受けの基本は「ぺったんぺったん」! 菅井八段が逆転で初戦突破 第9期叡王戦本戦トーナメント|将棋情報局

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受けの基本は「ぺったんぺったん」! 菅井八段が逆転で初戦突破 第9期叡王戦本戦トーナメント

第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)は本戦トーナメント1回戦が進行中。1月17日(水)には松尾歩八段―菅井竜也八段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相振り飛車調の力戦を143手で制した菅井八段が2回戦進出を決めています。

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王将戦七番勝負を並行して戦う菅井八段は過密日程の年末年始。今年に入って指した3局はいずれも大勝負ながらいまだ勝ち星に恵まれません。振り駒が行われた本局は先手となった菅井八段の中飛車でスタート。これを受けた後手の松尾八段が工夫を見せました。

菅井八段戦での初勝利を目指す松尾八段は角交換ののち向かい飛車を採用。これが功を奏して序盤は松尾八段ペースで進みます。二枚銀を中央に繰り出した先手は玉を囲うための安定した場所がなく駒組みに苦心。徐々に後手の作戦勝ちが明らかになってきました。

■「餅つき流」の逆転術
万全の態勢を得た松尾八段は自玉を穴熊の堅陣に収めたのち戦闘開始。角を銀と刺し違えたのは先手玉を薄くする好手で、スムーズに飛車を成り込んだ終盤の入り口では勝利は目前かと思われました。しかし両者秒読みの中で菅井八段が力を発揮しはじめます。

菅井八段は自陣の左穴熊を風前の灯火にされながらも、持ち駒の金を懸命にぺったんぺったんと投入し少しずつ態勢を回復。手順に金底の歩を打った局面では攻守が入れ替わり形勢も逆転模様です。終局時刻は17時22分、最後は自玉の受けなしを認めた松尾八段が投了。

序盤の作戦負けを跳ねのけ逆転に成功した菅井八段は2回戦に進出。2期連続での挑戦を目指して次戦で丸山忠久九段―青嶋未来六段戦の勝者と対戦します。


菅井八段は近著『振り飛車党のための受けの手筋』(マイナビ出版)のなかで持ち駒を投入する受けの重要性を解説

水留啓(将棋情報局) 

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