2024.04.24
息もつかせぬ鮮やかな寄せ 伊藤匠七段が八代七段に勝利 ALSOK杯第74期王将戦一次予選
第74期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は一次予選が進行中。4月23日(火)には第4ブロックの八代弥七段―伊藤匠七段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの熱戦を108手で制した伊藤七段が二次予選進出に向け前進しました。
■八代好みの相掛かり持久戦
伊藤七段は快勝した叡王戦第2局(石川県加賀市)から中2日での対局。振り駒が行われた本局は両者の息が合って相掛かりに進展しました。先手の八代七段が矢倉調に組んで玉の堅さを、後手の伊藤七段が4二玉型に組んでバランスのよさを主張したのが好対照です。
先手が右桂を跳ねて仕掛けを用意したところで伊藤七段が動きます。6筋と7筋の歩を連続で突っかけたのはこの戦型に頻出する仕掛けで、これに対しぴったりの受けがないと見た八代七段も飛車先の合わせの歩で応じたことから盤上は激しい攻め合いに突入しました。
■絶妙の踏み込み
終盤の入り口で伊藤七段に好手が出ます。銀取りの桂を手抜いて敵玉そばに手裏剣の歩を放ったのがギリギリの利かし。取られそうな自陣の銀には金のヒモがついており手抜きが可能です。先手としては先に歩の成り捨てを入れて手抜きを許さない勝負順も考えられました。
左辺に玉を逃げ出して自玉の安全を確かめた伊藤七段は爽快な手順で決めに出ます。角を切って金を入手したのは先手玉への即詰みを見たもの。終局時刻は16時32分、長手数の即詰みを読み切った伊藤七段が見事な着地で勝利を飾りました。
勝った伊藤七段はこれで二次予選まであと2勝。次戦で高見泰地七段―渡辺和史六段戦の勝者と対戦します。
感想戦では八代七段に仕掛けの直後に誤算があり伊藤七段ペースになったことが判明(写真は第9期叡王戦第2局のもの 提供:日本将棋連盟)
水留啓(将棋情報局)