「なんと穴熊の姿焼き…」 伊藤匠七段が青嶋流穴熊下し挑決進出 第9期叡王戦本戦トーナメント|将棋情報局

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「なんと穴熊の姿焼き…」 伊藤匠七段が青嶋流穴熊下し挑決進出 第9期叡王戦本戦トーナメント

藤井聡太叡王への挑戦権を争う第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)は本戦トーナメントが大詰め。3月11日(月)には準決勝の伊藤匠七段―青嶋未来六段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、終盤の攻防で抜け出した伊藤七段が102手で勝利。相穴熊のねじり合いを制して永瀬拓矢九段の待つ挑戦者決定戦にコマを進めました。

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■挑戦まであと2勝
伊藤七段は兄弟子の斎藤明日斗五段を、青嶋六段は菅井竜也八段を破っての登場。両者初手合いの本局は振り駒で先手番を得た青嶋六段が角道オープン型の向かい飛車に組んで幕を開けました。直近の公式戦では雁木を連採していた青嶋六段、作戦の的を絞らせません。
 
伊藤七段が角道を止めすぐの戦いが回避されると盤上は駒組みへ。青嶋六段の振り飛車穴熊を見て伊藤七段も居飛車穴熊で対抗しますが、これを完成させる前に4筋の歩をぶつけたのが先手陣にスキありと見た機敏な一手でした。序盤はやや居飛車ペースで推移します。
 
■伊藤七段が充実の勝利
首尾よく桂得を果たした伊藤七段はじわじわ駒得を拡大するものの、この戦型を知り尽くす青嶋六段も容易には崩れません。大駒をすべて失いながら3筋に築いた拠点に桂を打ち込んだのが実戦的な勝負手で形勢は難解。伊藤七段は持ち駒を活用する暇がありません。
 
攻め続ける青嶋六段はついに後手玉を穴熊から追い出すことに成功しますが、大駒なしで細い攻めをつなげるという条件に最後まで苦しまされました。感想戦では自陣の金銀を取らせる間に攻め合う変化が調べられたものの、全体的に先手が勝ちづらい将棋という結論に。
 
伊藤七段は最後まで丁寧に先手の攻撃の芽を摘み取ります。終局時刻は16時54分、形勢差を認めた青嶋六段が投了。投了図で先手の穴熊は手つかずの形(姿焼き)でした。伊藤七段と永瀬九段による挑戦者決定戦は3月19日(火)に東京・将棋会館で行われます。


伊藤七段と永瀬九段の対戦成績は4勝1敗、直近は永瀬九段が制している(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留啓(将棋情報局)

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