お得で気軽に参加できる将棋大会『第６回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催！ エントリー受付中

もし私が勝ったら

――これから始まる棋聖戦の番勝負について伺いたいのですが、独創的な序盤と悪くなってからの逆転術はこれまでの藤井八冠の挑戦者にないものだと思います。

「確かにこれまで戦った方は、私のように変化球を投げるというより、剛速球で勝負する方ばかりだったと思うので、ちょっと味付けが変わるのを楽しみにしていただいているのは感じます。
　悪くなったときの指し方しか棋士の平均値を上回れていないんですが、相手は悪くなったらいちばん逆転が難しい方なので心配な部分はあります。
　自分が盤上で120パーセントの力を出したとしても相手に力を出しきられたら勝てないと思うので、そこに経験を生かした指し方を加えてどうか、というところですね。
　持てるものを全て出してもボロボロにされるのか、それともこれまでにないような藤井さんが動揺する場面を見せることができるのか、自分でも楽しみではあります」

――ファンも楽しみにしています。

「これまで藤井さんとタイトル戦で戦ったのは強い棋士ばかりなのに、その方たちですら藤井さんに対して『すごい』という印象を持ちすぎるくらい持っているように見えます。
　実際に盤を挟んだときに、全てを読みきられているような感覚はあるんだろうなと思います。 外から見ていても感じるくらいなので、私も実際に対局したときにどれくらいそのすごさを感じるのか、ということも楽しみです。
　また、豊島さんや伊藤さんが勝っても藤井さんから１勝するのは大変なんだなと思うだけですが、もし私が勝ったら『自分もいけるんじゃないか』とほかの棋士は思うでしょう（笑）。 棋士の希望になるためにも頑張りたいですね」

――熱戦を期待しています。

（第95期棋聖戦挑戦者インタビュー 山崎隆之八段「直感と逆転術」／島田修二より抜粋）


挑戦者決定戦の感想戦での１コマ。タイトル戦の舞台でも存分に"ちょいワル逆転術"を発揮してほしい
 

山崎隆之八段取材エピソード（島田）

山崎八段の取材には他の棋士にはない面白さがあります。
正直、何を言っているのかよくわからないことが多いのです。
一つの文が長すぎるのが原因で、例えば「花がキレイだ」なら簡単ですが、山崎八段の場合この「花が」にいきつくまでの修飾語が長すぎるため、主語がとてもわかりにくい。
さらにやっと主語がわかったと思ったら途中で違う文が挿入されてしまい、述語が出てこないまま次の話題に移ったりします。
ただ、よりわかりやすくしようと一生懸命話してくださった結果なので、あとで音声を聞き返して組み立て直すとすっきり理解できます。
全部理解できたときの達成感は他の取材では得られないものです（笑）。
個人的に、棋士の中でも最も理路整然とお話されるのが渡辺明九段で、そのちょうど反対側にいるのが山崎八段だと思っているので、いまこのお二人がアベマで同じチームにいることが不思議でなりません。
本インタビューは、原稿にした以上に随所に自虐が入っていたのですが、棋聖戦の話になると、山崎八段の「ここで勝ちたい」という強い気持ちが伝わってきました。
稀代の天才がどんな将棋を見せてくれるのか、とても楽しみです。

完全版は最新号「将棋世界2024年７月号」に掲載！！

  お得で気軽に参加できる将棋大会『第６回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催！ エントリー受付中

---