2023.06.02
将棋の大会にはどんなものがあるのか。そのレベル。探し方【将棋大会の基礎知識#1】
全国各地で行われている将棋大会。そのレベルも参加対象も規模も様々です。コロナ禍で休止が相次いだものの、昨年あたりから復活してきました。オンラインの大会もありますが、ここでは対面での大会について、大会運営歴15年の筆者が大会のレベル、クラスの選び方、子ども大会、ルールやマナーについてなどなど幅広く説明していきます。連載第1回は、将棋大会にはどんなものがあるのか、そしてその探し方です。
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将棋大会は会場と盤駒時計などの用具があれば誰でも実施できますので、日本将棋連盟やその支部(将棋愛好家で作る支部が日本全国にあります)の関係ではない大会も数多くあり、すべてを網羅したようなサイトはありません。
日本将棋連盟はアマチュア名人戦、中学生選抜などの全国から代表を集めて行う大会の都道府県予選大会の運営を都道府県連に依頼しています(一部県連がないところもあり、大きめの支部が引き受けています)。
その県の情報をまとめたサイトが「gooブログ」などのブログサービスを使用したり、いかにも素人が作りました感ありありのサイトなこともよくあります。筆者も某県連で大会運営をやっているのでよく分かりますが、お金は無くプロに頼んで見栄えの良いサイトを作るなんて無理な相談です。将棋大会に関わる人はボランティアでやっていることが多いですし、将棋大会情報をまとめたサイトも個人の好意で成り立っていることが多いです。素人臭いから怪しいわけではありません。たまに、更新がストップし昨年の情報のままになっているケースもあるので日付を良く確認しましょう。
支部が主催するローカル大会も数多くあり、支部会員でなくても参加できるものもあります。そのような県連のサイトによく掲載されています。
この6大会は全国大会で優勝すると年齢に関わらず奨励会の三段リーグ編入試験の受験資格が得られます。原則26歳までに棋士になれなければ退会という厳しい年齢制限があることで知られる奨励会ですが、何歳であっても編入できる道も用意されています。日本将棋連盟がこの6つはそれだけレベルの高い大会だと認めているとも言えるわけですが、奨励会の例会に参加し主に二段と8局指したうち6勝するという合格条件が厳しいうえ、合格しても在籍できるのは4期。2016年にアマ名人だった小山怜央四段が受験して不合格になって以来、誰も受けておらず、この三段リーグ編入試験ルートで棋士になった例は制度ができて以来ありません。
また全国優勝や上位入賞した場合、アマ名人戦は棋王戦、アマ竜王戦は竜王戦6組、朝日アマ名人戦は朝日杯、赤旗名人戦は新人王戦とプロの公式戦に出場枠があります。銀河戦に出場枠があるアマ王将位は、多くの大会がコロナ禍から再開された昨年も中止になっていて今年開催されるかどうか公表されていません。
この6大アマ大会なら、○○県連の情報サイトに必ず載っているかと思いきや、そうとは限らないのです。朝日アマのブロック大会やその下の都道府県大会は、日本将棋連盟の支部や支部連合会ではなく、日本アマチュア将棋連盟(アマ連)が運営していますので、アマ連のサイトに情報が出ます。
赤旗名人戦は、プロの新人王戦の主催紙でもあるしんぶん赤旗(日本共産党の機関紙)のサイトに全国各地の予選大会の案内が出ます。今後更新されていくと思われます。
県大会やその下の各地区大会の運営は共産党で行っていますが、共産党員でなくても参加でき、参加者の大半は党員ではなく、議員の挨拶がある以外は普通の大会と変わりません。
アマ名人戦、アマ竜王戦、支部名人戦については、日本将棋連盟のサイトに各都道府県大会の一覧表が毎年出ます。この記事が公開される6月初めはアマ竜王戦の各都道府県大会が終わり、6~8月に行われるアマ名人戦の都道府県大会の一覧表が間もなく出るという時期です。
クラス分けをするか、その分け方をどうするかはすべて大会運営者にお任せなので、差が出ます。
A=代表選抜クラス、B=級位者のクラス というところもあれば、代表選抜クラスに加えて、S=三段以上、A=初~二段、B=1~4級、C=5~9級、D=10級以下と6クラス制にしているところもあります。Aクラスが代表選抜のクラスとは限らないので、間違えないように大会案内をよく読みましょう。大会のクラス分けの問題については、この連載の別の回で詳しく説明する予定です。
