【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年10月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年10月編

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皆さんこんにちは。「日本を今一度、せんたくいたし申候」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第14弾でございます。10月になって急に寒くなりましたね。9月はまだ暑くて「夏なげー」と思っていたら一気に冬が来た感じです。藤井竜王・名人におかれましては、風邪などひかぬよう、温かいお布団で寝ていただければ幸いです(母より)。

さて、今月は八冠獲得という大記録が達成されました。
本当にとてつもない偉業ですが、これでゴールという感じが全くしないのが藤井先生のすごいところ。これからも素晴らしい「盤上の物語」を紡いでいってくれることでしょう。

この記事ではそんな藤井先生の将棋をなるべくわかりやすくお届けしておりますので、八冠達成後も皆さんどうぞよろしくお願いいたします。

ということで、藤井先生の10月の対局を振り返っていきましょう!

10月の対局まとめ

6、7日   竜王戦七番勝負第1局 伊藤匠七段戦 勝ち
11日      王座戦五番勝負第4局 永瀬拓矢王座戦 勝ち
17、18日 竜王戦七番勝負第2局 伊藤匠七段戦 勝ち
21日    将棋日本シリーズ 永瀬拓矢九段戦 勝ち
25、26日 竜王戦七番勝負第3局 伊藤匠七段戦 勝ち
10月は伊藤先生と永瀬先生を相手に5局戦って5戦全勝でした。9月も全勝でしたので2カ月連続です。8月31日の王座戦第1局で永瀬先生に負けてからずっと勝ちっぱなし。強すぎます。この連勝がどこまで続くのかも今後の注目ポイントですね。

学年対決、初戦を制す

10月6、7日 伊藤匠七段戦
第36期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社)七番勝負第1局

序章 ライバル対決の第1局
将棋界最高峰の舞台・竜王戦。今期の挑戦者は藤井先生と同学年の伊藤匠七段となりました。
私はありがたいことに対局者2人ともにインタビューさせていただいたことがあるのですが、全体的な雰囲気は似ている感じがします。
基本的にはおとなしくて、優しい感じ。あと、将棋の話になるとよくしゃべってくれるところも似ています。学校のクラスをグループに分けたら、同じグループになりそうな二人です。

強いて違うところがあるとすれば、伊藤先生の方が、よりおとなしくて将棋一本やりに感じるところでしょうか。藤井先生は趣味の電車の話や詰将棋の話、PCの話なども将棋と同じくらい楽しそうに話してくれるんですが、伊藤先生の場合、趣味(野球観戦)の話をしてもそんなにノッてきてくれません。将棋オンリーな感じです。

今回の竜王戦の直前インタビューでもそれが感じられる場面がありました。タイムマシンがあったらいつに行ってみたいか?という質問で藤井先生は数百年後のAIやテクノロジーの進歩を見てみたい(藤井先生っぽい!)と答えたのですが、伊藤先生は100年後にどういう将棋が指されているかを見てみたいと答えられたのです。あくまで将棋。
前夜祭でも「感慨は盤上で表現する」とおっしゃってましたね。

伊藤先生は将棋世界のインタビューで「これ以上勉強量を増やすのは現実的ではない」というくらい将棋の勉強をされている棋士。才能も豊かで小学生の大会で藤井先生に勝ったのは有名な話。これから何度も行われるであろう、藤井―伊藤のタイトル戦の第1ラウンド、楽しみなシリーズの始まりです。

第1章 相掛かり
振り駒で先手番になった伊藤先生は得意の相掛かりを選択しました。伊藤先生が7七に金を持っていくのは昔は悪い形と言われていましたが、AIによって見直された陣形で今風の駒組み。さらに序盤早々に端を突いていったのが藤井先生も驚いた仕掛けでした。形勢は互角ながら、伊藤先生の相掛かりの研究の深さがうかがえます。

第2章 封じ手のタイミング
藤井先生が飛車をびゅんっとダイナミックに使ったところで伊藤先生が封じ手にしたのですが、結果的にはこの手があまり良い手ではなく、以下は藤井曲線が描かれることになりました。

伊藤先生としてはその前の手が迷わずに指せる手だったので、そこを封じ手にして、後の展開を一晩考えたほうが良かったようです。
伊藤先生ご自身も「封じ手の辺りがおかしかったですかね」と振り返っています。2日制の番勝負に慣れていないことが悪い方に出た、ということかもしれません。

第3章 先勝
局面をリードしてからの藤井先生の指し方は正確そのもの。駒得を積み重ねて着実にリードを広げ、相手が攻めてきたところでじっと玉を引く盤石の指し回し。最後は自玉の安全度を見切って相手玉に必至を掛けて82手で勝利しました。安定感がすごいです。

17時2分と早めの終局。
本局は伊藤先生が序盤の深い研究を見せてくれましたが、封じ手辺りでバランスを崩してしまい、あとは一気に藤井先生が持っていった、という将棋でした。

藤井先生は後手番で初戦勝利ということで、竜王防衛に向けて幸先の良いスタートとなりました。

的な勝利で八冠制覇


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