羽生九段が緻密な受けで大橋七段退ける 第82期順位戦B級1組|将棋情報局

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羽生九段が緻密な受けで大橋七段退ける 第82期順位戦B級1組

第82期B級1組順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、1回戦計6局の一斉対局が6月15日(木)に各地の対局場で行われました。このうち、関西将棋会館で指された羽生善治九段-大橋貴洸七段戦は96手で羽生九段が勝利。同じく勝利した三浦弘行九段や糸谷哲郎八段らのA級経験者とともに、昇級に向け好スタートを切りました。

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両者の初手合いとなった本局、先手となった大橋七段が角換わり早繰り銀の速攻を志向したのに対して後手の羽生九段は相早繰り銀の積極策で応じます。羽生九段が早くも7筋の歩を突いて仕掛けたのに対し、大橋七段は定跡化された継ぎ歩の手筋で対応。飛車先の歩を取り込んで拠点としたのをきっかけに、大橋七段は右辺の端攻めからリズムをつかみます。

後手陣の空いた空間に角を打ち込んで攻めを継続する大橋七段に対し、羽生九段は読みの入った受けで局面の均衡を保ちます。一手の猶予を得て先手陣に角を打ち込んだのも実戦的な対応で、この角をすぐさま守備金と刺し違えることで先手の攻めに制約を与える狙いです。形勢は難解で、大橋七段がうまく攻めをつなげられるかが局面の焦点になっています。

■羽生九段が受け切って快勝

夕食休憩が明けて夜戦に入ると形勢の針は徐々に後手の羽生九段の方に触れ始めます。「玉の早逃げ八手の得」の格言に従って5筋方面に玉を移動したのが好着想で、左辺に攻めの拠点がない先手からうまい攻めがないのを見越しています。最初に1筋の端攻めを受けてから実に40手以上も受けに回った羽生九段ですが、ここでようやく反撃の狼煙を上げます。

手番を得た羽生九段は眠っていた飛車を2筋に大転回して飛車の成り込みを目論みます。こうなると、あらかじめ角切りで先手玉を危険地帯に呼び寄せておいたのが寄せに好都合に働いた格好です。終局時刻は21時47分、反撃に転じてからは一気の寄せで大橋玉を仕留めた羽生九段が自身の将棋連盟会長就任後の初戦を白星で飾りました。2回戦では羽生九段は澤田真吾七段、大橋七段は屋敷伸之九段との対局が組まれています。
 


勝った羽生九段は「(順位戦は)長丁場なのでまだまだこれからだと思っている」との感想を残した(写真は第72期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグのもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)  

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