県代表を決定する大会は「○○県在住者」と出場資格が決まっています。基本的には住民票がある都道府県の大会に出ます。中学選抜のように「在籍中学校のある都道府県の大会に出る」「在学地優先大会」もあれば、支部名人戦のように「所属支部のある都道府県の大会」に出るものもあります。
女性アマが女流棋士の公式戦に出るための大会もあり、4月に行われたリコー杯女流王座戦の東西アマ予選、そして現在募集中のマイナビチャレンジマッチです。
最近は級位者大会も充実してきました。有名なところでは「ねこまど」ですね。
さらに敷居を下げて初心者向きの大会やゆるい大会も増えてきていて「大会に出るのが初めての方向き」とか「反則しても大丈夫」「おしゃべりOK楽しく指しましょう」といった感じ。大会は決して強くなくては出られないものではありません。
こういう大会の情報が良く発信されるのがツイッター。足を延ばせる範囲の教室や道場、将棋カフェなどのアカウントはフォローしておくと良いかも。
○○市民大会、●●区小学生大会のようなその市町村民限定大会もあり、市政だよりのような自治体広報誌やコニュニティーセンターの貼り紙などにお知らせが出ることもあります。
全国各地で行われるタイトル戦では、大盤解説会などにファンが集まりますが、そんなイベント併設型の大会も。大きなものではJTプロ公式戦と同日開催のテーブルマークこども大会。小中高校生の大会については別の回で取り上げます。
次回は、大会のルールとマナーについて説明します。
写真は東京の将棋カフェCOBINで行われたゆるい女性大会。うさチームと、にゃんチームに分かれて勝ちはハート3つ、負けはハート1つを貼っていく。スタッフのモモさん
宮田聖子(将棋情報局)
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「将棋 ○○県支部連合会」で在住地の将棋情報サイトを探す
将棋大会を知るには、お住まいの都道府県の将棋大会をまとめたサイトを探してみましょう。「○○県 将棋大会」「○○県連(県支部連合会) 将棋」といった検索ワードがお勧め。県連とは何かというと、各都道府県に10~50くらいある日本将棋連盟の支部が集まった団体が「○○県支部連合会」、略して○○県連です。例えば岩手県連のサイト。こんなサイトが多くの都道府県にあります。日本将棋連盟はアマチュア名人戦、中学生選抜などの全国から代表を集めて行う大会の都道府県予選大会の運営を都道府県連に依頼しています(一部県連がないところもあり、大きめの支部が引き受けています)。
その県の情報をまとめたサイトが「gooブログ」などのブログサービスを使用したり、いかにも素人が作りました感ありありのサイトなこともよくあります。筆者も某県連で大会運営をやっているのでよく分かりますが、お金は無くプロに頼んで見栄えの良いサイトを作るなんて無理な相談です。将棋大会に関わる人はボランティアでやっていることが多いですし、将棋大会情報をまとめたサイトも個人の好意で成り立っていることが多いです。素人臭いから怪しいわけではありません。たまに、更新がストップし昨年の情報のままになっているケースもあるので日付を良く確認しましょう。
支部が主催するローカル大会も数多くあり、支部会員でなくても参加できるものもあります。そのような県連のサイトによく掲載されています。
奨励会三段リーグ編入試験受験資格が得られる大会も
6大アマ大会と呼ばれるメジャー大会があります。伝統あるアマチュア名人戦(今年は大山康晴十五世名人生誕100周年記念大会として行われます)、時の竜王が審判長を務めるアマチュア竜王戦、プロのタイトル戦のようにタイトル保持者がいて全国大会優勝者が挑戦者となる朝日アマチュア名人戦、北関東、東海などブロックごとに代表決定の大会が行われ他地区の大会にも参加可能なアマチュア王将位、しんぶん赤旗主催の赤旗名人戦、日本将棋連盟の支部会員のみが参加できる支部名人戦の6つです。この6大会は全国大会で優勝すると年齢に関わらず奨励会の三段リーグ編入試験の受験資格が得られます。原則26歳までに棋士になれなければ退会という厳しい年齢制限があることで知られる奨励会ですが、何歳であっても編入できる道も用意されています。日本将棋連盟がこの6つはそれだけレベルの高い大会だと認めているとも言えるわけですが、奨励会の例会に参加し主に二段と8局指したうち6勝するという合格条件が厳しいうえ、合格しても在籍できるのは4期。2016年にアマ名人だった小山怜央四段が受験して不合格になって以来、誰も受けておらず、この三段リーグ編入試験ルートで棋士になった例は制度ができて以来ありません。
