣に設置して模様良く自陣の隙を消すのが山崎八段の構想でしたが、藤井棋聖は秀逸な対応で応えました。

■山崎ワールド完封される
後手の角をおびき寄せて自陣の金を体当たりさせたのが藤井棋聖の読みの入った一着。山崎八段からは直後に角を切って飛車金両取りの銀打ちがあるものの、歩頭の桂捨ての手筋で取られそうな金を前進させれば敵玉攻略が見えてきます。後手に飛車を取らせる間に得た貴重な手番で藤井棋聖は最後の寄せに乗り出します。

飛車を手にした山崎八段もなんとか肉薄しますが、持ち時間を残す藤井棋聖は読み切っていました。自陣に角を打って手を戻したのが終盤の条件を満たす一着。攻め続けるために後手は金駒を渡すよりなく、逆に先手は金駒を手にすると後手玉を即詰みに討ち取ることができます。

終局時刻は18時39分、最後は自玉の詰みを認めた山崎八段が駒を投じて藤井棋聖の開幕2連勝が決まりました。敗れた山崎八段は「先攻されてからはずっと苦しい形だった」と振り返りました。注目の第3局は愛知県名古屋市の「亀岳林 万松寺」でおこなわれます。


藤井棋聖は「序盤は手探りだったが中盤以降は攻めをつなげることができた」と手ごたえを口にした(提供:日本将棋連盟)

水留啓(将棋情報局)

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