2024.01.31
【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2024年1月編
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
14日 朝日杯将棋オープン戦 斎藤慎太郎八段戦 勝ち
14日 朝日杯将棋オープン戦 増田康宏七段戦 勝ち
20日 王将戦七番勝負第2局 菅井竜也八段戦 勝ち
27日 王将戦七番勝負第3局 菅井竜也八段戦 勝ち
ということで、1月は5局戦って全勝でした。強すぎます。
勝ちまくっているので、年度最高勝率を更新する勢いです。これはとんでもないことで、中原先生や中村太地先生のようにデビューから間もなくて波に乗っているときに勝率が高いならわかるんですけど、八冠保持した状態でこの勝率はえげつないです。相手は基本、タイトル挑戦者なわけですからね。
以前『藤井聡太データブック 令和5年版』でインタビューした際、年々相手が強くなるので最高勝率の更新は難しいと藤井先生自身もおっしゃっていて、私も「まぁそれはそうですよね」と思ってたんですが、ここへきて記録更新ペースで勝ちまくってるのは本当に恐ろしいです。
では、そんな藤井先生の将棋を1局ずつ振り返ってみましょう。
第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポニチ・毎日)第1局
序章 20連勝
藤井先生はこれまでもさまざまな記録を更新してきたわけですが、今回の王将戦にも一つ大きな記録が懸かっています。それは「タイトル戦の連勝数」です。現在藤井先生はタイトル戦19連勝としており、昭和の大棋士大山康晴十五世名人の記録に並んでいます。
本シリーズで勝つと20連勝となり、新記録更新となるわけです。
この記録は一人だけが抜きんでいる状態を示すもので、更新すれば歴史に残る大記録となるのは間違いありません。
これに関して藤井先生は王将戦第1局の前日の記者会見で「直接意識しているわけではありませんけど、大山十五世名人は本当に偉大な実績を残されている方ですので。その点で並ぶことができているということは光栄なことだと思っています」と述べていました。
「直接意識しているわけではありませんけど」は藤井先生が「〇〇は意識されますか?」と聞かれたときによく使う枕詞ですね。奥ゆかしいです。
第1章 相穴熊
この2人の戦いとなるとお互いに穴熊という玉を端に囲う構えをとるのが定番です。両方とも穴熊なので「相穴熊」といいます。
相穴熊の戦いの特徴は、お互い守備力が同じなので、途中で差がつくとその差がそのまま勝敗に直結してしまう、ということです。つまり、序盤~中盤が大事だということですね。
本局も、序中盤で差がつかないようにじりじりした戦いが続きました。
第2章 揺れ動いた形勢
中盤戦。菅井先生が昼食のうな重を10分くらいで食べて対局室に帰ってきます(気合い!)。そして、細かいやり取りが続く中で先に少しリードを奪ったのは菅井先生でした。
藤井先生が対局後に「序盤の序盤の構想に課題が残った」と振り返ったように手の組み合わせに問題があったようです。
とはいえ、まだ形勢は互角の範囲。菅井先生がやや指しやすいとはいえ、勝敗に直結するような差がついたわけではありません。
そんな中で今度は菅井先生にミスが出てしまいます。銀を引いて守りを固めた手がそれで、ここでは桂を跳ねて攻めを見せたほうが良かったようです。
菅井先生は対局後、真っ先にこの手を悔やんでいました。
この銀引きをとがめた藤井先生が優位に立ちます。そしてこのときついた差がそのまま勝敗につながりました。わずかなミスをついて、そのあと有利な形勢を一度も奪い返されなかったのはさすが藤井先生でした。
第3局 幸先良いイチゴ
本局は長い中盤戦を優勢で抜け出した藤井先生の勝利となりました。
番勝負の第1局を後手番で制したのは大きい。藤井先生にとって幸先のいい2024年のスタートになったと思います。
王将戦と言えば勝者の写真撮影が有名ですが、今回の藤井先生は「まんが日本昔ばなし」みたいに龍に乗っている写真と、対局場のある大田原市の名産のイチゴを食べているシーンでした。両方ともかわいかったので、罰ゲーム感はなかったですね。
あと、イチゴを食べていらしたので久しぶりに藤井先生の好きなスピッツの「魔女旅に出る」を聴いたのですが、それ以来、仕事中もサビの部分が頭の中でリフレインされていてツラいです(どうでもいい)。
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皆さんこんにちは。「心の底から泣けない人は、心の底から笑うこともできない」でおなじみの編集部島田です。
将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第17弾でございます。1月です。2024年がスタートしました。元旦から災害や事故が相次いでとても大変な年始めになってしまいましたが、皆さんの健康と幸せを祈るばかりです。
私にできることはほとんどないですが、少しでも将棋の明るい話題を提供できればと思います。本年もよろしくお願いいたします。
12月はこの連載始まってから初の「藤井先生の公式戦がない」という事態に陥ってしまいましたが、1月から王将戦が始まり、久しぶりに対局姿が見られて良かったです。
何より藤井先生自身、将棋を指すことがこの上なくお好きなはずなので、タイトル戦開幕はうれしかったのではないかと思います。
そんな中で私は1月15日に藤井先生にインタビューをさせていただく機会に恵まれました。ありがたしです。
このインタビューは『藤井聡太全局集 令和5年度版』と『将棋世界』に掲載されます。
将棋世界の方は私がインタビュアーではないんですけど、将棋ガチの話だけでなく面白いお話もしていただきました。
そして、インタビューする中でいつものようにいろいろと感想や妄想が膨らみましたので(笑)、その辺はまた将棋情報局で「インタビューの補足」として記事にできればと思います。
さて、それでは今月の藤井聡太、いってみましょう!
