佐々木大七段が羽生九段を破り藤井王位への挑戦権獲得 「夏の十二番勝負」開幕へ 伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦挑戦者決定戦|将棋情報局

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佐々木大七段が羽生九段を破り藤井王位への挑戦権獲得 「夏の十二番勝負」開幕へ 伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦挑戦者決定戦

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は、挑戦者決定戦の羽生善治九段―佐々木大地七段戦が5月18日(木)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、117手で勝利した佐々木七段が藤井聡太王位への挑戦権を獲得しました。

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■相掛かりの力戦形

振り駒で先手番を得た佐々木七段は得意の相掛かりを採用。飛車先の歩交換を保留したまま右桂の活用を急いだのが用意の作戦で、後手が素直に応じれば好タイミングに飛車をさばいて横歩取りを狙う意味合いがあります。これを受けた後手の羽生九段が先手陣を揺さぶる飛車寄りで様子を見たことで、本局は力戦調の持久戦に持ち込まれました。

早々に定跡を外れた局面を前に、両対局者とも慎重に時間を使って読みを深めます。羽生九段が4筋の歩を突き捨てたのは囲い合っていては作戦負けと見た中盤の勝負手で、直後に5筋で銀交換を迫って角を活用する狙いがあります。穏やかに駒組みを進めていた佐々木七段としては、7七の地点に上がった愚形の左金が守りに働くかがポイントです。

■佐々木七段が快勝で挑戦権獲得

先手陣内での小競り合いが続いたのち、先手の佐々木七段は角を、後手の羽生九段は飛車を手にして局面は一段落を迎えました。乱れた先手陣に飛車を打ち込めたのは羽生九段にとって大きな主張点ですが、佐々木七段も離れ離れの金銀をうまくまとめて崩れません。形勢は互角で、今度は7筋に取り残された後手の飛車がどう働くかに焦点が当たりました。

盤面全体を使った攻防が続いたのち、形勢をリードしたのは先手の佐々木七段でした。後手の飛車をいじめながら銀を前線に繰り出したのが好着想。手番を握りつつ後手の玉頭にクサビの歩を打ち込んだことでその後の方針がわかりやすくなりました。こうなってみると懸案の7七金も佐々木玉を守る要の駒として輝いています。

終局時刻は19時53分、羽生九段の最後の反撃をかわしながら豊富な持ち駒を生かして後手玉への挟撃体制を築いた佐々木七段が勝利。藤井王位への挑戦権を獲得した佐々木七段は、「失うものはないので自分の将棋に集中したい」と抱負を語りました。注目の七番勝負は7月7日(金)・8日(土)に愛知県豊田市の「豊田市能楽堂」で開幕します。


佐々木七段は6月に開幕する棋聖戦五番勝負でも藤井王位と戦うことになる

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