2024.03.28
【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2024年3月編
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
17日 棋王戦五番勝負第4局 伊藤匠七段戦 勝ち
ということで、2勝0敗でした。2局しかないとちょっとさびしいので、今回は3月17日に放映されたNHK杯決勝についても触れてみたいと思います。
ではいきましょう!!
第49期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社主催)第3局
第1章 注目の作戦
第1局が持将棋引き分けとなり大きな話題となった第49期棋王戦。第2局は藤井先生が角2枚を使って相手の竜を封じ込める見事な指し回しで勝利、そして迎えた第3局でございます。
何といっても注目は藤井先生の作戦です。第1局で得意とする39手目▲6九玉の「藤井スペシャル」を思わぬ形で封じられたので、それを踏まえて第3局はどうするかに大きな関心が集まりました。
可能性としては
(1) あくまでも角換わりの藤井スペシャルでいって、途中で指し手を変える
(2) 角換わりで藤井スペシャルにしない
(3) 角換わりにもしない
という3つが考えられて、私は(1)で行くのかなぁーと思っていました。というのも先日の将棋世界を読むとわかるように持将棋になった対局にも途中変化の余地がたくさんあったからです。
しかし、藤井先生が選んだのは2のコースでした。角換わり腰掛け銀で早めに6筋の歩を突いて、今では珍しい▲5八金型に構えて速攻を仕掛けていきました。
昔は角換わりといえば▲5八金型でしたが、現在はほとんどの棋士が▲4八金型を指しているので、これはさすがの伊藤七段も守備範囲外だったようです。
とはいえ、▲5八金型が指されなくなったのにはもちろん理由があって、本譜のように桂を跳んでいった後に馬を作られてしまうのです。
第2章 抑え込まれそうな瞬間に爆発
伊藤先生が作った馬に活躍されると藤井先生は苦しくなるのですが、この馬めがけて戦力を集中させたのが藤井先生のナイスな作戦でした。角を打って馬を取ることに成功します。
さらに飛車を抑え込まれそうになったときに、その飛車を切り飛ばしたのが英断でした。
飛車は失ったものの成香と角、持ち駒の桂香を使って素早く寄せていきます。この辺りの流れるような寄せの手順は圧巻でしたね。藤井先生の駒たちが伊藤陣の急所に突き刺さっていて、伊藤先生が攻める番が回ってきませんでした。
最後は平凡に横から押していっても勝ちなのですが、タダのところに銀を打ったのがオシャレな決め手。伊藤先生がここで投了したのできれいな投了図となりました。
佐藤天彦先生に将棋世界でインタビューさせていただいた時に「終盤の勝ち方にはその人の個性が出る」というお話をうかがったのですが、それで言うと、この最後の銀打ちは藤井先生らしいと言えそうです。
タダのところに打った銀。何か受けてもパズルのような手順で受けなし。そこはかとなく詰将棋の香りが漂っていて藤井先生の好みが出ている気がしました。
完全版はこちらで読むことができます。
ゴールドメンバー入会はこちら
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
皆さんこんにちは。「失敗したからって何なのだ? 失敗から学びを得て、また挑戦すればいいじゃないか」でおなじみの編集部島田です。
将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第19弾でございます。3月、年度末ですね。藤井先生には年度最高勝率更新の可能性がありましたが、皆さんご存知の通りNHK杯の決勝で敗れたため惜しくも記録更新はなりませんでした。
とはいえ、そもそも八冠を保持している状態でこの記録に迫ること自体がすごいことです。
今回は残念ながら更新ならずでしたが、来年以降の楽しみが残ったということで前向きに考えておきましょう。
藤井先生自身は今年度を振り返って「自分としても充実感のある一年間だった」とおっしゃっていました。藤井先生がこう言うからには、将棋が強くなる道において何か手ごたえがあったということだと思いますので、それだけで十分です。
さて、それでは3月の藤井先生の対局を振り返ってみましょう。
3月の対局まとめ
3日 棋王戦五番勝負第3局 伊藤匠七段戦 勝ち17日 棋王戦五番勝負第4局 伊藤匠七段戦 勝ち
ではいきましょう!!
意表の▲5八金型で防衛に王手
3日 伊藤匠七段戦第49期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社主催)第3局
第1章 注目の作戦
第1局が持将棋引き分けとなり大きな話題となった第49期棋王戦。第2局は藤井先生が角2枚を使って相手の竜を封じ込める見事な指し回しで勝利、そして迎えた第3局でございます。
何といっても注目は藤井先生の作戦です。第1局で得意とする39手目▲6九玉の「藤井スペシャル」を思わぬ形で封じられたので、それを踏まえて第3局はどうするかに大きな関心が集まりました。
可能性としては
(1) あくまでも角換わりの藤井スペシャルでいって、途中で指し手を変える
(2) 角換わりで藤井スペシャルにしない
(3) 角換わりにもしない
という3つが考えられて、私は(1)で行くのかなぁーと思っていました。というのも先日の将棋世界を読むとわかるように持将棋になった対局にも途中変化の余地がたくさんあったからです。
しかし、藤井先生が選んだのは2のコースでした。角換わり腰掛け銀で早めに6筋の歩を突いて、今では珍しい▲5八金型に構えて速攻を仕掛けていきました。
昔は角換わりといえば▲5八金型でしたが、現在はほとんどの棋士が▲4八金型を指しているので、これはさすがの伊藤七段も守備範囲外だったようです。
とはいえ、▲5八金型が指されなくなったのにはもちろん理由があって、本譜のように桂を跳んでいった後に馬を作られてしまうのです。
第2章 抑え込まれそうな瞬間に爆発
伊藤先生が作った馬に活躍されると藤井先生は苦しくなるのですが、この馬めがけて戦力を集中させたのが藤井先生のナイスな作戦でした。角を打って馬を取ることに成功します。
さらに飛車を抑え込まれそうになったときに、その飛車を切り飛ばしたのが英断でした。
飛車は失ったものの成香と角、持ち駒の桂香を使って素早く寄せていきます。この辺りの流れるような寄せの手順は圧巻でしたね。藤井先生の駒たちが伊藤陣の急所に突き刺さっていて、伊藤先生が攻める番が回ってきませんでした。
最後は平凡に横から押していっても勝ちなのですが、タダのところに銀を打ったのがオシャレな決め手。伊藤先生がここで投了したのできれいな投了図となりました。
佐藤天彦先生に将棋世界でインタビューさせていただいた時に「終盤の勝ち方にはその人の個性が出る」というお話をうかがったのですが、それで言うと、この最後の銀打ちは藤井先生らしいと言えそうです。
タダのところに打った銀。何か受けてもパズルのような手順で受けなし。そこはかとなく詰将棋の香りが漂っていて藤井先生の好みが出ている気がしました。
一瞬の逆転劇
完全版はこちらで読むことができます。
ゴールドメンバー入会はこちら
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。