1月の藤井先生の対局は以下の通りです。
1月の対局まとめ
7日 王将戦七番勝負第1局 菅井竜也八段戦 勝ち14日 朝日杯将棋オープン戦 斎藤慎太郎八段戦 勝ち
14日 朝日杯将棋オープン戦 増田康宏七段戦 勝ち
20日 王将戦七番勝負第2局 菅井竜也八段戦 勝ち
27日 王将戦七番勝負第3局 菅井竜也八段戦 勝ち
勝ちまくっているので、年度最高勝率を更新する勢いです。これはとんでもないことで、中原先生や中村太地先生のようにデビューから間もなくて波に乗っているときに勝率が高いならわかるんですけど、八冠保持した状態でこの勝率はえげつないです。相手は基本、タイトル挑戦者なわけですからね。
以前『藤井聡太データブック 令和5年版』でインタビューした際、年々相手が強くなるので最高勝率の更新は難しいと藤井先生自身もおっしゃっていて、私も「まぁそれはそうですよね」と思ってたんですが、ここへきて記録更新ペースで勝ちまくってるのは本当に恐ろしいです。
では、そんな藤井先生の将棋を1局ずつ振り返ってみましょう。
じりじりした将棋、抜け出して先勝
7日 菅井竜也八段戦第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポニチ・毎日)第1局
序章 20連勝
藤井先生はこれまでもさまざまな記録を更新してきたわけですが、今回の王将戦にも一つ大きな記録が懸かっています。それは「タイトル戦の連勝数」です。現在藤井先生はタイトル戦19連勝としており、昭和の大棋士大山康晴十五世名人の記録に並んでいます。
本シリーズで勝つと20連勝となり、新記録更新となるわけです。
この記録は一人だけが抜きんでいる状態を示すもので、更新すれば歴史に残る大記録となるのは間違いありません。
これに関して藤井先生は王将戦第1局の前日の記者会見で「直接意識しているわけではありませんけど、大山十五世名人は本当に偉大な実績を残されている方ですので。その点で並ぶことができているということは光栄なことだと思っています」と述べていました。
「直接意識しているわけではありませんけど」は藤井先生が「〇〇は意識されますか?」と聞かれたときによく使う枕詞ですね。奥ゆかしいです。
第1章 相穴熊
この2人の戦いとなるとお互いに穴熊という玉を端に囲う構えをとるのが定番です。両方とも穴熊なので「相穴熊」といいます。
相穴熊の戦いの特徴は、お互い守備力が同じなので、途中で差がつくとその差がそのまま勝敗に直結してしまう、ということです。つまり、序盤~中盤が大事だということですね。
本局も、序中盤で差がつかないようにじりじりした戦いが続きました。
第2章 揺れ動いた形勢
中盤戦。菅井先生が昼食のうな重を10分くらいで食べて対局室に帰ってきます(気合い!)。そして、細かいやり取りが続く中で先に少しリードを奪ったのは菅井先生でした。
藤井先生が対局後に「序盤の序盤の構想に課題が残った」と振り返ったように手の組み合わせに問題があったようです。
とはいえ、まだ形勢は互角の範囲。菅井先生がやや指しやすいとはいえ、勝敗に直結するような差がついたわけではありません。
そんな中で今度は菅井先生にミスが出てしまいます。銀を引いて守りを固めた手がそれで、ここでは桂を跳ねて攻めを見せたほうが良かったようです。
菅井先生は対局後、真っ先にこの手を悔やんでいました。
この銀引きをとがめた藤井先生が優位に立ちます。そしてこのときついた差がそのまま勝敗につながりました。わずかなミスをついて、そのあと有利な形勢を一度も奪い返されなかったのはさすが藤井先生でした。
第3局 幸先良いイチゴ
本局は長い中盤戦を優勢で抜け出した藤井先生の勝利となりました。
番勝負の第1局を後手番で制したのは大きい。藤井先生にとって幸先のいい2024年のスタートになったと思います。
王将戦と言えば勝者の写真撮影が有名ですが、今回の藤井先生は「まんが日本昔ばなし」みたいに龍に乗っている写真と、対局場のある大田原市の名産のイチゴを食べているシーンでした。両方ともかわいかったので、罰ゲーム感はなかったですね。
あと、イチゴを食べていらしたので久しぶりに藤井先生の好きなスピッツの「魔女旅に出る」を聴いたのですが、それ以来、仕事中もサビの部分が頭の中でリフレインされていてツラいです(どうでもいい)。
早繰り銀から上部脱出
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