また全国優勝や上位入賞した場合、アマ名人戦は棋王戦、アマ竜王戦は竜王戦6組、朝日アマ名人戦は朝日杯、赤旗名人戦は新人王戦とプロの公式戦に出場枠があります。銀河戦に出場枠があるアマ王将位は、多くの大会がコロナ禍から再開された昨年も中止になっていて今年開催されるかどうか公表されていません。
この6大アマ大会なら、○○県連の情報サイトに必ず載っているかと思いきや、そうとは限らないのです。朝日アマのブロック大会やその下の都道府県大会は、日本将棋連盟の支部や支部連合会ではなく、日本アマチュア将棋連盟(アマ連)が運営していますので、アマ連のサイトに情報が出ます。
赤旗名人戦は、プロの新人王戦の主催紙でもあるしんぶん赤旗(日本共産党の機関紙)のサイトに全国各地の予選大会の案内が出ます。今後更新されていくと思われます。
県大会やその下の各地区大会の運営は共産党で行っていますが、共産党員でなくても参加でき、参加者の大半は党員ではなく、議員の挨拶がある以外は普通の大会と変わりません。
アマ名人戦、アマ竜王戦、支部名人戦については、日本将棋連盟のサイトに各都道府県大会の一覧表が毎年出ます。この記事が公開される6月初めはアマ竜王戦の各都道府県大会が終わり、6~8月に行われるアマ名人戦の都道府県大会の一覧表が間もなく出るという時期です。
初心者向き下のクラスがあることも
6大アマ大会の都道府県予選大会にはその県のトップレベルのアマが集まり、代表を目指し、しのぎを削ります。最近は元奨励会三段の参加も珍しくありません。ピリピリした雰囲気が漂うガチ大会です。アマ三~四段以上の参加者が大半。じゃあ、級位者はもちろん、初段二段でも場違いなの? と言われるとそうとは限りません。クラス分けをして高段者以外も出やすくしている都道府県も多くあります。クラス分けをするか、その分け方をどうするかはすべて大会運営者にお任せなので、差が出ます。
A=代表選抜クラス、B=級位者のクラス というところもあれば、代表選抜クラスに加えて、S=三段以上、A=初~二段、B=1~4級、C=5~9級、D=10級以下と6クラス制にしているところもあります。Aクラスが代表選抜のクラスとは限らないので、間違えないように大会案内をよく読みましょう。大会のクラス分けの問題については、この連載の別の回で詳しく説明する予定です。
県代表を決定する大会は「○○県在住者」と出場資格が決まっています。基本的には住民票がある都道府県の大会に出ます。中学選抜のように「在籍中学校のある都道府県の大会に出る」「在学地優先大会」もあれば、支部名人戦のように「所属支部のある都道府県の大会」に出るものもあります。
女性アマが女流棋士の公式戦に出るための大会もあり、4月に行われたリコー杯女流王座戦の東西アマ予選、そして現在募集中のマイナビチャレンジマッチです。
棋士のお祝い大会、イベント併設型など大会はさまざま
将棋道場や将棋教室、将棋カフェなどの将棋を指せる場が開く大会もあります。全国大会やその県予選ほどガチでは無い、様々なレベルの大会があります。よく一門の棋士の昇段などのお祝いの大会を行っているのが所司一門将棋センター。お祝いでなくても、棋士が審判長を務めたり、挨拶や指導対局があったり、棋士や女流棋士に会える大会はたくさんあります。最近は級位者大会も充実してきました。有名なところでは「ねこまど」ですね。
さらに敷居を下げて初心者向きの大会やゆるい大会も増えてきていて「大会に出るのが初めての方向き」とか「反則しても大丈夫」「おしゃべりOK楽しく指しましょう」といった感じ。大会は決して強くなくては出られないものではありません。
こういう大会の情報が良く発信されるのがツイッター。足を延ばせる範囲の教室や道場、将棋カフェなどのアカウントはフォローしておくと良いかも。
○○市民大会、●●区小学生大会のようなその市町村民限定大会もあり、市政だよりのような自治体広報誌やコニュニティーセンターの貼り紙などにお知らせが出ることもあります。
全国各地で行われるタイトル戦では、大盤解説会などにファンが集まりますが、そんなイベント併設型の大会も。大きなものではJTプロ公式戦と同日開催のテーブルマークこども大会。小中高校生の大会については別の回で取り上げます。
次回は、大会のルールとマナーについて説明します。
写真は東京の将棋カフェCOBINで行われたゆるい女性大会。うさチームと、にゃんチームに分かれて勝ちはハート3つ、負けはハート1つを貼っていく。スタッフのモモさん
宮田聖子(将棋情報局)
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