へなちょこ急戦で軽快に仕掛ける! 三間飛車対策を紹介|将棋情報局

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へなちょこ急戦で軽快に仕掛ける! 三間飛車対策を紹介

ネット将棋でもよく出現するドル箱変化を大公開!!

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本記事では、YouTuber発の新戦法、「へなちょこ急戦」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2024年4月26日発売の『一撃!対振り飛車へなちょこ急戦』(著:Sugar)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。


今回は、対三間飛車を題材にお送りします。
へなちょこ急戦の狙い筋や手順をしっかり覚えましょう!

※本稿は、Sugar著『一撃!対振り飛車へなちょこ急戦』の内容をもとに編集部が再構成したものです。

 

へなちょこ急戦とは?

まず、へなちょこ急戦とは何か?を簡単にご紹介します。
へなちょこ急戦とは、基本図のように最小限の駒組みで振り飛車の攻略を目指す、居飛車用の作戦です。

基本図はへなちょこ急戦(以下:へな急)の最もベーシックな陣形と言えます。囲いをコンパクトに収め、スピーディーに仕掛けているのが見て取れると思います。


へな急のアピールポイントは3つあります。
1つ目は「駒組みのシンプルさ/覚えやすさ」です。

下図が、へな急の攻撃陣の基本形です。飛車先を突き、角道を開け、右の銀・桂・歩を少し動かしただけ。実にシンプルです。

この形に組んだ後は、相手がどの筋に飛車を振っても▲4五歩と仕掛けていきます。
角と桂のコンビネーションで4筋を狙い、△3三角をどかせば2筋を突破できます。

そして下図が、へな急の守備陣の基本形です。

現在、対振り飛車でよく用いられるのは穴熊やミレニアムなどの堅い囲いですが、本戦法では3手で完成する舟囲いを使用します。
展開によっては▲6八金上と指して金無双にすることがありますが、現段階では「余裕のあるときに金を上がる」と頭の片隅に置いておくぐらいで大丈夫です。

このように、「攻めの形は超簡単」&「囲いはお手軽」がへな急の特徴です。

2つ目は「無駄のなさ」です。
従来の急戦策と、へな急を比較してみましょう。ノーマル振り飛車に対して、へな急と同じように4筋からの仕掛けを目指す急戦は昔からあります。
例えば参考図1は対四間飛車、参考図2は対三間飛車の有名定跡です。

昔ながらの左銀を繰り出す急戦。中央は手厚いが、玉が薄くなる短所があります


三間飛車に対する急戦定跡。居飛車は5筋も絡めて攻めています

へな急は、これらの作戦と比較すると、
①左銀を攻めに繰り出さないので、玉の堅さを維持することができる
②▲5六歩を保留することで、より早い仕掛けを実現している

といったメリットがあります。
このように、へな急は従来の急戦策の無駄な部分を極限まで削ぎ落とした作戦と言えます。 

3つ目は「AI的にも成立している」です。
AIでヘな急を研究すると、中盤の早い段階で「居飛車有利」の数値を示します。
評価値という客観的な数字を見ていただくことで、へな急の優秀性を実感できると思います。
「AIがずっとプラスの数字を示す」というのは、「きちんと研究すれば、相手がどう対応しても勝ちになる可能性が高い」ということでもあるので、研究のモチベーションにもなります。

以上がへな急の基本です。
次は具体的な変化についてご紹介します。
 

さっそく仕掛けていく

下図は、へな急VS三間飛車の序盤戦。
相手は△5二金左として美濃囲いを完成させてきました。


ここはすかさず▲4五歩と仕掛けます。
これは冒頭の基本図と同じ局面ですね。


三間飛車側の対応は色々ありますが、今回は、手順が一直線なので覚えやすい△4三銀の変化をご紹介します。
へな急を指していて、いちばん綺麗に狙いが決まる楽しい変化と言えますので、ぜひ覚えてくださいね。


 

△4三銀としてきたらこう指そう

△4三銀は攻めの銀を活用しつつ▲4四歩の取り込みに備えた自然な手に見えます。

ですが、実は△4三銀は居飛車にとってありがたい変化です。後手が4四の地点を支えきるのは難しいというのがその理由です。
具体的な手順をご説明します。


まずは▲2四歩と突き捨てます。
「開戦は歩の突き捨てから」という格言がありますが、へな急を指すときにも有効な法則なので意識しておきたいです。


△同歩に▲4四歩で1歩を補充してから、▲2五歩の継ぎ歩が継続の好手。


攻めの手段が豊富にあるのがへな急の特長でもあります。後手は無条件で▲2四歩と取り込まれてはいけないので、この歩は素直に△同歩と取るしかありませんが、▲同桂でへな急の攻めが炸裂しています。


▲2五同桂に対して、△5一角や△4二角は▲4四角として銀をタダで取れます。
△2二角は▲2三歩で角を追えば銀と角の連携が外れるので、やはり銀をタダで取ることができますね。
このように、角が逃げる手はへな急側が良くなります。
では、△2二飛とする手はどうでしょうか。


戦いが起きた筋に飛車を回る、振り飛車の常套手段です。
対して▲3三桂成△2八飛成▲4四角と進めると、先手銀得で大優勢に見えます。

※「圭」は成桂です

しかし、冷静に形勢判断をしてみると、
1.後手は△1九竜や△3三桂で駒を補充できる
2.先手の次の攻め手が難しい
3.後手からの二枚飛車の攻めが厳しい

これら3点を考慮すると案外難しいです。


△2二飛と指されたらまだまだ難しい将棋、と結論付けてしまいそうなところですが、実はへな急側に絶妙手があります。
それが、▲2六歩です。


じっと桂馬を支えておくのが大人の一手。これで先手の駒得が確定しています。
結果図8から角を逃げれば▲4四角とタダで銀を取られてしまいます。
なので、△4三歩と受けておくくらいですが、▲3三桂成△同桂▲4七銀の局面は角桂交換で先手大成功です。


△4三銀以降の進行はネット将棋でもよく出現するドル箱変化です。三間飛車側が△4四銀を△3三角のみで支えている形は非常に不安定なので、チャンスと見て積極的に攻めていきましょう!

ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が対三間飛車へなちょこ急戦の指し方です。

詳しくは、2024年4月26日発売の『一撃!対振り飛車へなちょこ急戦』(著:Sugar)に載っています。
本書ではほかにも、「対四間飛車」や「対向かい飛車」などに対するへなちょこ急戦の指し方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、へな急をマスターしてください! お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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