「急がば回れ」の大山流 佐藤天九段が会心の指し回しで3勝目 第82期A級順位戦|将棋情報局

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「急がば回れ」の大山流 佐藤天九段が会心の指し回しで3勝目 第82期A級順位戦

第82期A級順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は7回戦が進行中。1月10日(水)には佐藤天彦九段―佐々木勇気八段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、三間飛車を駆使して187手の激戦を制した佐藤九段が3勝目を挙げました。

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佐藤九段2勝4敗、佐々木八段3勝3敗で迎えたこの日は残留に向けた正念場。4回戦の渡辺明九段戦などここ数カ月で振り飛車の採用を増やしている佐藤九段、先手番で迎えた本局での選択は三間飛車でした。駆け引きのすえ後手の佐々木八段は急戦で応じます。
 
角交換を求める早仕掛けに対して佐藤九段の出した答えは左金を7筋に上がっての手厚い受け。大師匠にあたる大山康晴十五世名人を彷彿させる受けの振り飛車を前に、観戦するファンも「昭和にタイムスリップ」「大山将棋の系譜」と興奮を隠せません。
 
■受けて手にした3勝目
角交換が行われて戦いは一段落。手番を得た佐藤九段は敵陣に打った角を自陣に引き成って盤面全体を制圧します。この馬を消すべく後手も桂を打って応戦しますが、20数手の戦いののちこの桂をタダ取りできては振り飛車に不満はありません。
 
盤上中央での押し引きを乗り切った佐藤九段はここから辛抱強い受けでペースをつかみます。後手の角筋を止めるべく手厚く銀を打ったのが終盤の決め手。角切りの勝負手を消すのが勝利への最短ルートでした。敵陣に打ち込んだ飛車もこうなると受け駒に見えてきます。
 
終局時刻は翌11日1時12分、最後は自玉の受けなしを認めた佐々木八段が投了。優位に立ってからは逆転の余地を与えなかった佐藤九段が「急がば回れ」の指し回しで貴重な3勝目を挙げました。敗れた佐々木八段も同じく3勝4敗となっています。


佐藤九段―菅井竜也八段戦を含む8回戦の一斉対局は1月31日(水)に各地の対局場で行われる

水留啓(将棋情報局) 

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