【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年9月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年9月編

【お知らせ】
おかげさまで、『編集部島田が綴る今月の藤井聡太シリーズ』は1周年を迎えることができました!
つきましては感謝の気持ちを込めまして、島田の直筆扇子「聡太愛」を抽選1名様にプレゼントいたします!
プレゼントを希望される方は10月9日までに、こちらのサイトからご応募ください。

※プレゼント対象はゴールドメンバーのみとなります。


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皆さんこんにちは。「タイムアップの笛は、次の試合へのキックオフの笛である」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第13弾でございます。1年続けるという目標を達成したので、次の目標を「2年続ける」に設定したいと思います。皆さん末永くよろしくお願いいたします。

「なるべく現地に行く」ということを最近の目標に掲げて生きておりますが、今月は駒テラスと女流王将の就位式に行ってきました。就位式での里見先生の着物がとても美しく、やっぱりリアルはいいなぁと思った次第です。
そして10月3日は棋聖就位式にお邪魔する予定。皆さん、見かけたら声かけてくださいね。
将棋は理解するのは難しいゲームですけど、将棋を通じてイベント会場で棋士や他のファンの方と触れ合ったり、将棋めしを食べてみたり、対局が行われたホテルや旅館に泊まってみたり、楽しみ方がいろいろあるのでいいですね。

と、いうことで、今回も元気に藤井先生の対局を振り返っていきましょう!
9月の対局は以下の通りです。

9月の対局まとめ

9日 第44回将棋日本シリーズ 菅井竜也八段戦 勝ち
12日 王座戦五番勝負第2局 永瀬拓矢王座戦 勝ち
27日 王座戦五番勝負第3局 永瀬拓矢王座戦 勝ち
9月は3局行われて3戦全勝でした。さすが藤井先生、強いです。
しかしそれぞれの対局が本当に濃密でしたので、一局一局たっぷり振り返って行こうと思います。

と、その前に、8月31日に行われた王座戦第1局について先月触れることができなかったのでそこから振り返っていきましょう!

誉王座か八冠か 初戦は王座に軍配

8月31日 永瀬拓矢王座戦
第71期王座戦五番勝負(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)五番勝負第1局

序章 世紀の対決
ついにこの時がやってきました!
七冠を保持する藤井先生が最後のタイトル獲得を目指して挑む王座戦。対する永瀬王座にも名誉王座の記録が懸かっており、控えめに言って世紀の一戦です。

永瀬先生と藤井先生は研究パートナーとしても知られており、お互いに相手のことを「自分を引き上げてくれた人」とリスペクトする間柄。素晴らしい関係ですね。嫉妬すら感じますね。

開幕戦の対局場は神奈川県の「元湯 陣屋」。これまでも数々の名勝負が生まれた場所で、将棋ファンにはよく知られています。何を隠そう、マイナビが主催するマイナビ女子オープンの五番勝負の第1局も陣屋で行われているため、私も何度かお邪魔したことがあります。

東京から割とすぐ行ける距離にありながら、一歩足を踏み入れればそこはくつろぎ別世界。自然あふれる大庭園と広々としたお部屋。豪邸に住んでいる富豪になった気分を味わえます。将棋史に残る番勝負の幕開けにふさわしい対局場と言えましょう。

陣屋の広いお庭を藤井先生と散歩する妄想だけはしておきました(ルーティーン)。
「紅葉のきれいな季節になりましたね」
「そうですね」
「あはは」
「うふふ」

第1章 角換わり
振り駒で先手になったのは藤井先生。となれば目指すは角換わりです。藤井先生の腰掛け銀に対して永瀬王座の採った作戦は早繰り銀+△4一玉型でした。
やや珍しい指し方で永瀬王座の準備と本局に懸ける意気込みが伝わってきます。

普通は△4二玉型なのですが、△4一玉型は戦場から遠ざかっている意味があります。これを見て藤井先生は激しい戦いを避けてゆっくり指す方針に。それならばと、永瀬先生が後手番ながら攻める展開になりました。

この辺りでお昼休憩に入ったのですが、両者の注文は陣屋カレーのビーフ&伊勢海老シーフード。すごいボリュームでお皿に伊勢海老がまるごと乗っていてめっちゃ豪華でした。
皿の上の伊勢海老の上に乗りたいくらいです(無理)。

私も陣屋カレーは食べたことがあるんですが(自慢)、こんなスペシャルバージョンは見たことがありません。うらやましいです。


第2章 先手優勢、からの逆転
永瀬先生が先に仕掛けたのですが、藤井先生が中段に△6五角と打ったのが好手。この角で永瀬先生の攻めを受け止めて、さらにその角が攻めにも働いて藤井先生がやや優位に立ちました。

その後、藤井先生が角を切り飛ばして手にした金を打って、さらにと金を作って果敢に攻めていきます。このあたり、先手好調に見えたのですが、藤井先生はあまり良いとは感じていなかったようです。

「角を切って、と金を作りにいったところがあったんですけど、ちょっと進んでみると、こちらの攻め駒が少なくてよい指し方ではないかな、と思った」と振り返っています。

実際、ここから徐々に永瀬先生が盛り返していく展開になりました。

一手一手非常に難しい攻防が続いていたのですが、アベマの渡辺明九段の解説がとにかくわかりやすくて絶品でした。指し手のことはもちろん、両対局者と盤を挟んだことのある渡辺先生にしかわからない空気感みたいなものも話されていて、めちゃくちゃ価値の高い解説だと思いました。藤井先生の最初のタイトル戦の相手が渡辺先生だったわけですが、その時からの印象の変化について「体が大きくなった」とおっしゃっていたのは面白かったです。

まさか渡辺先生も藤井先生のお母さんの座を狙っている?
強力なライバル出現です。

第3章 負けない将棋
さて、将棋に戻りましょう。永瀬先生が打った△2六香のタダ捨てが好手でついに形勢が入れ替わります。そこから藤井先生も相手に楽をさせないように攻めを続けるのですが、永瀬先生の落ち着いた受けの前についに攻めが息切れ模様になってきました。

そして永瀬先生の夕食の注文がなんとまた陣屋カレーのビーフ&伊勢海老シーフード。
・・・いや、ウソでしょ。どんだけ美味しかったんですか(笑)

「連続陣屋カレー」という新手筋によって、体力ゲージが満タンに回復した永瀬先生につけいるスキはありませんでした。
その指し回しはまさに「負けない将棋」。永瀬先生の書籍のタイトルで先生の代名詞といえるフレーズになってますが、この「負けない将棋」というタイトルを考えたのは実は私です(またもや自慢)。

最後は藤井先生の攻めが切れてしまい、藤井先生が詰み筋に入ったところで投了。150手の激闘を制したのは永瀬先生でした。

五番勝負という短期決戦で、初戦を後手番で勝利するのはめちゃくちゃ大きいです。逆に藤井先生にとっては手痛い敗戦になってしまいました。次は後手番である上に、敗れると2連敗となってしまうので「早くも厳しい状況になってしまったかな、とは思っています」とおっしゃっていました。

この後の展開を今の我々は知っているわけですけど、この第1局から第2局までの間、藤井先生ファンの皆さんは重苦しい日々を過ごされていたのではないでしょうか。

改めて永瀬先生の強さと勝負の厳しさを感じた第1局でした。

り飛車穴熊に飛車切り一閃!


完全版はこちらで読むことができます。

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