『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーによるレビュー 竹中健一様|将棋情報局

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『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーによるレビュー 竹中健一様

『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーによるレビュー、第1弾です!

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記念すべきレビュー第1弾は、元奨励会員でアマ名人の獲得経験もあり、詰将棋界でも活躍されている竹中健一様です。

問題はすべて5秒どころか0.1秒で解けたと思いますが(;^_^A、大変丁寧で素晴らしいレビューを書いてくださいました。竹中様、ありがとうございます!

それでは、どうぞ。

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今回、『5秒で解きたい3手詰』の棋書レビューをさせていただくことになりました、竹中健一と申します。最初に私の自己紹介・詰将棋との関わりを簡単に紹介させていただき、その後にレビューに入らせていただきたいと思います。

私は昭和57年に奨励会に入りました。その頃から詰将棋パラダイスという専門誌を購読しており、詰将棋を解くことが将棋の勉強の中で一番好きだったタイプです。奨励会を辞めたあとも詰将棋を常に自分の調子のバロメーターとして考え、出された作品はできるだけ解くようにしてきました。いつの間にか、詰将棋を解くスピードも速くなり、解答選手権でも2位に入ったことがあります。詰将棋パラダイスではこれまで合計8回、年間解答王となり、詰将棋の解答では名前を知っていただいている方も多いと思います。一方で、詰将棋作品集の発行をお手伝いすることもあり、『青い鳥』『青い鳥2020』は世話人として企画から販売までのお手伝いをしてきました。詰将棋との関わりは結構長く深いと思っております。

この度は奨励会の大先輩にあたる小田切秀人様の著書に関して、棋書レビューをさせていただく機会を得て非常に嬉しく思います。今回、詰将棋の本ということで楽しみにしておりました。


まず本書は最初に詰将棋の簡単なルールと、3手詰でよく出てくる12パターンの紹介がされています。この最初の紹介だけでも各2ページにわたって図面を使って説明がありますので、詰将棋に慣れていない方でもリラックスして読み始められるのではないでしょうか。



問題編も、目次を見ていただいたらお分かりのように、「詰将棋」と言わずに「詰む将棋」と書いていて、実戦で逃したらもったいないような、よく考えてみたら簡単な、そんな詰み筋を使った作品が200問出されています。問題のページは、よく似た配置の2問が同じページに出題されています。ちょっとした配置の違いで手順が異なるので、配置の意味を考える癖がつくようになります。
いかにも実戦に出てきそうな自然な配置が多いので、相手の駒の利きを考えながらタダで駒を取られて失敗しないように考えることが身につくと思います。守り駒が金の場合と銀の場合、配置が少しだけ異なっている場合、駒取り、駒余りなどもあって、いかにも実戦終盤の詰みの練習にピッタリです。これまで多くのこどもたちを指導してきた経験から、間違えやすそうな局面をもとにしてつくられた問題ばかりだと思うので、実戦の役に立つことは間違いないでしょう。
また普通の詰将棋本と違うのは、駒余りの詰まし方も載っていることです。



例として2問お見せしますが、いずれも駒が余ります。実戦では竜を逃げてしまうかもしれないですが、一間竜(いっけんりゅう)という詰手筋で、これは駒余りで詰みます。この一間竜というのは詰将棋の基本手筋ではあるのですが、合駒された図(今回の2問)は駒が余って詰むケースが多いので、普通の詰将棋の本には載らないことが多いです。そのためか、一間竜は知っているけど、実戦ではつい忘れてしまう、というケースも多いように思います。本書を繰り返し解くことで、このような実戦に出てきたら逃したくない詰む将棋を確実に仕留められるようになるのではないでしょうか。
本書では逃げ方によっては5手かかるようなケースも載っています。そのような場合は出題ページと解説に明記してあるので、ご安心いただけると思います。
とくにかく本書はかっこよい決め手が出てくる作品ではなく、俗手で確実に相手玉を仕留めるような手が満載。今まで詰将棋って実戦では出てこないような手が多いと思っていた方も、本書を読めば実戦みたいでご安心いただけると思います。

こういう本を執筆したかったなぁというのが、本書を読んだ私の最初の感想でした。
詰将棋が苦手!という方にもおすすめできます。

竹中健一

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